第11話~気持ち~ | 「sabishigariya」

第11話~気持ち~

「おぉぉぉっ」


全員が同時にこたえてた。


「こんな先輩らが気持ち入ってる試合なんて見たことないで」と、オレはぼそっと一人言を


もらしながらも、コートに立っていたかった気持ちでいっぱいやった。



「高田っもっと当たれ!!!!!」立川先輩が檄をとばす。


ディフェンスは、うまくはない高田やったけど、必死に相手にプレッシャーを与えていた。



「ピーーーーー!!!ファール!!15番(高田)」


「えぇぞ、えぇぞっ!ナイスディフェンスや!」


積極的にボールを捕りにいったこともあり、ファール。



相手からのスローイン。


「ピーーーーーーー!!!ファーール!!!15番!トータル2!」



ベンチから見ていてもわかるくらい、高田は、いつになく真剣やった。


苦手なディフェンスやけど、「相手に噛みついてもとったるどー!」と言うてるような


ディフェンスやった。


「あれは、オレもマネせなアカンな。」




バスケットボールは、ハビットスポーツ言われとる。毎日の積み重ねが試合の、ここぞという時に


生きる。


また、バスケットボールは、メンタルスポーツとも言われとる。特にディフェンスにおいては、


技術云々よりも、気合が大事やゆー話や。



高田のディフェンスは、まさにそのえぇお手本やった。




「ルーズ(ルーズボール)!!!!」


高田のディフェンスが功を奏し、相手がミスを犯し、ボールがこぼれた。


高田が、ダイビングしてそれを捕る。


前を見た時には、すでに立川先輩とキャプテンが高田を見ながら走っとった。


「かせっ!!」


パスを出しづらい体勢から、高田はボーリングのように地を這うパスを前方へと送った。


パスを取った立川先輩から、キャプテンへとパスが渡り、2点が入る。



「ディフェンスっ前からいくぞ!」と、キャプテンが言った。


残り時間1分43秒、11点差


誰一人諦めているやつはおらんかった。



「ピーーーーーー!!!!ファール!!4番(キャプテン)」



バスケットボールっちゅーもんは流れてのが、かなりあるスポーツやと思う。


今の流れは完璧にうちのチームやった。


流れを引き寄せたんは、全員のがんばりや。


長田さんの執念のリバウンド、高田のルーズボール、立川さんの勝ちへの想い・・・



流れっちゅーもんは、チームの気持ちが一つに向いた時に、来るもんなんやなぁ。



「とった!!!」高田が叫んだ。



立川先輩、キャプテンが全力で、走る。



しかし、相手も警戒していたのか、今回は戻りが早く速攻は出せなかった。



キャプテンにボールが渡りコントロールする。


「一本!ここ一本絶対とるで!」


速いパスを回し相手をかく乱する・・・が、相手ももちろん必死。そう簡単には、ノーマークでシュートは


打たしてもらえない。



「いけっ!」長田さんが、キャプテンにスクリーンをかけた。



キャプテンがスリーポイントラインまで走り、ノーマークで高田からパスを受けた。


※シュートクロックは、5秒を表示していた。※バスケットボールは攻撃の場合24秒以内にシュートをリングに

当てなければ相手ボールになるため、24秒をカウントするための時計がある。



「打てっ!」長田さんが、言った。





「がんっ」