1周押し&つばめ返し、ビタハズシ、そして成立G看破の精度。

この俺にとっての「三種の神器」を徹底的に鍛え上げ、いつしかあの敗北の日から数えて、半年が過ぎようとしていた。


ある日の金曜日。

俺はいつもより早く会社を後にした。

その日は、来店ポイントによる午後6時からの設定打ち変えの権利の日。

もちろん、俺が選んだのは大花火。

午後11時までの5時間。

その日は、それまでの成果を確認する日だった。


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通常、スロットの1時間あたりのG数は、打ち手の技量にもよるが約500~700G程度。

ウエイト(※1)や小役払い出しの時間、さらにはボーナスの消化時間を含めると、今の5号機でもそうは変わらないと思うが、当時の俺はだいたい650G前後だったと記憶している。


ココで前回のおさらい。

1時間あたりのプレイG数を(ボーナス消化を抜いて)650Gとする。

すると、その日は5時間なので


予定プレイG数=650×5=3250G


となる。

すると、ボーナスを除外して想定したIN枚数は


予定IN枚数  =3250×3=9750枚


大花火の設定6の完全フル攻略での機械割は140.3%なので


予想PAYOUT(※2)=9750×1.403=13679枚


つまり、ボーナスIN枚数を除外した数値だけで4000枚弱になる。

5時間での理論ボーナス数は


BIG:3250÷240=13回

REG:3250÷480=6回


すべてのボーナスを考慮した場合のPAYOUTの計算は面倒なので(苦笑)省くが、以上の結果を元に俺はその日の最低ラインを「4000枚」で設定した。

(実際に計算すると理論上は5000枚を越えるハズ・・・誰かヘルプw)


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店に着くと、チーフが俺を待っていた。

大花火6台の中から、好きな台を選んで打ち変えるので、理論的には「どの台を選んでも結果は変わらない」のだが・・・

6台全てのデータ機を念入りにチェックした。

候補は次の3台に絞られた。


大花火A:総回転数1300G BIG3 REG2 現在300G

大花火B:総回転数2600G BIG8 REG2 現在700G

大花火C:総回転数1800G BIG4 REG3 現在200G


大花火Aは、BIG確率、REG確率共に低設定そのもの。

大花火Bは、BIG確率は設定6の理論値を越えているがREGが少ない。

大花火Cは、中間設定にありがちなデータだ。


さて・・・この3台の中から、あなたならどれを選ぶだろうか?


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その日の俺は、少々迷いはしたが、大花火Cを選んだ。


理由は様々あるのだが、当時俺が割と信じていた「オカルト(※3)」に



  「中間設定の上げ台は吹く」



と言うのがあった。

設定は内部の当選確率を変えるだけのものであり、設定値にそれぞれ固有の癖や特徴などは本来は「打ち手の引き」に依存している。

だから、どんな台でも設定6に座れば勝てる。

スロットはそんな単純なものではない。


確率論から言えば、収束値が設定の理論値である以上、同じ台を同じ打ち手が打てば、ボーナス確率は何百万G後には設定の理論値に近くなるはずだ。

しかし、現実問題として設定の理論値に短時間で収束するのは難しい。

立て続けにボーナスが引ける時間帯があれば、収束するならばその後に待っているのはハマリ。

これは実は、設定によらず全ての台に言える事でもある。

これを総じて「波(※4)」と呼ぶが、スロットがこの世に生を受けてからずっと、この波と言うものは打ち手を翻弄し続けてきた。

特にボーナス確率が当時比較的悪かった大花火では、この波は極端な乱高下をする事でも有名だった。


そんな中、大花火の中間設定である設定3、4は「比較的平坦な波」を作る。

もちろん、中にはデータグラフが南極の氷山みたいにとげとげしいものもあるが、この半年間の経験では中間設定の波は「比較的おとなしい」と思えた。

乱高下を繰り返した台の波から高設定に打ち変えると、スタートの波が少々荒くなる。

それが上に出ればOKだが、下に出ればせっかくの打ち変えの意味が半減する。


まぁ・・・どこまで語ってもオカルトでしかないのでココでやめるが(苦笑)

とにかく、俺が大花火Cを選んだ理由はその1点だった。


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台が空けられ、設定キーが差し込まれる。

電源が落とされ、再び投入される。

クレジット表示部に「6」の文字が出た所で、チーフがレバーを指差す。

祈る思いで、俺は静かにレバーを叩いた。

今、俺の目の前にある大花火は、機械割140%を越えるモンスターとなった。


プレイ開始からわずか5分程度だったろうか・・・

後ろに若干のギャラリーが見守る中、俺がレバーを叩く。



    「テロ・・・ン・・・リン・・・」



店内が比較的静かだったため、ハッキリ聞こえた。

常連の何人かがざわめく。

このスタート音の意味を、ほぼ全員がわかっていた。


  「・・・間延びっすね・・・(※5)」


いつの間にか後ろにいたタカシが俺に声をかけた。

無言でうなずき、中リールにドンちゃんを狙う。


・・・ドンちゃんがビタで中段に停止した(※6)


「うぉ!早っ!」などと常連がざわめく。

すると、おもむろにタカシが俺が最後まで迷っていた大花火Bに座った。

目と目を軽く合わせる。

いいだろう・・・技量の差と設定差でちょうどいいバトルになりそうだ。


タカシの着席を確認して、俺は左に3連ドンちゃん、右にドンちゃんをそのまま止める。

スペシャルテンパイ音(※7)が鳴り響く!

赤いドンちゃんが右上がりに揃い、BIGボーナスがスタートした!


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1周押し、つばめ返し、ビタハズシ・・・

BIG消化中の俺の技量は確実に上がっていた。

後ろのギャラリーに、異種異様な雰囲気が漂う。

見れば、タカシも既にBIGを消化していた。


1周押しとつばめ返し、ビタハズシの競演。


店内が何とも言えない、妙な興奮状態になって来た。

そのBIG終了後、俺は立て続けにボーナスを引き続け、プレイ開始から3時間、午後9時の段階で


BIG10 REG4 約3500枚


一方のタカシも(後でチーフに聞いたが、この台は5だったそうだ)


BIG8  REG5 約2800枚


この夕方からの出玉スピードもさる事ながら、タカシは当然にしても、俺もその日はノーミスだった。

実はその日は、新台だった「獣王」のイベントだったのだが、高設定とおぼしき台に座ってる客以外は皆、ギャラリーと化していた。

喉が渇いていたが、それ以上にこの「祭り」のような雰囲気が心地よかった。


そんなギャラリーを巻き込みながら、俺とタカシのバトルは閉店までの2時間。

後半戦にもつれ込んだ。

(続く)


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【今日のおさらい】


(※1)ウエイト

4号機から取り入れられた機能の事で「1回の遊戯終了後、一定時間次の遊戯に入れない」だったっけ?

そんな規定が取り入れられました。

これをウエイトと呼びます。

各遊戯間を最低4.1秒あける事が義務付けられ、この時間内はストップボタンが反応しない仕組みになっています。

実は前回話した1周押し&つばめ返しは、このウエイトと深く関わる技なのですが、細かい説明は省略しますねww


(※2)PAYOUT(払い出し)

機械割の所で出てきた「IN枚数」の対義語です。

簡単に言えば「スロットが払い出したコインの総枚数」を指します。

なので、IN枚数を越えたPAYOUTがあれば、打ち手の勝ち、となるのですね。


(※3)オカルト

別に血が流れたり、幽霊が出たりする訳ではありませんw

まぁ・・・いまどきの言葉で言えば「スロット版都市伝説」みたいなものでしょうかね。

スロットは全て、設定により決められた確率の元で抽選される純粋なゲームですが、それだけでは語れない、奇妙な偏りや偶然があって、いつしかそれが「さもそうなるかのように」語られてきました。

それらを総称してオカルト、と呼んだ訳ですが・・・

4号機までの頃は、打ち手がそれまでの経験を元に、いろんなオカルトを持っていましたね。


(※4)波

そのオカルトの中で、もっともポピュラーだったのが波でしょうね。

「あの台は2日間沈んでいたから今日はいい波で出るよ」みたいなww

設定変わってなけりゃ、何の根拠もない話なのですが、案外こんな波読みだけで勝ち続けていた人も多かった気がしますね(苦笑)

元々はスランプグラフと言って、コインの出入りを折れ線グラフにしたものがあるのですが、それで見るとハマリの時はグラフは右下がりに、出ている時は右上がりに線が描かれ、ちょうど海の波のように描かれるのが由来だったと記憶していますが・・・そうだよね?(爆)


(※5)間延び(スペシャルスタート音)

大花火を語る上で、絶対にハズせない言葉ですww

間延びはレバーONの時に鳴るスタート音が、本文中の表記のように一瞬だけ「伸びる」ものを言います。

対応フラグは「チェリーorBIG」で、BIGの場合はその時点で成立Gが確定します。

周囲の状況や、台の音量にもよって聞こえにくい台があったりしたし、間延びの仕方が毎回違うので(厳密には同じなんだろうけどなぁ)あちこちで「あ、ガセっぽくね?」とか「こりゃマジ間延びでしょ」みたいなオカルトもあったよねww


(※6)間延び時に中押しドンちゃん中段停止

まぁ、チェリーを否定すればBIGなので、実際は左リールに3連ドンちゃんや七狙えば良いのですけどね。

間延び時の中押しでドンちゃん中段停止は、この時点でチェリー否定のBIG1確目。

(中押し中段ドンちゃん停止の場合は、小役の可能性があるのは三尺玉のみです)

利点は2つ。

1つはもちろん、そのままドンちゃんを揃えて1周押しが出来る事。

もう1つは、成立Gでは「絶対に止まらない」3連ドンちゃんが変則押しなら止まるので、次にお話しするスペシャルテンパイ音が聞ける事ww


(※7)スペシャルテンパイ音

アルゼ系スロット台で、花火や大花火、サンダーV、バーサス等のいわゆる「3連絵柄」がリールに配されている台には必ずあったボーナス絵柄テンパイ音。

「左3連絵柄+中リール中段同種絵柄」の停止形でのみ発生する。

4号機まではBIG確定のファンファーレ的な要素もあったが、5号機のサンダーVSPでついに・・・ついに・・・その伝統に終止符が打たれてしまいました・・うぅ(涙)


ちなみにドンちゃん2からだっけ?

3連ドンちゃん停止で「ドーン!」って音が出るようになったの?

個人的には、あれは嫌いです(爆・・・だってBIG確定じゃないもんな)