お涙頂戴の難病映画は敬遠ですが、
新作映画「ディア・ファミリー」は、大切な子供を失くした家族の話ではなくて”誰かのために何ができるか”という、未来を感じる勇気あふれる愛の物語です。
世界で17万人の命を救った医療器具バルーンカテーテルの誕生にまつわる実話に涙が止まりませんでした。
2024年6月14日公開、家族での鑑賞にお薦めです。
生来の心臓疾患で余命10年を宣告された次女・佳美(福本莉子)。
知識も経験もない町工場を経営する父親(大泉洋)が医療界を動かす。
この素敵な家族に大泉洋(父・宣政)、菅野美穂(母・陽子)、川栄李奈(長女・奈美)、福本莉子(次女・佳美)、新井美羽(三女・寿美)。みんな好演です。
共演の上杉柊平、徳永えり、満島真之介、戸田菜穂、有村架純、松村北斗、光石研などのベテランが脇を固め、
監督(月川翔)、脚本(林民夫)の手腕が、約2時間の上映時間の最後まで観客を引き込みます。
<「ディア・ファミリー」月川翔・監督>
【ストーリー】
1970年代、小さな町工場を経営する坪井宣政(大泉洋)と妻・陽子(菅野美穂)の次女・佳美(よしみ)は生まれつき心臓疾患を抱えており、幼い頃に余命10年を宣告されてしまう。
医師:「あと10年・・・」
宣政:「20歳まで 生きられんだと!」
医師:「どうしようもありません 日本中 何処へ行っても無理でしょう」
宣政と陽子は娘を救いたい一心で勉強に励み、有識者に頭を下げ、資金繰りをして、娘のために自ら人工心臓を作ろうと立ち上がるが、知識も経験もない状態では不可能に近かった。
宣政:「人工心臓か?!」
陽子:「何もしない10年と やってみる10年 あなたはどちらを選ぶ?」
宣政:「どの研究機関でも 人工心臓は時間が掛かりすぎる」
宣政:「だから お父さんが作ってやろう」
<光石研(石黒教授)>
宣政:「協力してください お願いします」
石黒:「あなたは この分野では 何の実績もない」
宣政:「何もしなければ 死を待つ人間がいるんです」
石黒:「実用化は出来ない」
日記を書いている佳美。
佳美が病に倒れ、佳美の日記を読む宣政と陽子。
佳美の声:「お父さんは私のために 何年間も頑張ってくれた 私の心臓は 治らない その知識を 苦しんでいる人のために 使って! 私の命は 大丈夫だから・・・」
医師:「たとえ明日 奇跡的に人工心臓が出来たとしても もはや完治は不可能です」
宣政:「人工心臓が出来ても 佳美(よしみ)は?」
陽子:「今は あの子のそばに居てあげて」
宣政:「佳美と約束したんだ」
宣政:「こればっかりは どうしても やらなきゃいけないんだ」
そのころ、欧米からの輸入に頼っていたバルーンカテーテルに事故が発生していた。
人工心臓が実現に至らないことを薄々感づいていた佳美の一言
「私は大丈夫だから、その知識を苦しんでいる人のために使って…」。
宣政は日本初の国産バルーンカテーテルの製造に方向転換します。
しかし、当時は「実績がない」の一言で、どこの大学病院からも冷たくあしらわれるのでした。
迫り来る命の期限、娘を救いたい、絶対に諦めない。
不可能への挑戦、医療の知識はゼロ。
ただ 娘の命を救いたかった。余命10年の娘のために・・・
医療器具バルーンカテーテルの誕生が世界中で16万人の命を救った、小さな町工場の家族が挑む真実の物語。
ラストの講演会場で、記者(有村架純)が主人公(大泉洋)に語る場面は涙のダメ押しでした。
<有村架純(記者)>
大泉洋演じる主人公・坪井宣政のモデルとなった方は、「東海メディカルプロダクツ」前社長(現会長)の筒井宣政氏で、国産初の補助循環装置「IABP(大動脈内バルーンパンピング)バルーンカテーテル」の生みの親です。
<筒井宣政氏>
国内では生産が無理と言われていたバルーンカテーテルですが、人工心臓開発で培ったノウハウを活かして、開発に成功します。
<「ディア・ファミリー」のキャストと筒井宣政氏>
原作はノンフィクション作家・清武英利の著書『アトムの心臓「ディア・ファミリー」23年間の記録』。
<アトムの心臓 「ディア・ファミリー」23年間の記録 (文春文庫 )>
「ディア・ファミリー」観終わった後に、勇気をもらえる映画です。
2024年6月25日イオンシネマ千葉ニュータウンにて鑑賞。
文中、敬称略としました。ご容赦ください。
『ディア・ファミリー』公式サイトで、予告編、メイキングがご覧になれます。