2010年12月12日(日) 晴
武士の家計簿(2010年・松竹映画)
時代は幕末から明治。古本屋で偶然発見された下級武士一家の家計簿からひもといた原作。当時の暮らしぶりを、ベテラン森田芳光さん(監督)が丁寧に撮っており共感が持てる。
この家計簿をつけた加賀藩の経理係、猪山直之(堺雅人さん)を中心に、その妻、お駒(仲間由紀恵さん)、母(松坂慶子さん)、父(中村雅俊さん)、おばばさま(草笛光子さん)息子(伊藤祐輝さん・大八木凱斗さん<子役>)一家のホームドラマ。
刀ではなく、そろばんで家族を守った武士がいた。貧しいときも、豊かな愛をそそぎ続けた妻がいた。
台詞に『貧乏と思えば暗くなりますが、工夫だと思えば面白い』とあるように、借金返済のため、嫡男を武士として縁者に示すお披露目での出費を抑える知恵、家計立て直しのための家財一式処分、質素倹約などなど。
堺さんはまさに適役。仲間さんもTVドラマで芯の強い武将の妻を演じており、これまた適役。
昨今の時代劇映画ブームのなかで、チャンバラ・シーンがない異色のドラマを楽しんだ。こういう作品、好きです。磯田道史さんの原作「武士の家計簿」を読んでみたくなった。
(映画館配布のチラシ)