映画「新幹線大爆破」

NHK・BS 2021年2月15日(月)13:00放映予定!!

東映・昭和50年製作(1975年)カラー・ワイド 152分。

シニア世代には懐かしい、リアルタイムで観た邦画サスペンス映画の傑作の1本で、私の好きな作品。

新幹線ひかり109号に爆弾を仕掛けた。時速80kmを下回ると爆発する」という犯人からの電話。

珍しい高倉健の犯人役。

高倉は「大変面白い脚本で、久しぶりにのってるんです。犯人役でも構わない」と当時のインタビューで語っている。

「新幹線ひかり109号に爆弾を仕掛けた。」

 

 

新幹線運転指令長(宇津井健)。適役です。

 

ひかり109号運転士(左から小林稔侍、千葉真一)。 

 

爆弾を仕掛けた犯人グループ(高倉健、山本圭、織田あきら)、

新幹線運転指令長(宇津井健)、ひかり109号運転士(千葉真一)が主要キャスト。

 

警察(青木義朗)、鉄道公安本部長(渡辺文雄)、ひかり109号車掌長(福田豊土)などが絡んで、ストーリー展開もテンポが良い(脚本:小野竜之助・佐藤純弥)。

音楽(青山八郎)もサスペンス感を盛り上げている。

監督は“ミスター超大作”と呼ばれた「君よ憤怒の河を渉れ」「未完の対局」「敦煌」の佐藤純弥。

 

<犯人グループ(左から高倉健、織田あきら、山本圭)>

 

当時、新幹線に爆弾を仕掛けたという電話は週に1本の割合でかかって来たそうです。

安全が謳い文句の国鉄から撮影協力を拒否されたため、ミニチュアの新幹線と実際の新幹線を撮った映像を組み合わせ、迫力のある走行シーンを、セットも本物そっくりにと、実際の車両メーカーから調達して作ったという。

 

<撮影所の中庭260㎡に線路を敷いたオープンセットを建設>

 

<資料写真を参考に、撮影所内に運転指令室を作りあげた>

 

浜松駅付近、巧みなポイント切替で新幹線がすれ違う特撮シーンの迫力、犯人と国家との攻防が凄い。

特殊撮影(小西昌三、成田亨)に総製作費(1億5000万円)の半分近い額が費やされたと云われている。

シュノーケルカメラ(小型特殊カメラ)が劇映画で初めて使用され、現実では不可能な浜松駅付近での迫力ある走行列車すれ違い特撮シーンミニチュアワーク)が見どころ。

 

ひかり109号は、浜松駅前方の故障車両を避けるために、上り線を通す事に。

 

ところが上り線はひかり20号が東京方面に向かって進行中。

 

シュノーケルカメラによる現実では不可能な走行列車すれ違い特撮シーン

 

109号運転士(千葉真一)も緊張の瞬間。

 

ポイント操作で、先にひかり20号を通してから、109号を上り線に入れる。

国鉄から撮影協力を拒否されたため、走行列車すれ違いシーンを特撮で一気に魅せる。

 

ひかり109号は速度を維持したまま、博多へ南下。

新幹線が停止できない緊迫感の中で展開するノンストップサスペンス。

この斬新なアイデアは、ヤン・デ・ボン監督の「スピード」(1994年)にも流用された。

 

岡田茂東映社長の製作指示で、東映東京撮影所が総力を結集した傑作、犯人側の背景も描かれ、単なるパニック映画ではない。

最後まで目が離せないノンストップサスペンスの結末は、2月15日(月)13:00の放映で!

お薦めです。

 

その他のキャスト

志村喬(国鉄総裁)

竜雷太(鉄道公安官)

山内明(内閣官房長官)

永井智雄(国鉄新幹線総局長)

鈴木瑞穂(警察庁捜査第一課長)

志穂美悦子(国鉄本社電話交換係)

千葉治郎(救援列車の運転士。千葉真一の実弟)

黒部進(刑事)

その他女優陣に、宇津宮雅代、多岐川裕美、藤田弓子、片山由美子。

 

新幹線のミニチュアは1台1メートル余りあり、重要感が出ている。

鉄道模型マニア必見です。

 

シュノーケルカメラは2年後に製作されたジョージ・ルーカスの「スターウオーズ」(1977年)でも使用された。

 

任侠路線衰退の東映が活路を求め、製作費を注ぎ込んだ「新幹線大爆破」、キネマ旬報の読者選出ではベストワンに選ばれるなど評価が高かったが、国内興行は成功を収められなかった。

東映営業部では「映画の内容がハイブローすぎて、ヤクザ映画とポルノが好みの東映ファンにソッポを向かれた」などと分析している。

 

国内公開終了後、アメリカの業界誌「バラエティ」で高く評価され、世界各国から注文が入った。

特にフランスでは犯人グループの回想シーンをカットし、犯人と国家との攻防を中心に編集した上映時間100分の「Super Express 109 」で公開、大ヒットを記録している。

 

 

フランス版タイトル。

 

“KEN TAKAKURA”

 

1976年、日本でフランス語吹き替え版が凱旋公開された。

日本で不入り映画が再上映されるのは珍しい事例といわれる。

 

製作費をかけた新幹線車内や司令室のセットは、TV映画「新幹線殺人事件」((土曜ワイド劇場)や、TVシリーズ「新幹線公安官」などに使われ、そのレンタル料で完全に元を取ったそうです。

 

「新幹線大爆破」は本編、海外版ともにDVD発売中。

<「新幹線大爆破」DVDジャケット>

 

<「新幹線大爆破(海外版)」ジャケット>

 

「新幹線大爆破」予告編 https://www.youtube.com/watch?v=nZXFru-AonE