2011年5月22日(日) 雨雨

雪之丞変化(東映映画・1954年製作)

東京・京橋の「東京国立近代美術館フイルムセンター」では、保存用として旧作映画を収集し、ニュープリントの作成を行っている。

 

5月は【よみがえる日本映画vol2・東映篇】として、東映映画初期の作品を当ホールの大スクリーンで上映している。

 

原版素材の整備で再上映が可能となった過去の作品を鑑賞できる機会は素晴らしい。映画は大スクリーンで観たいものだ。

 

雪之丞変化は昭和10年から朝日新聞に連載された三上於菟吉さんの時代小説で、映画では長谷川一夫さん主演で戦前(昭和10年松竹・衣笠貞之助監督)、戦後(昭和38年大映・市川 監督)の作品がよく紹介されている。

本日は「東京国立近代美術館フイルムセンター」で、昭和29年(1954年)製作の東映映画・東千代之介版「雪之丞変化」を鑑賞。

 

57年も前に製作された東千代之介さんの映画デビュー作品だが、ニュープリント上映で画質・音質も良い。

 

観客はさすがに中高年者が多い。定員310名の大ホール。座席が8割程度埋まっており、新作を上映しているシネコンより観客が多いような気がした。

 

主演の東千代之介さんは日本舞踊家で、中村雪之丞と怪盗闇太郎の二役を演じ、陰と陽を表現した演技がいい。

土部三斎を如何にも悪役ですと云わんばかりのメイクで名優・薄田研二さんが怪演、土部三斎の娘・浪路を可憐な高千穂ひづるさん、へまが多い悪役・門倉平馬を名優・原健策さんが演じ、何故か笑いを誘う。

 

『雪之丞変化第一部 復讐の恋』 『雪之丞変化第二部 復讐の舞』  『雪之丞変化第三部 復讐の剣』  の三部作構成。

各話1時間弱のモノクロ・スタンダード作品だが、娯楽映画の要素が詰まっている。定石の雪之丞危機一髪の場面で次回へ繋げるクリフハンガーの演出も楽しい。

 

西条照太郎さんの脚本を河野寿一さんが監督している。

河野監督は、この「雪之丞変化」、「里見八犬伝」、「少年猿飛佐助」など、東映娯楽版の基礎を作った。

また、東映京都テレビプロダクションに移籍してから「忍びの者」(品川隆二さん主演)、「新選組血風録」、「俺は用心棒」(共に栗塚旭さん主演)等の良い作品を残している。

 

この「雪之丞変化」の直後に東千代之介さんが中村錦之助さんと共演した「新諸国物語・笛吹童子・三部作(萩原遼・監督)」が大ヒットして、東映時代劇の黄金期が到来する。

この「雪之丞変化」は今年、東映チャンネル(CS放送)で放映していたので、今後テレビで鑑賞できる機会もあろう。

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(2011年5月22日・「東京国立近代美術館フイルムセンター大ホール」で鑑賞)

 

6月「東京国立近代美術館フイルムセンター」小ホール(定員151名)で京橋映画小劇場 No.22アンコール特集と題して、下記の上映を予定している。 
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<上映スケジュール>

東京国立近代美術館フイルムセンター ホームページ

http://www.momat.go.jp/FC/fc.html