平手side




バシャッ

[おい、起きろよ。]



...っつっ...

冷たい



あれ

明るいし声も聞こえる

声も出せる

よかった

手足はまだ自由ではないけどあの孤独な世界からは解放されたんだ




[今日は大阪城ホール公演初日だな。こいつの代わりに誰がセンターに立つのか楽しみだ!!なぁ!]


ガッ


...っ。髪の毛を掴むなっ」


[おい、そんな口聞いてていいのか?]


ガンッ ガンッ ドスッ




...っつ...

あぁ...もう初日を迎えたのか...

ここは時間の感覚が狂う。

まだ外は暗いということは朝の早い時間なのか?

みんなは私のことを心配してるのかな

助けに来てくれるのかな

いやいや、私がみんなのことを信じなくてどうする!

でもダメだ今は悪い方悪い方に考えてしまう




っ痛いって!もういいじゃん。どうせ逃げられない、助けにも来てくれない。ほっといてよ!」



[よく分かってるじゃないか。そうだ。お前のことなんか誰も助けに来てくれない。お前は孤独なんだ。]



「だから分かってるって言ってんじゃん!もういいんだよ。そもそも生きるって孤独でいることなんだよもうそれでいい。でも!!お前たちは許さないからな!必ず警察に突き出してやる!!」



[はぁまだこんな威勢が残ってるのかせっかく暗闇から解放してやったのにもう一生闇の中を彷徨うよう心を壊してやる。おい。もう1回味わわせてやれ。]



「え、え、ちょっとまって!いやだ!やめてy…ンー!!!」



しまった

久しぶりに声が出せることが嬉しくて勢い余って男達の機嫌を損ねてしまった私は抵抗も虚しくまた猿ぐつわを噛まされ、視界を奪われた。




「ンー!ンー!」




ガッと髪の毛を掴まれ耳元で囁かれる。

[それじゃ、俺たちはライブに行ってくる。逃げようなんて思うなよ。仲間を残してるから不可能だぞ。まぁ、光も音も奪われたお前は逃げようにも逃げられないとは思うがな。じゃあな〝元〟絶対的センターさん?]




そんな男の声を最後に私はまた音を奪われ、暗闇に放り込まれた。











































人間、暗闇の中に居すぎると何も考えられなくなるらしい












初めは感じていた恐怖や絶望も感じなくなった。









どうにか手足の拘束を解けないか、頑張ってみたり、立とうと試みたこともあったが、少しでも変な動きをすると残された男らしきやつに叩かれ、蹴られ、地面に叩きつけられる。












自分が起きてるのか寝てるのか

今これは現実世界なのか夢の中なのかも分からなくなった頃だった

























突然


懐かしい匂いと共に私は優しい光に包まれた