仕事の話が出たついでに | 不楽是如何

仕事の話が出たついでに

 

 

何かとお騒がせの中央リニア。

工事で発生した土砂の置場のモニタリング井戸から環境基準の1.5倍の六価クロムが検出されたようです。

この記事を一応専門家の端くれとして見てみると、

 

まず、井戸の地下水から環境基準(地下水)の1.5倍の六価クロムが検出。

 →六価クロムの地下水環境基準0.02mg/Lの1.5倍ってことだから0.03mg/L検出

 

”トンネル工事で出た土からは基準値を超える六価クロムが検出されていないことから、JR東海は今回の汚染は工事の土が原因ではないとみられるとしています。”

 →六価クロムの土壌環境基準は0.05mg/L

 →さらに六価クロムの土壌汚染対策法での基準は0.05mg/L(土壌・地下水共)

 

だから、土壌から基準値を超える六価クロムが検出されていないことを以て工事の土が原因ではないとみられるとコメントするのは言葉足らずって感じ。

 

この基準の違いは何かというと・・・

何年か前から六価クロムに関しては各規準の見直しが進められてられてきました。そして基準改定の検討は、

 

水道水質→公共用水域・地下水/排水→土壌環境基準・土壌汚染対策法の基準

 

の順番で進められます。

六価クロムの地下水環境基準が改定されたのは、2022年4月。

今現在、土壌環境基準・土壌汚染対策法の基準の改定を検討している所です。(噂では今年からやっているということですが・・・)

 

だから、同じ地下水でも環境基準で見るのと、土壌汚染対策法の地下水基準で見るのとでは、今の段階では基準が異なります。

 

もしかすると、ゼネコンの担当者は土壌汚染対策法の地下水基準を見て、基準適合だって思ってたのかもしれませんね。

 

マスコミさんも報道するなら↑のような背景を記事に散りばめていただけると助かりますw

 

ちなみに地下水環境基準超過の原因は・・・

 

①単純に自然由来

②置場の土砂の影響(これ、土砂の六価クロムの溶出量が0.03mg/L以下でも、条件によっては地下水に達した時に基準を超えてくる可能性はあります。)

③工事で使用したセメントの影響

④工事の影響か採水時のポカで水が酸化してしまい、もともと地下水に含まれていた三価クロムが六価クロムに酸化してしまった。

 

パッと思いつく限りでこれらの4点ぐらいが考えられます。

 

以上、久しぶりに真面目にお仕事の話をしてみました。