女優・加山麗子ファンです。

ある女の浮気調査を依頼された冴えない探偵・浩太郎(内田裕也)と、彼より頭が切れる秘書・美紀(加山麗子)が、予想もつかない連続殺人事件に巻き込まれる日活ミステリーロマンポルノ「エロチックな関係」。

レイモン・マルロー原作「春の自殺者」の映画化。

<内田裕也、加山麗子>

昭和53年製作・配給 にっかつ/上映時間93分。

<日活ロゴ>

洒落たタイトルバックで始まる本作。

藤田敏八、澤田幸弘、小澤啓一らとともに日活ニューアクション路線を支えた長谷部安春監督作品。

その後の日活ロマンポルノ作品にも貢献しています。

長谷部監督のハードボイルドな演出手腕が冴え、謎解きサスペンスとしても楽しめるミステリーエロスの傑作。

投稿は作品のほんの一部の紹介ですが、キュートな魅力の加山麗子の世界をお伝えできれば幸いです。

脚本は「黒い牝豹M」の中島紘一と、長谷部安春の共同執筆。

撮影は安藤庄平。日活で姫田真佐久のキャメラマン助手を務め、「泥の河」(1981年・小栗康平監督)、「スローなブギにしてくれ」(1981年・藤田敏八監督)などの名作(撮影)があります。

キャスト:内田裕也、加山麗子、牧ひとみ、田中浩、井上博一、岡尚美、江角英明。

特別出演に安岡力也、ジョー・山中、西村昭五郎監督。

監督の長谷部安春は鈴木清順監督の一番弟子と言われる人で、日活で「野良猫ロック」シリーズなどのハードボイルド・アクション作品を多数手掛けました。

テレビシリーズ「あぶない刑事」は長谷部が一番多く監督しており、代表作と言えましょう。

 

桧垣浩太郎(内田裕也)は、彼より頭が切れる秘書・美紀(加山麗子)と一緒に小さな私立探偵事務所を開いている。

<桧垣浩太郎(内田裕也)>

浩太郎:「まったく 困った流行だな」

美紀:「何のこと?」

浩太郎:「原因不明の 自殺さ」

 

<秘書・美紀(加山麗子)>

美紀:「あんたは 大丈夫ね」

浩太郎:「は?」

美紀:「ふん だって みんな有名人の お年寄りばかりでしょ」

美紀:「きっともう 何の楽しみも 無くなったのよね」

浩太郎:「楽しみがあるってもんでもないしさ」

美紀:「あら そうかしら ふふふ・・・」

 

暇な浩太郎と美紀が💛💛💛お楽しみの時、黒川建設社長・黒川英雄(田中浩)から、愛人・千恵子(牧ひとみ)の浮気調査依頼の電話が入ります。

 

美紀:「はい 桧垣浩太郎探偵事務所です」

美紀:「えっ 調査を頼みたい!」

浩太郎:「うっ・・・」

 

冴えない探偵役の内田裕也は意外にハマリ役で、なんとも頼りない探偵を好演している。

引き出したのは長谷部安春監督の手腕でしょう。

 

先ほどの電話の主、黒川が桧垣浩太郎探偵事務所を訪ねてきます。

黒川英雄(田中浩)

黒川:「先ほど電話で・・・」

美紀:「黒川様ですね」

 

黒川:「実は 私には妻の他に女がおりまして」

浩太郎:「わかります」

黒川:「千恵子と言うんですが その千恵子を寝取られました」

浩太郎:「不貞の事実を突き止めろと おっしゃるんですね」

黒川:「前金として 30万お渡しすれば よろしいでしょうか?」

浩太郎:「(ゴクリ)30万 もちろんです」

黒川:「どうか よろしくお願いします」

浩太郎:「最善を尽くします」

 

30万の収入に有頂天の浩太郎ですが、美紀に💛💛💛をせがまれます。

美紀:「することして・・・」 💛💛💛

浩太郎:「(ひと汗かいた後 俺たちはゆっくりした気分で食事した)」

浩太郎:「(美紀の食欲は いつもながらモーレツだった)」

浩太郎:「(そして 帰ってからも モーレツで 💛💛💛に たっぷり時間をかけさせられた)」

 

大胆な脱ぎっぷりの加山麗子、性欲が強いという設定が面白い。

内田裕也との濡れ場は、猥褻感なく実に健康的。

 

浩太郎が調査相手の千恵子を尾行すると、浮気相手が二人。

スポーツクラブの支配人田崎修(井上博一)と、佐山病院院長佐山大助(花上晃)だと分った。

<千恵子(牧ひとみ)>

 

千恵子は浩太郎の尾行を知っていて、浩太郎を部屋のベッドに誘う。

💛💛💛。

浩太郎は美人の千恵子に夢中になってしまう。

浩太郎:「(俺は夢を見ているんだ 夢だから きっと覚める しかし こんな夢なら いつまでも覚めて欲しくない)」

浩太郎:「聞きたいことが あるんだ」

千恵子:「私も 話したかったの 黒川に尾行を頼まれたんでしょ」

 

千恵子は、次から次へと男を漁る事は、黒川に命令されてやっている。金のある男を私に近づけてゆする、ゆすり屋だと話す。

千恵子:「あなたなら 私を黒川から助けてくれると 思ったの」

浩太郎「・・・」

千恵子:「一緒に連れて逃げて お願い」

 

浩太郎千恵子にすっかり夢中。

千恵子を苦しめている黒川に会いに行く。

千恵子は浩太郎に、護身用にと拳銃を渡す。

千恵子:「黒川は 何をするか分からない男よ 持ってって」

浩太郎:「どして こんなものを?」

千恵子:「黒川が隠していたの あなたに万一のことがあったら 私生きていけないわ」

 

待っていた黒川は、浩太郎を葬ろうとする。

<黒川英雄(田中浩)>

黒川:「余計なことをしたな 写真とテープを」

浩太郎:「金が先だ」

黒川:「今夜ここに来てもらったのは 永久に君の口を封じるため・・・」

 

そこに千恵子が入って来る。

千恵子:「撃たないで お願い その人を撃たないで!」

黒川:「千恵子 お前たち・・・」

千恵子:「そうよ 私たち・・・」

黒川の銃口が千恵子に向けられた時、とっさに浩太郎の拳銃が火を吐く。

倒れる黒川。

 

千恵子:「死んでるわ 触っちゃダメ すぐ逃げるのよ」

 

黒川を殺した浩太郎は、千恵子との浮気相手、佐山と田崎を脅迫し、逃走資金を得ようとする。

千恵子は佐山、田崎、それに中村勇造(西村昭五郎)を射殺し、浩太郎の前から姿を消してしまった。

 

<佐山(花上晃)>

 

 

<田崎(井上博一)>

 

加山麗子・主演「肉体の門」の監督、西村昭五郎(特別出演)も💛💛💛熱演です。

<中村勇造(西村昭五郎)>

 

 

 

ある女の浮気の調査を依頼された探偵・桧垣浩太郎が、予想もつかなかった連続殺人事件に巻き込まれていく。

 

新聞に浩太郎らしき殺人犯のモンタージュ写真が載っていた。

美紀は、新聞記者の藤島(江角英明)に、この事件の調査を依頼する。

<美紀(加山麗子)、藤島(江角英明)>

藤島:「よう 久しぶりだな やっこさん 元気か?」

美紀:「それが 帰ってこないのよ 心当たりは全部当たってみたんだけど」

藤島:「喧嘩でもしたのか それで おれに頼みっていうのは?」

美紀:「これ見て」

藤島:「なーんだ うちの新聞じゃないか」

美紀:「そのモンタージュ写真 うちの人に似てると思わない?」

藤島:「なるほど しかし奴には 人殺しは出来んよ」

 

古美術愛好グループの秘密クラブが浮かび上がる。

浩太郎が事務所に帰って来る。心配する美紀。

美紀:「帰ってきた言い訳はいいから まず読んでごらんよ」

浩太郎:「(新聞に目を通す)」

美紀:「わかった! あんたは 一巻の終わり! もうじき警察がここに来るよ」

浩太郎:「うそだ ここには載ってないが 俺が殺したのは黒川一人だけなんだよ」

美紀:「説明してちょうだい いったい何があったのか?」

浩太郎:「(俺は 何もかも 美紀に話した)」

 

ラスト、浩太郎は美紀と濡れ衣を晴らすべく、罠にはめた人物を追い、車で黒川の別荘に向かう。

 

浩太郎:「(俺には判らない事が多すぎる 美紀だって切れる方じゃないが いくらかマシだ)」

美紀:「あんた 考えてんだね まだあの女のことを」

浩太郎:「・・・」

美紀:「あたしからは離れられないんだよ」💛💛💛

 

ふたりが別荘に着くと、思わぬ展開が待っていた。

ある夜のパーティーで黒川が少女を惨殺してしまい、困った黒川は、罠を仕掛ける。

殺人の罪を浩太郎になすりつけようとしたのだ。

千恵子の行方は? 殺人事件に巻き込まれ犯人に仕立てられた浩太郎は?

 

加山麗子のガンアクション炸裂! 長谷部監督の日活ニューアクション路線を思い出します。

 

 

 

 

 

 

浩太郎:「美紀!」

美紀:「あんた」

弁護士:「桧垣さん 出所はすぐです どうか ご安心ください」

浩太郎:「(俺は弁護士に 急ぐことはないと 言ってやりたかった しかし 美紀の前では言えなかった)」

美紀:「あたし すごく待ち遠しい」

浩太郎:「うん 俺もだよ」

 

ハードボイルドな演出が冴え、謎解きのサスペンスとしても楽しめる。

ロマンポルノの枠の中で、日活ニューアクション路線を支えた職人監督・長谷部安春の手腕が冴えたお薦めの1本。

大団円と💛💛💛は日活から発売中のDVDでお楽しみください。

 

《加山麗子出演DVD》

 

 

 

 

 

 

「エロチックな関係」に歌手役で特別出演のジョー・山中と内田裕也。

 

<内田裕也、加山麗子、ジョー・山中>

 

【加山麗子】

私立探偵・桧垣浩太郎(内田裕也)の助手・美紀役の加山麗子は北海道函館生まれ。スカウトされて昭和52年・東映「新・女囚さそり特殊房X」(小平裕監督)さそりガールズの一員でデビュー。同年日活の正月映画「肉体の門」(西村昭五郎監督)の主役に抜擢されました。

日活ロマンポルノ作品では「肉体の門」、「ハワイアン・ラブ 危険なハネムーン」(林功監督)、「エロチックな関係」、「金曜日の寝室」(小沼勝監督)の4本で、清楚なムードと大胆な脱ぎっぷりが評判になりました。

 

《過去のアメブロ投稿》

ご訪問ください。

昭和52年以降、「柳生一族の陰謀」「暴れん坊将軍」「特捜最前線」など多くのテレビドラマで活躍し、ポルノスターから脱却しています。

加山麗子・目黒祐樹「柳生一族の陰謀(第34話)より>

千葉真一(柳生十兵衛)主演・テレビ版「柳生一族の陰謀(1978~1979年)」は第1話に映画版を監督した深作欣二を起用し高視聴率(25.6%)を稼いだ。

第34話(松尾昭典監督)は加山麗子の他に深作欣二もゲスト出演し、十兵衛と闘う豪華回。

<深作欣二「柳生一族の陰謀(第34話)より>

 

天地茂が名探偵・明智小五郎に扮した「江戸川乱歩の美女シリーズ」第8作「悪魔のような美女」(昭和54年・井上梅次監督)での加山麗子もお楽しみ。

 

加山麗子、小川真由美「悪魔のような美女」より>

 

「江戸川乱歩の美女シリーズ」は天知茂が明智に扮して昭和52年から死去する昭和60年まで25作品が制作されています。

<天地茂「悪魔のような美女」より>

 

加山麗子は昭和53年、東芝レコードから「うらみ花」を発売。

昭和59年に芸能界を引退しました。

平成4年に若松孝二監督、宮沢りえとビートたけしのキャスティングでリメイクされた「エロティックな関係」に比べて上映される機会の少ない作品ですが、断然面白い。

 

文中、敬称略としました。ご容赦ください。