フランスを恐怖におとしいれる怪盗ファントマを、新聞記者のファンドール(ジャン・マレー)と大笑いジューブ警部(ルイ・ド・フュネス)が大追跡。

キュートな魅力のエレーヌ(ミレーヌ・ドモンジョ)も加わって、笑いとアクションの連続活劇。

007も真っ青の新兵器続出、アンドレ・ユヌベル監督の1965年フランス映画「ファントマ電光石火(Fantômas se déchaîne)」が面白い。

当時、映画館で観た時の面白さにレーザーディスク、買いました。

 

<レーザーディスク「ファントマ電光石火」ジャケット>

 

ジャン・マレー、ルイ・ド・フュネス、ミレーヌ・ドモンジョのレギュラーメンバー。

アンドレ・ユヌベル監督のファントマシリーズは「ファントマ危機脱出」(1964年)、「ファントマ電光石火」(1965年)、「ファントマ ミサイル作戦」(1967年)の3作が制作されました。

今回は私が好きなシリーズ2作目「ファントマ電光石火」。ご一緒に如何でしょうか。

フランス ゴーモンプロ 東和配給 99分カラー フランススコープ

 

ジャン・マレー(新聞記者ファンドール)

 

ルイ・ド・フュネス(ジューブ警部)

 

ミレーヌ・ドモンジョ(ファンドールの恋人エレーヌ)

 

タイトル:ファントマ電光石火(Fantômas se déchaîne)

 

監督・アンドレ・ユヌベル

 

ジューブ警部(ルイ・ド・フュネス)がファントマ捜査の貢献で勲章を受けている会場に、ファントマから「近日参上」のメッセージが届けられる。

<ジューブ警部(ルイ・ド・フュネス)>

 

ファントマはマルシャン教授の研究所に侵入、人間を自由に操るテレパシー光線を手に入れようと教授を拉致。

新聞記者のファンドール(ジャン・マレー)、ファンドールの恋人エレーヌ(ミレーヌ・ドモンジョ)がテレビを観ていると、突然、画面にファントマが現れて犯行を予告する。

ファントマ:「マルシャン教授を誘拐した 新しい武器で私が地球の支配者になる ハハハ・・・」

 

驚くファンドールと編集長(ロバート・ダルバン)。

<編集長(ロバート・ダルバン)とファンドール(ジャン・マレー)>

 

驚いたエレーヌもテレビ画面をカメラでパチリ。

<エレーヌ(ミレーヌ・ドモンジョ)>

エレーヌ:「何てこと!」

 

「ファントマ電光石火」では、007も真っ青の新兵器が続々登場。

マルシャン教授を拉致し、研究所から逃走するファントマの車から謎の兵器が出現。

 

警備員「緊急事態だ 門を閉めろ!」

警備員「止まれ!」

警備員が謎の兵器めがけて発砲するが、ファントマは、謎の兵器を操縦して研究所のゲートを爆破、突破する。

 

「ドカァ~ン」とゲートが爆破され、ファントマの車はマルシャン教授を拉致して逃走した。

 

ファントマ逮捕にやっきになるジューブ警部も負けてはいない。

部下のベルトラン(ジャックス・ディナム)らに敵の意表を衝くアイデア兵器を披露。

<ジューブ警部(ルイ・ド・フュネス)>

ジューブ警部:「コソ泥事件など昔話だ 現代は新兵器! 007にでも先を越されたら赤っ恥だ!」

 

<ジューブ警部の部下ベルトラン(ジャックス・ディナム)>

ベルトラン:「何です? 珍兵器というのは?」

ジューブ警部:「ばか 新兵器だ! 映画であるだろ 敵の意表を衝く新兵器だ 見せてやる」

 

その1。

007も真っ青の秘密兵器、「第3の手」が登場。

ジューブ警部:「銃をわしに向けろ」

ベルトラン:「そんな 大それた・・・」

ジューブ警部:「命令だ!」

ベルトラン:「まいったな」

 

ベルトランが銃を向けるや否や、ジューブ警部の胸元から第3の手が出現!

ジューブ警部:「どうだ もうお前は 死んどるぞ」

ベルトラン:「なんと!」

ジューブ警部:「義手を上げて敵を安心させ、本当の手を出して発砲するわけさ」

 

その2。

葉巻銃。

ジューブ警部は、後手に縛られている時に 銃を持った敵を いかに倒すか実演する。

ジューブ警部:「葉巻だ 葉巻銃 点火してから20秒で発砲する 緊急の時は 端を噛めば すぐ発砲」

 

ジューブ警部が部下に「第3の手」「葉巻銃」を実演する仕草に大爆笑。喜劇俳優ルイ・ド・フュネスの独壇場です。

 

ファントマの次の狙いがルフェーヴル教授ジャン・マレー)と知って、ルフェーヴル教授に変装したファンドール、ファントマを逮捕すべくジューブ警部と部下のベルトランがローマの学会に向かいますが、ルフェーヴル教授に変装したファントマも現れて大騒動。

本物のルフェーヴル教授とエレーヌがファントマに拉致されます。

 

主演のジャン・マレーは、新聞記者のファンドール、ルフェーヴル教授、それにファントマの一人3役です。

 

偶然に仮装舞踏会の情報を入手したファンドール、ジューブ警部、部下のベルトランは秘密兵器を駆使してファントマを捕えようとしますが、逆にファントマの地下基地に捉えられてしまいます。

エレーヌ:「ここは何処かしら?」

 

ジューブ警部:「窮地に落ちたぞ ここはファントマのアジトだ」

 

だが形勢逆転、逃走するファントマをファンドールとジューブ警部が車で追跡。

ファントマを追跡するルイ・ド・フュネスの仕草に大爆笑。喜劇役者の本領発揮です。

ジューブ警部:「急げ! あと20mだ」

ファンドール:「つかまって 突っ切りますよ」

 

何と、ファントマは自分の車に装着したジェットエンジンで大空に逃げる。

 

 

 

ジューブ警部:「そんなバカな!」

ファンドール:「あそこに飛行機がある」

 

ジューブ警部:「警察だ この機を飛ばして あれを追え」

 

ジューブ警部はファントマと戦うべく飛行機の扉を開けようとします。

ジューブ警部:「もうちょっとだ」

ファンドール:「何やってんですか 落ちますよ パラシュートを!」

 

ファントマ:「ハハハハ・・・・」

 

ジューブ警部はパラシュートが無いまま墜落。

ファンドールはパラシュートでジューブ警部を救助、その間にファントマは遙か彼方に逃亡してしまいます。

ジューブ警部:「あきらめんぞ ファントマめ 今度こそ捕まえてやる」

 

【「ファントマ」シリーズ宣伝チラシ集】

日本では2006年に「ファントマ映画祭2006」として、「ファントマ」シリーズ全3作品がリバイバル公開されています。

 

ファントマシリーズ1作「ファントマ 危機脱出(Fantômas)」(1964年)。

オートバイ、汽車、ヘリコプター、モーターボートの大追跡が面白い。ジャン・マレーはスタントマンを使わずに危険な撮影に臨んだそうです。

 

シリーズ2作「ファントマ 電光石火(Fantômas se déchaîne)」(1965年)の懐かしい日劇前「ニュー東宝」のチラシ。

 

シリーズ3作「ファントマ ミサイル作戦(Fantômas contre Scotland Yard)」(1967年)。

ジャン・マレー、ミレーヌ・ドモンジョ、ルイ・ド・フュネスのお馴染みトリオがスコットランドを舞台に活躍するシリーズ最終作。

ファントマシリーズ第4作も企画されましたが、主役のジャン・マレーがルイ・ド・フュネスの主役を食う演技に難色を示し製作されなかったそうです。

それほどジューブ警部役のルイ・ド・フュネスの演技には大爆笑で出色でした。

 

【ジャン・マレー】

新聞記者ファンドール役のジャン・マレーはフランス(シェルブール出身)の俳優。

1937年にジャン・コクトーと知り合い、舞台俳優としての地歩を固める。

フランス映画「美女と野獣」に主演。1960年以降はアクション俳優として活躍した。1956年に岸恵子が主演した「忘れえぬ慕情」(日本・フランス合作・イヴ・シャンピ監督)の出演も忘れ難い。1998年11月 84歳没。

<ジャン・マレー>

<「忘れえぬ慕情」(1956年)ポスター>

 

【ミレーヌ・ドモンジョ】

エレーヌ役のミレーヌ・ドモンジョはフランス(ニース出身)の女優。

キュートな魅力で、同じフランスのブリジット・バルドー(BB)に迫る人気女優でした。

親日家で来日回数も多く、日本映画「ヨーロッパ特急」(1984年・大原豊監督)、「東京タワー」(2004年・源孝志監督)にも出演しています。

<ミレーヌ・ドモンジョ>

<「上と下」(1959年)ポスター>

 

<「お嬢さんお手やわらかに」(1959年)ポスター>

2022年12月に訃報が伝えられました。87歳没。

<2022年12月3日の朝日新聞より>

 

【ルイ・ド・フュネス】

ジューブ警部役のルイ・ド・フュネスはフランス映画で最も有名な俳優の一人で約140本もの映画に出演しています。

当時の興行収入でも第一人者であるフランスの国民的コメディアン、映画俳優。

ハゲ頭、ギョロリとした目玉で大げさな身振り手振りの特有なキャラクターが人気を呼びました。

日本でもファントマシリーズのほかに、1964年から18年間で全6作が作られたジャン・ジロー監督の憲兵シリーズ「大混戦」「ニューヨーク大混戦」「サントロペ大混戦」や、「大進撃」「パリ大混戦」(1966年)などが公開され、映画館で観た頃が懐かしい。

フランス郵便局はフランス映画俳優シリーズで彼の肖像の切手を発行しています。

1983年1月68歳没。             

<「ファントマ 電光石火」新兵器「第3の手」>

 

<「ニューヨーク大混戦」(1965年)ポスター>

 

<「パリ大混戦」(1966年)ポスター>

 

【アンドレ・ユヌベル】

ファントマシリーズのアンドレ・ユヌベル監督はフランス(セーヌ=エ=オワーズ)生まれ。

1941年映画界に入り、映画のプロデュース、美術監督などを経て、「Metier de fous」(1948年)を初監督。ほとんどの映画作品が自分のプロデュースで、興行的にも安定した娯楽派監督。「ファントマシリーズ」や、フレデリック・スタフォード、ミレーヌ・ドモンジョ出演の秘密情報局員が活躍するスパイ・アクション「リオの嵐」(1966年)が懐かしい。1985年11月89歳没

<アンドレ・ユヌベル監督>

 

文中、敬称略としました。ご容赦ください。

 ファントマシリーズはDVDが廃盤のようで、海外版DVD「Fantômas Three Film Collection [Blu-ray]」(英語字幕)はAmazonで発売されています。

ルイ・ド・フュネスの作品もDVD廃盤のようです。彼を知る人は少ないでしょうね。