キンパルの導入から1週間が過ぎ、通常営業での店の中は、またいつものように閑散としていた。
俺の中では、当初持っていた「ストック機のイメージ」がキンパルの登場でガラリと変わっていた。
単に貯めて放出、ではなく、設定によっては、また引きによっては「どこからでも当る」ごくごく普通の台としてキンパルを見るようになっていた。
ただ、その当時は「純ハズレ解除(※1)」や「リプレイ解除(※2)」の事を知る由も無く、しかしタカシとの共同作業で得た
「中途半端なゲーム数での解除」
が、高設定らしき台では比較的普通に起こり得るのだと言う実感があった。
しかし、通常営業になればなるほど、やはり「ストックの奪い合い」になってしまう。
かと言って、キンパル以外で凌げそうな台もそうある訳ではない。
特に大花火のシマの「悲惨さ」は、日に日に増す一方だった。
他人が負けているからまだ冷静に見ていられたが、それを含めて「やがて来るST機時代」を真剣に考えなければ・・・
そんな思いが、ごく淡くではあるけれど、俺の中にはあった。
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そして俺とタカシは、何気なく店を出て近所の大型店へ出向いた。
通い慣れ、しかも設定の癖、雰囲気まで熟知している店を飛び出すリスクを負うのはかなりの「賭け」になる。
しかし、その日はお互い「何も考えずに収支抜きで」打ちたい台を打とうと決めていた。
そしてタカシは、ヤツが100万プレイ以上打ち込んでいた4号機大量獲得機の名機「B-MAX(※3)」へ。
そして俺は、このスロットと言う道に俺を誘ってくれた4号機を代表する名機「花火(※4)」へと向かった。
新しい台が次々リリースされる中、この2つを設置してくれている店は札幌でもそうはなかった。
さすが・・・ベガベガ(笑)
B-MAXのシマは花火の裏になるので、タカシの様子はわからなかったが、B-MAX自体に座っている客がほとんどいなかったので、BGMが始まれば引けたかどうかぐらいはわかるだろう。
逆に花火のシマは盛況だった。
設定1ですら客側に限りなく有利な機械割(※5)は、当時新しいシステムに億劫だった打ち手には「安心して打てる」感じがあったのだろうか?
老いも若いも含めて、朝からほぼ満席だった。
さて・・・この状況は予想外だったので、俺は一旦、B-MAXへ向かう。
しかし・・・タカシの座っている台を含めて、設定変更したくなるような履歴の台が見当たらない。
せめて数日間マイナスの台でもあれば、気休めにもなるのだが、ぶっちゃけ「回ってない」感じがアリアリしていた。
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仕方なく花火のシマに戻ると、朝から200Gほど回って捨てられている台があった。
出目は左上段暖簾、右上段氷、中リール中段にリプレイ(※6)・・・ん?
速攻で台をキープし、着席。
まぁ・・・わかっている人間なら「リプレイハズシ」だろうと思うのだが・・・
そして最初の1G目・・・
「ン・・・テロン・・・リン・・・」(※7)
その瞬間、右上段の枠上を瞬間的に見た俺の目に、青い法被をまとったドンちゃんが映った!
まだわからない。
リプレイハズシ目直後のチェリーかも知れない。
どうする?
どこを狙う?
中押すか?
右押すか?
・・・この切羽詰った緊張感が堪らない・・・
花火だからこそ味わえる、この瞬間。
多くの打ち手を魅了し、様々な打法を編み出させたこの「遅れ」。
そして俺は・・・
中リール中段にドンちゃんが笑っていた。
バックライトは・・・消えないままで(※8)
前任者に感謝しつつ、そのままドンちゃんを揃えた。
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その花火は高設定では無かったが、そこそこの連チャンで2000枚ほどになった。
俺は花火が一段落した所でコインを換えて、タカシの様子を見に向かった。
すると、ヤツは既に3000枚を越える所まで伸びていた。
相変わらず、B-MAXを打たせると早い。
通常時の消化もさる事ながら、タカシのB-MAXのBIG消化はまさに「芸術」ですらあった。
ハズシは3回目までは絶対にしない。
しかも、リール枠サイズによって視認性が悪かった事もあって「難易度最上級」とされた下段ビタ押し(※9)を、ヤツは事も無げに淡々とこなす。
大花火のハズシでは負ける気がしなかった俺も、あの早さには「付いて行く気すら」しなかった(苦笑)
結局、その後俺は花火に戻り、3台を乗り継いで5000枚ほどを得た。
タカシは1台打ち切りで8000枚。
お互いに「打ちたい台」を、無心で打った。
この「打ちたい台を無心で打つ」気持ちを、凌ぎに明け暮れている内に忘れていたのかも知れない。
原点に戻る。
この日はまさに、そんな1日だった。
(第3章完)
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【今日のおさらい】
(※1)純ハズレ解除
前回お話した通り、キンパルタイプのST機は内部にストックがある状態は「内部RT」であると言いました。ですので、ほとんどの場合小役かリプレイ(「揃う」「揃わない」両方のね)しか抽選されていないのですが、稀に純粋なハズレを引く事があります。この時、キンパルを含めて後に続く多くの機種が「RT解除」、つまりボーナスを放出しました。この事を総称して「純ハズレ解除」と言います。機種により数値は異なりますが、特にこの解除率に設定格差を持たせた台が多く、設定推測の材料になる場合もありましたね。まぁ・・・確率的には早々引けるモノではないんですけどww
(※2)リプレイ解除
キンパルでは、内部RT中のリプレイの一部でもRT解除抽選を行っていました。キンパルシリーズでは、このリプレイ解除時に出る出目、いわゆる「リプレイ解除出目」が存在しました。ですが、山佐のリプレイ解除で最も印象的だったのは、やっぱりネオ・プラネットの「リプレイ解除確定出目(通称「リプレイV」)でしょうかね?あれは美しかったなぁ・・・(笑)
(※3)B-MAX
1998年、花火と同時期に発売されたいわゆる「大量獲得機」のパイオニアであり、かつ、その単純なゲーム性に見合わないほどの激高難易度の技術介入性を合わせ持った、稀代の名機。実は大花火よりも花火に近い制御で練りこまれたリーチ目は、大量獲得機にありがちな「大雑把な」出目演出と異なり、スベリ1コマ違っただけで期待値が天地ほど違う小役ハズレ目、さりげなく現れる2リール確定目等、出目を愛するファンに特に愛されました。そしてMAX681枚のBIGボーナスは、15枚小役は逆押しで「BOMB・爆弾・BOMB」を狙うだけの単純作業でありながら、ひとたびリプレイがテンパイした瞬間、成立ラインに青7をビタ押しする以外の全てを受け付けない、まさに圧倒的な技術スキルを打ち手に要求しました。このギャップがたまらない!と言うコアなファンも俺の周りには多かったです(笑)
(※4)花火
1998年に発売された花火は、いわゆる「性能だけでは語れない」部分で秀でた「記憶に残る名機」だと言えます。対極にあった山佐の「ニューパルサー」と比較するとリール制御による不利があり、出目の前身となった名機「クランキーコンドル」から譲られた制御が比較的難解なモノだった事もあって、DDTを行うとやや単調になりがちでした。しかし、それを補って余りあったのは、出目に絡んで発せられた美しいフラッシュの数々、そして確率論を超越した連チャン、適度な技術介入性だったろうと思いますが、花火については以下でも話すのでココまで(笑)
(※5)花火の機械割
基本的には設定1がメーカー発表数値で97%だったかなぁ?しかし、小役回収をキッチリこなし、BIG中のハズシを完璧にしつつ平均枚数を420枚程度まで持っていけば、機械割が計算上100%を軽く越えるんですよ。小役の引きにある程度左右はされるんですが、マイナス食った分をBIG枚数で補えば、計算で100%を越えるのは難しくなかったですね。それほど甘い台は、当時は本当に稀でしたもんww
(※6)左上段暖簾・中中段リプレイ・右上段氷
花火を打った人なら、この出目を見て「ハッ!」と思わない人はまずいないでしょうww逆押しでリプレイ成立していれば簡単に出る出目ですが、順押しならフラッシュ無かった時点で灼熱です。まぁ・・・ほとんどは負けた腹いせに出されたリプレイハズシ目でしたけど、こんな感じでごくごく稀にボーナスが拾えたんですよww
(※7)遅れ
花火を語る上で、絶対にハズしちゃあいけないのが、この「遅れ」。当時、スロットのレバーON始動時に音を遅らせる処理など誰も考え付かなかったので、当時は「ROMバグ説」ってのが大流行しましたね。対応役がチェリーとボーナスってだけで、アツい事この上ないんですが、本文でもあるように、こんな場面では1G目に遅れたら灼熱ですよ・・・拾っちゃった率高いですから(苦笑)後の他メーカーの機種にまで受け継がれた、まさに花火が名機たる所以の一つでもあります。
(※8)遅れで中押し→中段ドン停止、消灯無し
・・・もう語る必要ないでしょ(笑)中押しでドンちゃんを狙った場合に限り「上段停止は2チェ対応」「中段停止は4チェ対応」となり、更に「4チェは必ずフラッシュを伴うので消灯する」と言う法則がありました。つまり、中押しで中段ドンちゃん停止で消灯無しは、出目と演出矛盾の1確目。逆押しドンちゃん下段で消灯無しも素敵ですが、オイラはこっちが好きです。と言うか、消灯があっても中段停止はアツい事この上ないんですよねぇ・・・
(※9)B-MAXの下段受け
実は上段、中段のビタ押しってB-MAXの場合、そんなに難しくなかったんですよ(ま、個人差はあるでしょうけどw)しかし、下段だけはねぇ・・・最高に調子が良い時でも、7割行けば良い方でした。(上段・中段は100%でしたけど)それをタカシは指一本でポンポン決めるんですよ・・・悔しいですが、B-MAXでは勝てる気がしませんでしたね(苦笑)