<お知らせ>

本記事は、前回投稿の『映画「黄金孔雀城」を語る(その1)』

がブログ文字数制限により中断した記事の続きです。

前回投稿の『映画「黄金孔雀城」を語る(その1)』からご訪問ください。

 

 

 

「新諸国物語 黄金孔雀城(四部作)」北村寿夫原作・NHKラジオ連続放送劇を映画化した昭和36年・東映京都製作の冒険活劇時代劇です。

60年前、映画館で観ました。

当時の若手俳優のフレッシュな演技と、お馴染みの悪役俳優が顔を揃え、ジュブナイル(少年少女向け)ながら、今観ても面白い波乱万丈の物語。嬉しい事にDVD化されました。

懐かしの映画「新諸国物語 黄金孔雀城」の物語とキャスト(出演者)を記述します。

DVDで本編の鑑賞、お薦めです。

足利幕府下の京都を舞台に、海賊に滅ぼされた黄金孔雀城の末裔が、海賊だった代官と妖術使いを相手に死闘を繰り広げます。

まだテレビが普及していない時代、正邪の忍術合戦は子供ながらに楽しかった。

東映スコープの大銀幕に展開する冒険時代劇は魅力いっぱい。毎週映画館に行くのが楽しみでした。

新諸国物語 黄金孔雀城四部作 後半を一挙上映!

【新諸国物語 黄金孔雀城 第三部】

NHKラジオでドラマ化された時の「新諸国物語 黄金孔雀城」主題歌「モッチャベン」(作詞:北村寿夫、作曲:福田蘭童、歌:ペギー葉山)がタイトルに合わせて流れます。

よく判らない歌詞ですが、メロディーと共に、今でも頭から離れません。映画版の歌唱はペギー葉山ではありません。

<主題歌>

♪ さあ~さ 皆さん 寄っといで  外題は黄金孔雀城  傀儡(くぐつ)回して進ぜましょう  モッチャ べンタラ モッチャべン  オモロでコモロで  モッチャべン ♪ 

 

昭和36年「新諸国物語 黄金孔雀城(第三部)」/カラー/東映スコープ/57分

火打丸(河原崎長一郎)の行く手に、竜神太郎(楠本健二)の火焔の妖術!!

<河原崎長一郎(火打丸)>

火打丸:「見ろ あれは何だ!」

 

 

竜神:「ハハハ・・・ 火打丸 この竜神太郎が焼き殺してくれるわ!」

 

<楠本健二(竜神太郎)>

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【思い出のキャスト・楠本健二

竜神太郎役の楠本健二は、東映時代劇、やくざ映画などで、よく見かけました。東映京都の昭和29年「真田十勇士」(河野寿一監督)で映画デビュー。テレビドラマなどでも活躍した名脇役ですチャンバラトリオの南方英二は弟さん。

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火打丸は、竜神の火焔の妖術を孔雀の勾玉で防いだ。

河原崎長一郎(火打丸)>

火打丸:「黄金孔雀城の神霊 我にあり 妖術よ失せろ!」

 

竜神が出現する特撮は見せ場の一つ。キャメラ(撮影)は松井鴻 で、昭和34年「旗本退屈男 謎の大文字」(佐々木康監督)、昭和35年「ひばり捕物帖 折鶴駕篭」(工藤栄一監督)、昭和37年「源氏九郎颯爽記 秘剣揚羽の蝶」(伊藤大輔監督)など多くの東映時代劇の傑作を手掛けています。特殊撮影も担当したかは不明。

 

左近(沢村訥升)は人恋山で黒冠者(里見浩太郎)から、孔雀の鏡を持っている紅菊(吉川博子)、勾玉を持っている火打丸(河原崎長一郎)が孔雀城の同志であると聞かされる。

 

人恋山に向っていた又四郎(中村竜三郎)紅菊黒兵衛(富久井一朗)は、たたり姫(永井三津子)の妖術に罹り、左近を殺そうとする。

<富久井一朗(黒兵衛)・吉川博子(紅菊)・中村竜三郎(又四郎)>

又四郎:「行きましょう 人恋山へ」

紅菊:「兄上(黒冠者)から 左近を奪い返すのです」

黒兵衛:「そして左近を斬り その首を 権太夫に届けるのです」

 

一方、たたり姫の妖術にかかった白菊扇町景子)は、東山の別邸で弾正(柳永二郎)の意に従おうとしていた。

<扇町景子(白菊)・柳永二郎(弾正)>

だが、勘助(坂東吉彌)が吹く時雨丸の笛の音に、たたり姫の術が解け本心をとり戻します。

弾正に反抗した白菊は、入牢されました。

扇町景子(白菊)>

弾正:「どこぞで笛が聞こえる」

白菊:「・・・(我に返って) ここは ここは何処でございましょう」

弾正:「何を言う ここは わしの 東山の別邸じゃ」

白菊:「えっ なぜ私がここに 私は夢を見ていたのでございます」

 

左文字山城新伍)は時雨丸の音が、たたり姫の術を破ることを知り、勘助を人恋山へ急がせ、弾正の牢に忍び込んで白菊を救出します。

<坂東吉彌(勘助)・山城新伍(左文字)>

左文字:「おぬし その笛を持って 早く人恋山へ行くんだな」

勘助:「人恋山へ?」

左文字「笛の力で 早く呪いを解かないと 又四郎たち3人が とんでもないこと仕出かすぜ」

 

人恋山に玄九郎(吉田義夫)、竜神太郎、たたり姫が現れる。

呪いをかけられた又四郎、紅菊、黒兵衛が、左近、黒冠者に向って斬りつけた。

左近、黒冠者、かつら木と、玄九郎ら妖術トリオとの妖術合戦が展開します。

 

<永井三津子(たたり姫)・楠本健二(竜神太郎)・吉田義夫(玄九郎)の妖術トリオ>

到着した火打丸が勾玉をかざし危機を脱しますが、玄九郎の妖術で左近、又四郎、紅菊、黒兵衛が呪いの島に連れ去られてしまいます。

 

左近、紅菊、火打丸の3人は孔雀城の兄弟と判った。

<里見浩太郎(黒冠者)・松浦築枝(かつら木)・河原崎長一郎(火打丸)>

黒冠者:「あなたは 孔雀城の王子!」

火打丸:「そうです 孔雀城再興を志して 13騎の家臣と日本へ渡ってきました」

黒冠者「火打丸殿 今ここに お二人の兄弟 左近 紅菊が 揃っていました」

火打丸:「えっ」 

黒冠者:「しかし いま 妖術師に連れ去られてしまいました」

<松浦築枝(かつら木)>

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【思い出のキャスト・松浦築枝

黒冠者を助ける乳母かつら木役の松浦築枝は、大正14年の「乱刀」(二川文太郎監督)で本格的にデビュー。市川右太衛門、片岡千恵蔵、月形龍之介らと共演している名女優。戦後は東映京都撮影所の専属女優となった。映画監督の松田定次夫人。平成11年92歳没。

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呪いの島に閉じこめられた左近、又四郎、紅菊、黒兵衛は、紅菊が持っていた孔雀の鏡で、たたり姫の術が解ける。小舟にのって脱出しようとしますが、竜神太郎の妖術で海が荒れはじめます。

左近:「待て 怪しい気配がする」

またしても竜神出現!

左近:「おのれっ!」

竜神:「ハハハハ・・・・(笑い声)」

 

一方、白菊と共に、人恋山に向かう孔雀城の美鈴(朝風みどり)、左文字の子分・万太郎(宮崎照男)らは玄九郎、たたり姫に襲われる。

<朝風みどり(美鈴)・扇町景子(白菊)>

白菊:「いけません 目を見てはなりません たたり姫の術にかかります」

美鈴:「・・・・」

玄九郎:「目を見ないで どうして戦えるのだ ハハハ・・・」

たたり姫:「さて 誰から迷わそうか・・・」

そこに左文字、黒冠者、火打丸が現われ、玄九郎、たたり姫は退散した。

しかし、権太夫が輩下の軍勢で周囲をとりまいた。

大勢の権太夫の軍勢を前に、孔雀城の一団に危機迫る!!

竜神に襲われた左近、又四郎、紅菊、黒兵衛の運命は如何に!

 

新諸国物語 黄金孔雀城 完結篇】

 

昭和36年「新諸国物語 黄金孔雀城(完結篇)」/カラー/東映スコープ/55分

波乱万丈の物語も、いよいよ完結篇。

左近(沢村訥升)、又四郎(中村竜三郎)、紅菊(吉川博子)、黒兵衛(富久井一朗)の前に、竜神太郎(楠本健二)が出現。

小舟の4人に危機が迫る。

竜神:「ハハハ・・・(笑い声)」

左近:「紅菊 鏡を」

紅菊:「はい」

吉川博子(紅菊)>

紅菊の持つ孔雀の鏡の威力で、竜神は威力を失い退散した。

 

権太夫(富田仲次郎)の元に弾正(柳永二郎)から伝令が届き、権太夫の軍勢は代官所に引き上げた。

<富田仲次郎(権太夫)>

伝令の武士:「殿 一大事でございます」

権太夫「何 誠か!」

玄九郎「お頭 どうなされた」

権太夫「引き上げじゃ その方達も 代官所に引き上げるのじゃ」

 

竜神太郎に襲われ海岸にうち上げられた左近、紅菊、又四郎、黒兵衛は、漁師源左衛門(有馬宏治)、息子の源太(和崎隆太郎(和崎俊哉))一家に助けられた。源左衛門は昔、孔雀城に品物を納めていた南国丸の船主で、南国丸は海賊・権太夫に奪われたのだった。

源左衛門:「琉球にゆかりの方か あぁ いい島だった 城主の運天王様のお姿は よく覚えている」

 

富久井一朗(黒兵衛)>

黒兵衛:「あんた 孔雀城 知ってんのかい?」

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【思い出のキャスト・富久井一朗

黒兵衛役の富久井一朗は、昭和36年東映の「忍術真田城」「忍術大阪城」(小野登監督)の穴山小助役、昭和40年の東映テレビ映画「新選組血風録」(栗塚旭主演)の新選組小者・半助役が懐かしい。

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<有馬宏治(漁師源左衛門)>

源左衛門:「わしは孔雀城に品物を納めていた南国丸の船主じゃった」

源太:「父の南国丸を奪ったのは 海賊の権太夫だ!」

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【思い出のキャスト・有馬宏治

漁師・源左衛門役の有馬宏治は東映時代劇全盛期によく見かけました。映画は昭和2年帝國キネマに入社。戦後は東横映画から東映と映画一筋で、東映時代劇の中堅として活躍。東映のテレビ映画でも昭和40年「新選組血風録」での池田屋の主人、「われら九人の戦鬼」(いずれも栗塚旭主演)、「素浪人月影兵庫」(近衛十四郎主演)、「銭形平次」(大川橋蔵主演)など限りがない。

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弾正は将軍の御所を襲撃、一気に将軍を倒し、天下を手中に収めようと権太夫の軍勢を呼び戻したのだ。

 

一方で玄九郎(吉田義夫)、竜神太郎、たたり姫(永井三津子)を人恋山に向わせ、黒冠者(里見浩太郎)らを一挙に倒そうと図った。

正邪入り乱れての乱戦が面白い。

時雨丸の法力に見破られたたたり姫は、黒冠者に倒された。

 

左近は小田上総介伏見扇太郎)と出会う。

上総介(かずさのすけ)は天下の乱れを正さんと、兵を進めている。

伏見扇太郎小田上総介)・左は南郷京之助(鏑木将監)>

上総介:「上総介と申す」

左近:「小田上総介どのか?」

上総介:「孔雀王子と名乗ったな その証は」

左近:「証拠は・・ 私の目だ」

上総介:「何!」

(中略)

上総介:「この上総介も 天下の乱れを正さんと 兵を進める」

上総介は左近らの通行を許し、妖術師が一同を狙っていることを教えた。

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【思い出のキャスト・伏見扇太郎

完結篇に登場する小田上総介役の伏見扇太郎は、昭和30年の東映時代劇「月笛日笛」(丸根賛太郎監督)でデビュー。同年「まぼろし小僧の冒険」(萩原遼監督)、「天兵童子」(内出好吉監督)、翌年「風雲黒潮丸」(深田金之助監督)、「孫悟空」(佐伯清監督)などに主演しました。子供向け作品が多かったが大変な人気だった事を思い出します。昭和43年、結核にかかるなどで不遇な晩年だったようです。

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人恋山で、左近と伴侶になる白菊(扇町景子)が、勘助(坂東吉彌)と妹しのぶ(三原有美子)が再会した。

万太郎(宮崎照男)は、風の左文字の子分。

宮崎照男(万太郎)・三原有美子(しのぶ)・坂東吉彌(勘助)・扇町景子(白菊)・沢村訥升(左近)>

<松浦築枝(かつら木)・吉川博子(紅菊)

紅菊:「お兄様(黒冠者)は?」

かつら木:「まことの父上 足利義季様と 孔雀城の怨みを晴らすために 都に行かれた」

左近:「なに 都へ!」

白菊:「若様 私たちも行きましょう 都へ」

左近:「よし 行こう 白菊 一緒に行くか?」

白菊:「はい」

かつら木:「そうじゃ 戦うのじゃ 若いものが力を合わせて 世の中をつくり治すのじゃ」

 

大団円は黒冠者左近火打丸、左文字、白菊、又四郎、紅菊、黒兵衛、漁師源左衛門、息子の源太など、正義のオールスターが、一挙に弾正、権太夫らを倒さんと、弾正の屋敷を襲撃する。

上総介の軍勢も弾正の屋敷に向かい、最後の決戦が始まった。

東映京都の大セットに展開する迫力のチャンバラシーンと忍術合戦は必見、東映時代劇映画の独壇場。

 

孔雀城の3兄妹が集合、打倒、権太夫!

<河原崎長一郎(火打丸)・吉川博子(紅菊)・沢村訥升(左近)>

火打丸:「兄上っ!」

左近:「火打丸!」

<富田仲次郎(権太夫)>

黒冠者 vs.玄九郎・竜神太郎、凄まじい最後の忍術合戦!

 

 

黒冠者と松永弾正、最後の戦い!

<里見浩太郎(黒冠者)・柳永二郎(松永弾正)>

黒冠者:「待てぇ弾正! 私は その方の裏切りで世を去った 先の将軍 義季の子だ」

弾正:「うむ さては貴様が・・・」

 

執権・松永弾正、権太夫一派は、正義の剣に倒れた。

孔雀の秘宝をかざした剣と忍術が、邪悪な玄九郎・竜神太郎の妖術を破ったのは言うまでもない。

黒冠者を兄と慕っていた紅菊、いや孔雀城のあこや姫。

<吉川博子(紅菊)>

紅菊:「今まで長い間 まことのお兄様と思って お慕いしておりました」

黒冠者:「今日からは 黄金孔雀城の あこや姫さま お幸せを祈ります」

 

左近:「黄金孔雀城を興す 三つの守り神です」

<伏見扇太郎(小田上総介)>

上総介:「南の島に 平和な城が出来る事を 上総介も楽しみにしている」 

 

黒冠者:「南の島へ 光が帰って行くんだ」

ナレーション:「海をへだてた 遠い南島に 孔雀城と呼ばれる 美しい城が築かれ 末永くいつの世までも 人々の幸せを守って 黄金色に輝いて そびえたと 伝えられる」

お付き合いいただきまして、ありがとうございました。

東映京都の時代劇「新諸国物語 黄金孔雀城」の面白さをお伝えできたでしょうか?

 

ブログ文字数制限で、2回に分けて投稿しました。

記事をだいぶ割愛しましたので、意味不明な個所もあろうかと思います。

また、写真は東映チャンネル放映時の物を拝借いたしました。

波乱万丈の四部作・3時間37分。DVDで本編の鑑賞、お薦めです。

文中、敬称略としました。

以上、ご容赦ください。

<追記>

昭和36年、姉妹編の「新黄金孔雀城 七人の騎士(三部作)」(山下耕作監督)も製作・公開されました。

 

「新諸国物語 黄金孔雀城(四部作)」DVD化されています。