手術前の抗がん剤3クール目。昨日は、久しぶりに仕事に行き、調子がよかったのですが、今日はその反動か、食欲がなく。食べられるものを探す一日でした。

 

先般、抗がん剤で入院したとき、同室に主治医が同じ人がいました。

私がかかっている病院は大きな病院で、泌尿器科の医師は20人ほどいるため、何度か入院していますが、主治医が同じ人と同室になったのは初めてでした。

 

同室の人は、私より6歳年上。私が受ける膀胱全摘+ストーマの手術を6日前に受けたばかりでした。

 

同じ主治医で、同じ手術を受けるのですが、彼女と私では、主治医との接し方がずいぶんちがい、互いに驚きました。

 

彼女が驚いたのは、私がセカンドオピニオン、サードオピニオンに行ったことでした。回診のとき、「抗がん剤のとき頭を冷やしてよいでしょうか」と変な質問をすることにも驚いていました。

 

彼女は、回診のとき、言葉を謹み、余計なことは一切言いません。

 

彼女は、初診のときから「先生にすべてお任せします」と、夫婦で頭を下げ、主治医を信じ、言われたとおりに治療を受けてきたそうです。

 

私が驚いたのは、彼女が抗がん剤の名前や受けた手術を「よく知らない」と言ったことでした。同意書にサインはするけれど、「読んでもわからないから、読んだことがない。先生にぜんぶお任せ」と、笑っていました。

 

でも、彼女の手術後の回復はすばらしく、私と会ったとき手術6日目でしたが、ふつうに歩いていて、元気そうで、10時間の大手術をした人には見えませんでした。

 

病院から渡される療養計画書や抗がん剤や手術の説明書などは読まず。自分に投与された抗がん剤の名前も「知らない」と言います。でも、ぜんぜん困っていない。

 

主治医との関係も良好。順調に回復しているその人と話していると、私は目からうろこが落ちる気がしました。

 

「私たちの主治医は名医よ。何も心配せず、先生を信じて手術を受ければいい。あんな素敵な先生が命の恩人になるなんて滅多にないことよ」と、彼女は言います。

 

「これは、主治医が命を救ってくれたもの」と、彼女はストーマをとても大切にしていました。そして、ストーマとパウチを私に見せてくれました。

 

毎日の主治医の回診を心待ちにしている彼女の様子を見ると、術後の回復が早いのも納得できる気がしました。主治医と会うだけで、彼女の免疫力は上がっていると思います。全摘手術もストーマも、「生きるため」と主治医を信じて受け入れる。彼女の言葉は、私には新鮮でした。

 

私も、彼女のように怖がらず、治療を受けられたらと思いました。

 

セカンドオピニオンに行くとき厳しいことを言われましたが、戻れば受け入れてくれて、手術を当初の予定どおりに押さえてくれた主治医に、今は感謝しています。

次回の外来は「手術の説明」。やっぱり怖いですが。