お宝DVD 新選組血風録(昭和40年製作)
昭和40年代、映画産業斜陽時代を迎え、時代劇の老舗・東映は昭和38年に「東映京都テレビプロダクション」を設立、本格的なテレビ時代劇映画の製作に乗り出す。
昭和40年に司馬遼太郎さん原作の「新選組血風録(全26話)」を製作、NET(現・テレビ朝日)で放映された。
私が高校生の頃、「新選組血風録」を 全話、リアルタイムで観ている。
脚本(結束信二さん)、監督(河野寿一さん、佐々木康さん)は、東映時代劇映画全盛時代、中心になって活躍された方々で、ストーリーも演出技法も従来のテレビ映画にない、秀逸な作品だ。
モノクロ作品のため、再放送もされず、30年以上前に東映からビデオが発売されたが、高価で数話しか発売されず、長年残念な思いだった。
<新選組血風録①のビデオテープ・ジャケット>
懐かしの“SONY・βⅡ(ベータ・マックス)”時代のビデオテープ・ジャケットですよ。 βⅡ知ってます?
2話分収録で9800円と高価だが、すぐに予約して購入。
土方歳三・・栗塚旭さん 近藤勇・・舟橋元さん
沖田総司・・島田順司さん 斉藤一・・左右田一平さん
原田左之助・・徳大寺伸さん 井上源三郎・・北村英三さん
山崎烝・・坂口祐三郎さん 永倉新八・・有川正治さん
藤堂平助・・国一太郎さん 山南敬助・・早川研吉さん
当時、知ってる俳優さんは舟橋元さん、徳大寺伸さんぐらい。
主演の栗塚旭さんは東映京都テレビプロダクション第1回作品「忍びの者(品川隆二さん主演)」で明智光秀を演じ、存在感があった。
新選組血風録以降、数回、映画やテレビで”土方歳三”を演じている。
島田順司さんは、まだ研究生だったそうだが、自然体の演技で沖田総司役にピッタリ
<沖田総司役の島田順司さん>
左右田一平さんも「忍びの者」に忍者役で出ていた。
第19話「あかね雲」でいい味出している。
坂口祐三郎さんはテレビシリーズ「仮面の忍者・赤影」 で人気が出た。 第9話「池田屋騒動異聞」では、新選組監察・山崎烝を熱演。
新選組裏面史を描き、毎回違う隊士にスポットをあてた物語で、演じる俳優さんにも自然と熱が入っていた。
第一話では、ゲスト出演に嵐寛寿郎さん(鞍馬天狗役で有名)、丘さとみさん(東映の美人女優さん)と、知名度のある俳優さんを起用。
また、迫力ある有名な池田屋斬り込み場面を冒頭に持ってきて、視聴者にテレビのチャンネルを変えさせない策略だったらしい。
視聴者は”嵐寛が出るから観てみようか”というところだろうか。
嵐寛寿郎さんのギャラが栗塚さん他レギュラーメンバー6人合わせた額と同じだったそうだ。
製作費の低予算が窺われるが、かえって、いい作品を作ろうという、新人キャストの熱意が伝わってくる。
最終話に「放浪記」の森光子さんが、ご本人の熱望でゲスト出演している。
新選組血風録は全話、完成度が高いが、私の好きなストーリーは、
第1話「虎徹という名の剣」と第6話「鴨千鳥」で2度ゲスト出演した丘さとみさんの演技が印象的。
第19話「あかね雲」、第24話「風去りぬ」の胸にジンと来る話もたまらない。
今は、待ちに待った「新選組血風録」がDVDで全話発売されている。
TSUTAYAレンタルショップにも在庫あり。面白さを確認願いたい。
<新選組血風録」がDVDで全話発売
時代劇専門チャンネル(CS放送)でも6月から「新選組血風録」に続き、同じメンバーの司馬遼太郎さん原作「燃えよ剣」を放映してる。昔の作品が何時でも観られる、いい時代になった。
2004年に放送されたNHK大河ドラマ「新選組!」は、栗塚さんが土方歳三の兄役で、島田さんが、沖田が晩年療養した植木屋さんの亭主役で出演と、往年の名作を意識した配役となっていた。
書籍の紹介です。
2000年に「テレビ映画<新選組血風録>の世界(黒須洋子・著」が新人物往来社から発刊されている。
全26話の物語・解説、スタッフ・キャスト一覧表にインタビュー、当時の写真など、ファンには興味深い内容だ。この手の本が出版されるのは珍しい。最近まで書店で見かけたので、是非確認して欲しい。
私の”お宝DVD”でした。