2014.12.30

バンクーバーの朝日(日本映画)

        

日本からの移民。

新天地を夢見て、遥か遠くカナダに渡った彼らを待ち受けていたのは、差別、貧困といった厳しい現実であった。

 

戦前、1914年~1941年カナダ・バンクーバー日系移民の野球チーム(バンクーバー朝日)が、逆境を乗り越えて活躍した実話を、日本アカデミー賞受賞に輝く二人、「舟を編む(2013年)」の石井裕也・監督、

「8日目の蝉(2011年)」の奥寺佐渡子・脚本という、いま旬の組合せで映像化した物語に惹きこまれた。


 

バンクーバー朝日は体格で上回る白人チームに負け続けるが、頭脳野球により、やがて、カナダ人野球チームを打ち破り、白人からも熱狂的に支持されるようになるが、1941年日本軍の真珠湾奇襲により太平洋戦争が勃発、選手と日本人街の人々は「適性外国人」となり強制移住させられ、チームは解散する。


戦争とは、こんな遥かカナダ日系移民の人々までにも、重圧の影が忍び寄るものだ。

 

2003年、野球文化への功績が認められ、カナダ野球殿堂入りを果たすが、当時の選手は殆ど生存していない。

 

映画は強制移住させられる場面で終わるが、その後の続編も、同じスタッフ、キャストで観てみたい思いがする。

 

製材所で肉体労働に就き、ショートを守るキャプテンに妻夫木聡、エースピッチャーに亀梨和也、佐藤浩市、高畑充希、宮崎あおい、上地雄輔ほか豪華キャストが集結した。

 

全篇、日本で撮影しているそうだが、カナダの雰囲気が充分伝わってくる近藤龍人の撮影、原田満生の美術が秀逸だ。

 

お薦めの秀作である。

 

文中、敬称を省略しております。ご容赦下さい。

シネマスコープ・カラー 133分 東宝配給

 

2014.12.23イオンシネマ千葉ニュータウンにて鑑賞