ミリオンゴッドの登場をきっかけに、世間はにわかにパチンコ業界に注目した。
週刊誌の特集では、毎週のようにミリオンゴッドや金太郎、アラジンの記事が掲載されていた。
その類稀な爆発力から「たった千円から100万円を稼ぐ方法!」のように、いたずらに射幸心を煽る記事が蔓延し始めた。
そんな世間の注目を浴びれば浴びるほど、俺はスロットに対して少し距離を置き始めた。
実際、その頃は花火や大花火、ドン2を打って、ダメならハネモノ(※1)や当時流行りだった新規格出玉CR(※2)を打つようになっていた。
爆裂機をまったく打たなかった訳ではない。
ただ、それまでの台と違って「粘れない」自分がいたのだ。
ミリオンゴッドは正直、あの出会いの印象からまったく打つ気は無かった。
ただ一度だけ、データが良さそうな台を追った事はあったがそれっきりだ。
金太郎とアラジンについては、出目がどちらもしっかり作られていた事もあって、それなりに打ってはいたが、収支を考えれば毎日必死に追う気などさらさら無かった。
このまま・・・どうなって行くんだろうな・・・
漠然とだが・・・そんな思いが俺の中にはあった。
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2001年から2003年にかけて、スロットは劇的な進化を遂げ、そしてその性能はより過激になるばかりだった。
まず、後に多くの後継機を生み出し、タイアップ面での話題が先行したが、出目によるスリリングな展開、そしてAT上乗せシステムの独自性で一躍ホールを席巻した「アントニオ猪木という名のパチスロ機」(※3)。
かつての名機の名を謳いながら、その中身は泣く子も黙るほどの高性能AT機だった「コンチ4X」(※4)。
業界きっての老舗・山佐が満を持して世に出した初のAT機「サイバードラゴン」(※5)は、AT連チャンテーブルの最高値が255だった。
そして悪魔の台、ミリオンゴッド同様にATだけに特化した台として世に出た「スーパービンゴ」(※6)。
1回のATゲーム数としては史上最長の1999Gを可能とした化け物だった。
当時、ストック機能も進化を続けていたが、出玉性能で完全に勝るAT機に圧され、なかなかその牙城を脅かすほどのヒット機種は生まれなかった。
そしてこの頃、新台でノーマルタイプの台がリリースされる事はほぼ皆無となった。
(例外は北電子くらいだったろうなw)
立ち回りの路線変更を余儀無くされた時期。
あの頃は、ホールでデータを見るのが何となくイヤになった頃だった。
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そして、時代は一転、暗黒の時代へと進んでいく。
「これだけ勝てるっ!ミリオンゴッド」
「サラリーマン金太郎で脱サラ・豪邸を建てたサラリーマン」
「1週間で数百万円!アラジンA!!」
(以上、覚えている限りの実際に週刊誌を飾った見出しです)
あれだけ爆裂機を煽っていた週刊誌が、一斉にパチンコ業界を批判しはじめた。
「またも悲劇!パチンコ破産次々と!」
「スロットにのめり込んだ挙句の一家心中」
「ヤミ金融とパチンコ業界-その接点」
(同上)
運が良ければ、1日どころか半日の稼動で万枚を稼げた爆裂機。
しかし、設定が悪ければマグレが続かない限り、そこに待っているのはハマリという名の地獄。
1日で30万円、40万円が消えた話など、あの頃は珍しくも何とも無かった。
怪しげな攻略法(※7)も、この頃が絶頂期だった。
さらにサミー系列の台で深刻化した「フラグコピー問題(※8)」や、爆裂機の人気に比例して発生した、いわゆる「消費者金融問題」が次々と週刊誌のネタにされた。
そして、パチンコ・パチスロを統括する保通協(※9)は、世間の批判を回避すべく、4号機規定の改革に着手した。
2003年の事だ。
ミリオンゴッド、サラリーマン金太郎、アラジンAの3機種はこの年、一斉にその検定を取り消され、ホールから姿を消した。
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その後、4.5号機の名の下、今度はストック機が様々な仕様を伴ってホールデビューした。
AT機が消えて、ホールの主役がノーマル機に戻る事を期待していた部分はあった。
しかし、時代が一度得た「快感」をそうそう忘れる事は出来ない。
その事も、俺にはわかっていた。
そして・・・世代を越えて語り継がれる2つの巨星が現れた。
史上空前の設置台数を記録し、圧倒的な出玉性能と秀逸なゲーム性を兼ね備えたAT機。
一撃の破壊力は一級品でありながら、それを上回った秀逸な出目と演出のバランスを誇るストック機。
そう・・・
「北斗の拳」と「吉宗」だ。
(続く)
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【今日のおさらい】
(※1)ハネモノ
パチンコ台で、台の中央部分に玉を呼び込む「ハネ」型の役モノがある機種の総称。「平台」と呼ばれる事も多いけど、この表現はハネモノ以外に昔のチューリップ機やぶっちゃけCR以外の一発台にも使われたので、意味する範囲が広いんだよね。最近は、ハネモノの性能は昔とは比べものにならない程上がっているから、1日打っていると無制限コーナーでハネモノが10箱20箱積んでる事も珍しくなくなっちゃったね。
(※2)新規格出玉CR
これ・・・正式な名称がわかりませんが、あの当時「大当り確率を下げて、その代わり出玉を少なくする」CRが流行った事があるんですよ。1回の出玉は1200発から1500発くらいだったんだけど、確率変動が70%とか80%だったんだよね。よく打ってたのは豊丸?だったかの「妖怪演芸」って台の、このタイプでした(笑)
(※3)アントニオ猪木という名のパチスロ機
2002年の年末、あの猪木さんが毎日のようにTVでCMしていたのが懐かしいですね(笑)押し順のある6択シングルと3択ベルがほぼ毎回成立する通常ゲームと、突入すればその全てをナビするAT「闘魂チャンス」が売りでした。実際問題、実はATへの関門は思っているほど悪くない為、中間設定でもそれなりの収支が見込めた優秀さを持っていましたが、それゆえホールでは「ベタピン」だった所が多かったのでは?特にBGMは定評があって、あれ聞きたさに打ってた事もありましたね(苦笑)現在まで継承されているプレミア演出「道」が初めて出たのもこの台でしたね。
(※4)コンチ4X
名機「コンチネンタルⅢ」の正当後継機でありながら、中身はまったくの別物。通常時は高確率で成立しているREGボーナスと12択のリンゴ。これがAT「スーパーラッシュ」中は完全にナビされる事になり、更にはATの上乗せ契機が多岐に渡る為、上乗せの引き次第では「時速5000枚」どころか、数時間で2万枚、3万枚という、圧倒的な破壊力を持っていました。でも、こちらもご多分に漏れず、通常営業では中間設定すら見掛けないホールが続出しましたね。まぁ、かなりレアな引きで万枚とか出てた事もありましたけど(笑)
(※5)サイバードラゴン
パチスロ界の老舗、山佐初のAT機として鳴り物入りでデビューした機種。ボーナスとリプレイ以外の全てのフラグに押し順が存在し、そのゲームシステムの難解さから、最初は痛く批判された台でした。でも、この台で初めて使用された「ミッション・クリア」と言う概念は、その後数々の名機達に受け継がれていく事になります。出目はややもすると単調になりがちでしたが、シングルこぼしかボーナスか?みたいな出目とか、ぶっちゃけミッションが楽しくて一時期ハマりましたね(笑)残念ながら255連は引いた事も見た事もありませんww
(※6)スーパービンゴ
いわゆる「ファッファッ!!」ですよ(笑)ATのみ搭載の硬派な(?)Cタイプ。ATは基本33Gだが、ツボにハマると怒涛の連チャンを繰り返し、一撃万枚当たり前の機種でした。そしてスーパービンゴと言えば、AT当選時の一瞬の緊張感。デジタルセグが「33」のままか、それとも「ファッファッ!!」が入るのか・・・1999GATは平均枚数16000枚の、史上最高枚数の「単発当り枚数」を誇りました。分類上4.0号機でしたね、コレ。再検定の対象外に指定されて姿を消しました。(信長の野望もだったよな?)
(※7)攻略法
よく雑誌等で見掛けますね?「必ず当る打ち方教えます」とか、「コレで一躍大富豪!」みたいな宣伝の、機種毎の攻略法です。その昔、3号機~4号機初頭の頃、セット打法が通用した裏モノや、特定のバグを狙い打てた機種は存在しました。しかし、その後は内部抽選確率の細分化や、電子部品の精度が上がった為、人為的に内部フラグを直撃するような打法は「まず不可能」と言われていす。(現状の5号機では裏モノはあっても攻略法はまず存在しません)しかし、一部機種では複合的なバグから大当りを直撃できる裏技が発覚し(例:「爆裂王」の「強制BIG成立打法」とか)、それがこの手の怪しい攻略法が蔓延している元ともなっていますね。
(※8)フラグコピー問題
4号機時代に数々あったバグ問題や攻略法で、おそらく最大の効果、そしてインパクトがあったと思われるのが、このサミー系列機種に起きたフラグコピー問題でした。内容は「サミーの台のレバーを手前に引きながら、ゆっくり上げると直前のフラグを高確率でコピーする」と言うもので、実はコレ、本当に存在した「バグ」の一種でした。当時、インターネットで先行して噂が広まり、やがてホールが知る頃にはプレスリリースも正式になされて、一時はサミー系列の機種が全て「シマ閉鎖」される、異様な光景が各地で見られました。特に「獣王」「ネコde小判」など「レア役に著しい特典が付いている機種」や「連続同一フラグ成立に特典がある機種」は、対策完了後も入れ替え対象機種として、次々と姿を消していきました。
(※9)保通協
正式には「財団法人 保安電子通信技術協会」と言います。風俗営業法第20条第5項に基づく国家公安委員会指定の試験検査機関で、遊技機の型式試験をメインの業務としています。ココ、昔からいろいろと問題がある機関としても有名なんですが、事実上ココの許可を貰わない事には各地の公安委員会の設置許可も出ないので、メーカーさんは頭が上がらない場所ですね。覚えている限りで言えば、リバティベルの・・・どれだっけ?(笑)あと初代リノにあった「強制BIG直撃」とか「コンチ」の「幻の4枚目投入音」とか・・・「ホンマにちゃんと検査してんの?」みたいに批判された事は無数にある、警察官僚の天下り機関でもあります。