東宝初の怪奇スリラー作品!
当時、日本のホラー映画は怪談・怪猫ものが主流でしたが、外国の原作を日本の銀幕に映像化した東宝怪奇映画の傑作「幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形」。
山本迪夫監督の手腕と凝りに凝った映像を楽しめます。
DVD化されています。
【山本迪夫監督・談】
プロデューサーの田中文雄君が怪奇映画が好きなんです。僕はヒッチコックの「鳥」のようなショッキングなショットが好きで、「死ぬまでに1本だけ、人が悲鳴を上げるような映画を作りたい」と話しているのを田中君が聞いていて、原作らしきものが送られてきたんです。
当記事は本編内容のほんの一部です。
是非、本編を映像でご覧いただき、お楽しみください。
<注>何度も語られてきたストーリーですので、ご承知の方も多いと思います。
当記事もネタバレを含みますが、何度観ても面白い作品です。
ご一緒に如何でしょうか。
<「幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形」ポスター>
昭和45年7月公開/東宝/カラー・シネマスコープ/71分。
激しい雷雨の夜、タクシーで婚約者の野々村夕子(小林夕岐子)に逢いに、蓼科山中の屋敷に向かう佐川和彦(中村敦夫)。
タクシーの運転手は、東宝特撮でお馴染みの堺左千夫。
運転手:「旦那 この先にホントに家があるんで?」
佐川:「途中で迷ったのは悪かった ここまで来れば間違いないだろう」
運転手:「その様子じゃ 待ってるのは綺麗なネエちゃんじゃないですか」
佐川:「電報を打っておいたのに どうも気になるんだ」
雷雨の前方に1軒の洋館があらわれる、ゴシックホラー感満点の出だし。
運転手:「あっ お客さん!!」
雷雨の洋館をバックに 幽霊屋敷の恐怖「血を吸う人形」のタイトル。
昭和40年代、映画産業斜陽の中、楳図かずおファンである田中文雄(プロデューサー)が企画した怪奇路線。
脚本は小川英と長野洋。
山本迪夫監督の嗜好はショック場面で押す「ショッカー映画」。
「明るく楽しいみんなの東宝」の従来路線とは一線を画した。
【山本迪夫監督・談】
田中友幸さんがプロデューサーで入っていますから「合成とかどれ位使うんだ」言われて「要りません。自分で考えます。」と言っちゃった。だから合成を使ったのは最初の館の全景ですね。いきなりメインタイトルの前にドーンと出るでしょ。あそこで、まずその世界に入ってもらおうと。「血を吸う人形」はやっぱり洋館で、特大のセットを組んだんですけど、天井がないんで、上の部分は合成です。
佐川和彦(中村敦夫)は、婚約者の野々村夕子(小林夕岐子)に逢いに、蓼科山中の屋敷を訪れたが、夕子の母・志津(南風洋子)から夕子の事故死を知らされる。
佐川:「どうもこんな夜分に 私 佐川と申しますが 夕子さん ご在宅でしょうか」
源三:「・・・(無言で佐川を睨めつける)」
野々村家の下男・源三役の高品格は元プロボクサー。
日本映画に感動して俳優を志し、日活のアクション映画やテレビドラマなどで活躍した。
志津:「(無表情で)佐川さん おそおございました 夕子は亡くなりました」
佐川:「えっ!」
志津:「半月ほど前 山道の土砂が崩れ 車ごと」
佐川:「そんな・・・」
志津:「息を引き取る間際まで あの子はあなたのお名前を」
佐川:「僕がアメリカへ発つ前 あんな元気だったのに 信じられません」
夕子の死を信じられず、屋敷に泊まる和彦。
雷鳴と共にかすかに聞こえる女の泣き声に、和彦がドアを開けると!・・・
何が一番怖いって言っても、角で出会い頭にワッとやられたら、一番怖いんじゃないかな。音の恐怖というのもあるわけで、映像の唐突さに音が加味すると、お客さんは飛び上がりますね。音楽の真鍋理一郎さんがまたそういうのが好きなんです。
【小林夕岐子・談】
初めて死美人・夕子(小林夕岐子)が登場するシーン。
劇場へ観に行ったとき、和彦がドアを開けるシーンに、前のお客さんが「キャー」と言われたので良かった、嬉しかったです。
墓地に行く佐川、そこに死んだはずの夕子(小林夕岐子)が現れる。
<小林夕岐子(夕子)、中村敦夫(佐川)>
佐川:「夕子 やっぱり生きていたんだね」
佐川は夕子を抱きしめる。
佐川:「冷たい こんなに冷え切って」
夕子:「お願い 私を殺して」
佐川:「何を言ってるんだ 君は病気なんだね」
夕子:「お願い 私を殺して」
夕子の眼が金色に輝き不気味な笑い。
傷だらけの手には短剣が握られている。
東宝の美人女優・小林夕岐子だから死美人役がハマっている。
彼女は脚本を読んで野々村夕子役が気に入り、大乗り気で演じたと語っています。
山本監督の発案で、小林のメイクには金色のコンタクトレンズが使われたが、このレンズは全く視界が無く、撮影のたびに物にぶつかりそうになったと彼女が話している。
【小林夕岐子】
小林夕岐子は「ウルトラセブン」(第9話・アンドロイド0指令)のアンドロイド少女ゼロワン役や、東宝特撮大作「怪獣総進撃」(昭和43年・本多猪四郎監督)のヒロイン真鍋杏子役が懐かしい。「ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」(昭和45年・本多猪四郎監督)ではセルジオ島の少女サキ役を演じるなど東宝特撮ビューティーズ。
父親は戦前・戦後の映画界の大スター水島道太郎、母親は元タカラジェンヌで女優の山鳩くるみ。
<小林夕岐子>
小林夕岐子の父、水島道太郎・主演の映画「高原の駅よ さようなら」。
<水島道太郎「高原の駅よ さようなら」より>
水島道太郎と香川京子の共演「高原の駅よ さようなら」(昭和26年/新東宝/中川信夫監督)は映画も主題歌も良かった。信濃追分駅での見送り場面に小畑実の主題歌が重なります。
YouTubeで聴いた森昌子の歌唱「高原の駅よ さようなら」主題歌カヴァーも良かった。
【中村敦夫】
中村敦夫は昭和47年のテレビ時代劇「木枯し紋次郎」(市川崑監督・監修)の渡世人・紋次郎役で人気を獲得、後年、政治家としても活躍しました。「必殺シリーズ」などの脚本家・中村勝行は弟。
場面は変わって、恋人の夕子に逢いに行ったきり戻らない兄・和彦を探すため、蓼科の野々村家を訪れた圭子(松尾嘉代)と婚約者の高木浩(中尾彬)。
浩:「帰った!」
志津:「夕子が死んだと知って 随分と落胆されていました」
圭子:「あの 夕子さんのお墓参りさせていただきたいんですが」
志津:「(無表情で)ええ 喜びますは 夕子も」
【松尾嘉代】
松尾嘉代が16歳のときに健気な少女を好演・女優デビューした「にあんちゃん」(今村昌平監督)が懐かしい。
2時間サスペンスドラマに多数出演し、「サスペンスの女王」と呼ばれて人気を得た。
確かな演技力で映画出演も多い。
【中尾彬】
中尾彬は昭和37年、日活ニューフェイスの第5期に合格、加賀まりこ主演の日活映画「月曜日のユカ」(中平康監督)に助演し、期待の新人俳優として注目を浴びる。
前妻は茅島成美、現在の妻は池波志乃。
「血を吸う人形」は今から54年前の作品だけに、松尾嘉代、中尾彬のカップルが若い。
兄は居ず、志津から夕子が事故死したと聞かされた圭子だったが、その言葉に疑惑を抱きながら、夕子の墓参りに向かう。
圭子(松尾嘉代)と高木(中尾彬)は、墓の近くで拾ったカフスボタンに疑惑を感じ、車が故障したと言って屋敷に泊まる。
圭子:「兄のだわ どうしてこんなところに」
浩:「兄さんも墓参りに来たんだろうが この汚れがもし 血だとしたら」
その夜、圭子は野々村邸で女のすすり泣く声とともに、血まみれた夕子の亡霊を見て半狂乱になってしまう。
夕子が登場する中盤の見せ場。
ホラー映画は、ヒロインの絶叫も楽しみの一つ。
夕子がすすり泣くような声は、小林夕岐子ご本人が録音したそうです。
<松尾嘉代(圭子)>
圭子:「きゃぁ~!」
圭子の横の電気スタンドが床に落ち、眼を隠す夕子。
<小林夕岐子(夕子)>
浩が悲鳴を聴いて、駆けつける。
圭子:「浩さん!」
浩:「どうしたんだ 一体」
圭子:「夕子さんが・・・入ってきたのよ」
浩:「何! 寝ぼけたんじゃないのか」
圭子:「夕子さんの手が血まみれで・・・たった今 大ケガした人みたいに」
翌日、野々村家を出た浩と圭子は、死亡診断書から夕子の死に立ち会った山口医師(宇佐美淳也)を訪ねる。
浩:「野々村夕子さん ご存じですか?」
山口:「知ってますよ 事故で死んだときに 私が診た」
圭子:「夕子さんは 本当に亡くなったんでしょうか?」
浩:「圭ちゃん 失礼だよ いきないそんな」
山口:「死因は 全身打撲による内臓破裂」
【宇佐美淳也】
宇佐美淳也(宇佐美淳)は、若い頃に二枚目スターとしての地位を確立。
昭和29年に東映専属となり、脇役として博士や科学者役などでお馴染みでした。
主役で水戸黄門を演じた「水戸黄門漫遊記 怪魔八尺坊主(昭和35年・深田金之助監督)がプログラムピクチャーながら面白かった。
小林夕岐子の父親である水島道太郎と同時代に活躍しており、小林は初対面ながら親近感があったと話している。
特撮テレビドラマ「ミラーマン」で共演した石田信之は、宇佐美について「昔気質の潔癖な方で、時間をきっちり守る方だった」と述懐している。
山口医院を出ると、圭子は真相を確かめたいと、浩の心配をよそに、再度ひとりで野々村家に向かう。
ホラー映画のヒロインって、いつも美人で探究心旺盛。
普通ひとりで幽霊屋敷を調べようなんて思いませんよ。
浩は山口医院に通院していた男(二見忠男)から、夕子が死後に土葬されたことを聞き出す。
<二見忠男、中尾彬(浩)>
男:「兄さん 野々村のネエちゃんの とっときの話 聴きたかねえかい?」
浩:「土葬!?」
男:「しーっ! 頼まれて埋めたのは この俺よ」
浩:「なぜ?」
男:「娘可愛さ 体を燃やすなんて 我慢できないのかもな」
浩:「そういえば 墓の土が ばかに柔らかかった」
男:「金さえ貰えりゃ 掘り返してやってもええんで」
野々村家に向かった圭子は、夕子の母・志津に兄の行方と夕子の死を問い詰めるが、志津と山口医師が共謀して圭子を一室に監禁した。
<高品格(源三)、松尾嘉代(圭子)、宇佐美淳也(山口医師)>
圭子:「奥さんが私をここへ」
山口:「うん 聞きましたよ とても興奮していたので鍵をかけたと」
圭子:「そんな わたしはただ・・・」
山口:「興奮しちゃいかんよ ただの鎮静剤だ」
圭子:「先生 やめて やめてください」
一方、こちらは男(二見忠男)が浩と、夕子の墓を掘り返している。
男:「銭もらっといて こんなこと言うのも何だが 仏が生き返るなんて万が一にも無いぜ」
<二見忠男、中尾彬(浩)>
男:「車の事故ってもんは ひでえや 体中 血だらけだったからね」
浩:「どうした (棺を)開けてくれ」
男:「そうかい じゃぁ 度肝抜かしても知らねえで」
男は浩と、夕子の寝棺の蓋を開けると、寝棺からマネキン人形が飛び出した。
男はマネキン人形に驚いて逃げ出す。
遠方から悲鳴が聞こえ、浩が近づくと、喉首を引き裂かれたその男が横たわっていた。
浩(中尾彬)は謎の白い影を追って野々村家に辿りつき、志津(南風洋子)から夕子が死ぬ間ぎわにかけられた催眠術の話を聞いた。
洋館のセットは東宝の特大ステージに組まれたそうです。
浩:「圭ちゃんは どこにいるんですか? 彼女の兄さんも この屋敷に居るんだ」
志津:「夕子は死にました あの子の怨念が生きているんです」
浩:「霊魂がさまよって人を殺すことなどない」
夕子の母・志津は、浩に真実を語りかけるのでした。
志津:「夕子が死にかけていたあの晩 悪魔が囁きかけました」
・・・回想シーン・・・
<小林夕岐子(夕子)、高品格(源三)、南風洋子(志津)>
夕子:「お母様」
志津:「夕子」
夕子:「私 死にたくない 佐川さんに合わせて」
志津:「私は 悪魔に魂を売りました」
志津:「命が尽きかけた夕子に 催眠術を掛けてもらったのです」
志津:「夕子は蘇りました 暗がりと血を求める悪魔として」
志津:「それでもあの子は 時々 昔の夕子に戻ります」
志津:「そして 私を殺してと泣くのです」
・・・・・・・・・・
<中尾彬(浩)、南風洋子(志津)>
浩:「狂ってる 彼女も あんたもだ」
浩:「原因が催眠術なら なぜ解いてやらないんですか」
志津:「術をかけた人が解かぬ限り・・・」
浩:「誰なんです? その術をかけた人は !」
山口医師(宇佐美淳也)が部屋に入ってくる。
山口:「私だ」
浩:「先生」
山口:「事故の傷が医学では救えないと知った時 私は この一家の不幸を救うため 催眠術を使った」
山口:「だが 私の手に負えない殺人鬼に生まれ変わってしまった」
山口:「あの子が襲わないのは 誰よりも愛した母親と源三だけなんだ」
山口医師は話しながら、浩に催眠術をかけている。
が、浩は圭子の悲鳴を聞いて我に返る。
一方、地下室に閉じ込められた圭子は、気が付いて隠し扉を発見、隣室に立ち入る。
そこで圭子が見たものは、無惨にも喉首を引き裂かれた兄の腐乱死体と、死んだはずの夕子の姿だった。
<小林夕岐子(夕子)>
<松尾嘉代(圭子)>
圭子:「誰か来て!」
浩:「圭ちゃん いま開ける どいてろ」
圭子:「浩さん!」
浩:「ケガは?」
圭子:「夕子さんが!」
浩:「逃げるんだ!」
圭子の悲鳴を聞いてかけつけた浩、だが山口医師(宇佐美淳也)の拳銃が二人に向けられる。
<宇佐美淳也(山口)、中尾彬(浩)、松尾嘉代(圭子)>
山口:「あきらめたまえ」
浩:「あっ 夕子さんが」
その時、短剣を持った夕子が山口医師に近づく。
山口:「(夕子に向かって)夕子 私はな 私はお前の」
その時、夕子の短剣は山口医師の喉首を切り裂き、山口は絶命した。
<小林夕岐子・談>
この血のでる場面、良く出来てて凄かったです。
夕子は次に、浩と圭子に短剣の刃を向ける。
【山本迪夫監督・談】
死者が甦るけど、催眠術で小林夕岐子が死ねない体になるという部分に、僕のショッカー指向というかヒッチコック的なものが出ているかもしれません。やってるうちに乗ってきてしまったんです(笑)。西洋館というのも私の趣味ですね。
しかし、術者・山口医師の死によって、夕子は催眠術の呪縛が解けて、顔面に生前の面影が戻り、床に横たわった。
愛情を注いだ娘・夕子の身に襲いかかった悲劇。
床に倒れた夕子に近寄る母・志津の嘆きを、浩と圭子はじっと見つめていた。
<エンド・ロール>
製作:田中友幸、田中文雄。
田中文雄(プロデューサー)は原案に「催眠術で死者を蘇らせる」というエドガー・アラン・ポーの怪奇小説「ムッシュー・バルディモアの真相」を下敷きにしたと語っている。
また、田中は制作前に、松竹映画から「吸血鬼ゴケミドロ」(昭和43年)を借りて、参考試写を行ったそうです。
【山本迪夫監督・談】
脚本は田中文雄君と話して、長野洋君と話していっぺん作ったんですよね。初めのホンにはー馬車がガラガラやってくるーそこまでやったら日本じゃないよ。結局、途中からどうもうまくいかなくて。自分で書いて自分で撮ると面白みが半減するので、小川英君を入れたんです。僕は「太陽にほえろ!」などで他人のホンは書きますが、自分のホンは書いてないです。
脚本:小川英、長野洋 撮影:原一民
照明:佐藤幸次郎 音楽:眞鍋理一郎
美術:本多好文 録音:富田実
監督助手:渡辺邦彦 編集:岩下広一
合成:三瓶一信 擬闘:宇仁貫三
キャストは、松尾嘉代、中尾彬、中村敦夫、小林夕岐子、南風洋子、宇佐美淳也、高品格。
日本映画屈指の名バイプレーヤー浜村純も役所の公務員役で出演し、野々村家の過去を語ります。
監督の山本迪夫は、昭和44年の三橋達也主演映画「野獣の復活」で劇場用映画監督デビュー。代表作は「幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形」「呪いの館 血を吸う眼」「血を吸う薔薇」の3本からなる血を吸うシリーズで、日本のテレンス・フィッシャー(英・ハマープロ「吸血鬼ドラキュラ」などの監督)と言われた。
1970年代中盤以降からはテレビドラマ「太陽にほえろ!」「土曜ワイド劇場」などテレビ映画の監督に専念していた。
【山本迪夫監督・談】
血を吸うシリーズ三部作のなかで、作品的に気にいているのは「血を吸う人形」です。最後の方の脅かしって言いますか。「こういうのって怖いな」と思っていたのが、スッと出せたようなことがありますね。話が入り組んで怨念が入っていますね。ストーリーを作るのに一番苦労した覚えがあります。だからその分愛着があるんでしょうかね。ショッカーとして一番うまくいったと思っています。
投稿の文字容量を超えるので、記事はストーリーのほんの一部、また山口医師の真の動機などは割愛しています。
是非、本編を映像でご覧いただき、お楽しみください。
お薦めです。
こちらはホラー度満点のDVD「幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形」ジャケット。
当時、映画館での同時上映(当時は2本立てが主流)は何と!同じ山本迪夫監督のサスペンス映画、酒井和歌子主演の「悪魔が呼んでいる」でした。
当初、山本監督は怪奇映画の製作に乗り気ではなかったため、もう一本好きなものを撮って良いと東宝から許可を得て、本作と同時進行で「悪魔が呼んでいる」が製作されました。
「悪魔が呼んでいる」は、角田喜久雄の原作「黄昏の悪魔」を「野獣の復活」の小川英が脚本化、監督は「血を吸う人形」の山本迪夫。
当時、アイドル的人気があった酒井和歌子と、アルフレッド・ヒッチコックに憧れる山本迪夫監督の不条理サスペンスが面白い。
<酒井和歌子「悪魔が呼んでいる」より>
両作、同じスタッフ編成で、製作費を節減する狙いもあったようです。
文中、敬称略としました。ご容赦ください。