天side
天「え、聞こえん?聞こえんってどういうこと?」
玲「…耳が、っは、ひだ、左が、っ…」
玲「きーん、って、」
ぼろぼろと涙を流しながら訴えるぞの。
パニックになっているのか、息が上手く吸えていない。
すると横からスっと夏鈴ちゃんがスマホの画面をぞのに見せた。
『息して』
『吐く方に意識向けて』
『大丈夫』
『私たちがいる』
玲「……」コクコク
しばらくすると、呼吸が落ち着いてきた。
玲「…ごめ、ん…」
天「なんで謝ってるの笑」
夏「右は?聞こえる?」
玲「きこ……える。」
夏「なら右耳の方で話そう。」
天「左は全く聞こえない?」
玲「…うん、なんか、耳鳴りみたいなのがしてる…」
夏「とりあえず、すぐ病院行こう。松田に言ってくる。」ガチャッ
そこからぞのを連れて病院へ行った。
パニックになった後だったからか、ぞのは不安感が強いらしく、私にも着いてきて欲しいと頼んできた。
マネージャーさんと私とぞので耳鼻科へ向い、貰った診断は
『突発性難聴』
ストレスや過労が原因ではないかということだった。
病院の先生からは仕事は休むよう言われたが、それはぞのが泣いて嫌がった。
玲「いやっ、仕事は休まないっ…休みたくないっ…」
泣き喚くぞのを宥めながら説得する。
天「ぞの。気持ちは分かるよ。でも、今のまま無理してたら、もっと酷くなっちゃうよ。」
玲「いやなのっ。」
天「…じゃあ、減らすのは減らして?じゃないと天ちゃんが無理やり休ませるように言う。」
玲「…っ。わかっ、た…」グスッ
とりあえずステロイド点滴をということで、点滴を受けて帰ることになった。
マネージャーさんは今後の仕事の調整をということで席を外した。
ぞのは点滴を受けながら、スヤスヤと眠っている。
またさっき泣いたから疲れたんだろう。
その間に通知が鳴り止まないスマホを手に取り返信をする。
マネージャーさんから、突発性難聴のこと、仕事の数を制限することを聞いたメンバーがぞのを心配して連絡をしてきたようだ。
もちろん個人で。
グループだとあとからぞのが見ちゃうからね。
玲「…んっ、」
天「起きた…?」
玲「ん…おきた。ごめんね、わがまま言って」
天「いいよ。気にしないで。最近、調子悪かったん?」
玲「え?」
天「あ、ごめんな、右耳の方でゆっくり話すわ。最近、体調、悪かった?」
玲「…なんか、眠れなかった。頭が痛かったりも、した。」
天「そっか…」
玲「みんなが、居なくなってく。いのが、卒業して、やっと、居ないのに、慣れてきたのに、次は、唯衣ちゃんが…」
天「そうやなぁ…」
玲「みんなのことが、好きなのに、みんなが居なくなってく。みんなが、わちゃわちゃしてるのを、見るのが、好きなの…にっ…。」グスッ
天「うんうん。ほら、泣かんよ。また熱が出る。ぞの。でもな、みんな卒業しちゃっても、櫻坂の2期生には変わりないんやで。」
天「こうやって広い世界から、集まって、同じ時期に活動して。色んなこと経験して。卒業しちゃっても、そうやって一緒に過ごしてきた日々は変わらへんし、消えへん。」
天「またみんなでどっか泊まってわちゃわちゃしよな。ぞののゲラ引き出すくらいみんなで笑おな。」
天「やから、今はゆっくり休も。って言っても、多分仕事休みたくないっていうさっきの意思は変わらんやろうから、病院の先生と、マネージャーさんと、メンバーと、よーに話して、今後のこと決めよ、な?」
玲「うんっ…」グスッ
話し合った結果、みんなからは休むことを勧められたぞのだったが、それは嫌がり、結局、仕事の数を制限しながら通院治療をすることになった。
薬を飲んだり、通院して点滴を打ったり。
仕事の間も出来るだけリラックス出来るようにした。
本を読んだり眠ったり。
不安な気持ちがあったら吐き出すようにしたり。
みんなでお菓子を食べたり、大不思議達が変なことして笑わせたり。
でもまだいつもの笑顔ではない。
はやく全快して
いつもの笑顔が似合うぞのに戻れるよう
みんなで支えよう
ぞのが音を取り戻すまで