柊あおい原作、1995年公開の人気アニメ映画「耳をすませば」の10年後の物語が、清野菜名・松坂桃李主演で実写映画化されました。(2022.10.14公開)
アニメ映画で描かれた中学生の月島雫(清野菜名・中学時代は安原琉那)と天沢聖司(松坂桃李・中学時代は中川翼)の出会いから、10年後の大人になった二人のオリジナル物語が、時には爽やかに、時にはドキドキ感で描かれます。
<月島雫(清野菜名)>
<天沢聖司(松坂桃李)>
中学時代と、大人になった月島雫・天沢聖司を交互に見せる脚本・演出(ともに平川雄一朗)が秀逸で、観客を物語の世界に誘います。
平川監督はTVドラマ「義母と娘のブルース(2018年・2020年、TBS)」「天国と地獄〜サイコな2人〜(2021年、TBS)」や、映画「ツナグ(2012年、東宝)」「約束のネバーランド(2020年、東宝)」など私の好きな作品が多くあります。
本作では「日々、僕達は厳しい現実を一生懸命に生きているので、2時間くらいは夢を見られる空間にしたい」とコメントしています。
中学生の月島雫役、安原琉那がキラキラ輝いて見えました。本作が映画初出演だそうですが、将来が楽しみな女優さんです。
<中学生の月島雫(安原琉那)と猫のムーン>
《物語》
読書が大好きな中学生の月島雫(安原琉那)は、図書貸出カードで天沢聖司(中川翼)の名前をよく見かけます。雫は、ある日電車の車内で出会った猫(ムーン)に導かれ、地球屋という不思議な店で聖司と運命の出会いをします。
<地球屋に住む猫(ムーン)>
雫は店内で猫の男爵の人形「バロン」や古いからくり時計など、さまざまな品物を地球屋の主人(近藤正臣)に紹介してもらいます。
<男爵の人形「バロン」>
雫は聖司にひかれていきますが、聖司は夢をかなえるためイタリアへ渡ります。
2人は離れ離れになってもそれぞれの夢を追い、10年後に再会することを誓い合うのでした。
<中学生の天沢聖司(中川翼)と月島雫(安原琉那)>
聖司:「俺 イタリアに行く チェロ奏者になるのが 夢なんだ」
雫:「聖司君がイタリアに行っている間 私もっと勉強して書くから 物語」
児童書の編集者として出版社で働きながら作家になる夢を追い続ける雫(清野菜名)ですが、10年経っても思うように行かず悩んでいます。
<月島雫(清野菜名)>
雫:「10年やってきて 何物でもなくて 相談したい相手は 遠くに行っていて逢えない
判ってるけど 判らないよ 自分がどうすればいいか」
<天沢聖司(松坂桃李)>
松坂桃李は撮影前に1ヶ月ほどチェロの練習に取り組み、撮影現場でプロのチェロ奏者が感心する腕前だったそうです。(平川監督・談)
雫とルームシェアしていた親友の夕子(内田理央)は、10年ぶりに聖司に会うことを後押しします。
夕子:「出てるんじゃない 答え 天沢君に 会いに行くんでしょ」
地球屋の主人で聖司の祖父は「心の声を聞きなさい」と雫を励まします。
<地球屋の主人(近藤正臣)>
地球屋の主人:「耳を澄ますんです そうすると 心の声が 聞こえてくる」
会いたい人がいます。10年後の、二人の物語が、いまはじまる。
杏が歌う主題歌「翼をください」も映像にピッタリで心地いい。
ご家族で、恋人と、映画館でご覧ください。お薦めです。
《キャスト》
月島雫:清野菜名・安原琉那<中学生>
月島靖也:小林隆(雫の父)
月島朝子:森口瑤子(雫の母)
天沢聖司:松坂桃李・中川翼<中学生>
原田夕子:内田理央・住友沙来<中学生>(雫の親友)
杉村竜也:山田裕貴・荒木飛羽<中学生>(夕子の恋人)
雫が勤務する出版社の部長:音尾琢真
雫の勤務先の先輩:松本まりか
雫の勤務先の後輩:中田圭祐
園村:田中圭(出版社で雫が担当する作家の先生)
地球堂の主人:近藤正臣
2022年製作/114分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント、松竹
《あとがき》
主演の清野菜名は高校時代、アクション監督・坂口拓に師事したほどのアクション好き。「東京無国籍少女」(2015年・押井守監督)で映画初主演、ジャパンアクションアワードの最優秀女優賞を獲得しています。
映画「キングダム2 遥かなる大地へ(2022)」の羌瘣(きょうかい)役も記憶に新しいですね。映画「耳をすませば」と同じ女優さんとは思われません。さすがプロフェッショナルです。
<清野菜名・映画「キングダム2 遥かなる大地へ((佐藤信介監督)」より↓>
<清野菜名・映画「キングダム2 遥かなる大地へ」のアクションシーン↓>
文中、敬称略としました。ご容赦ください。