小さい頃から何度も行ったその場所は

パパとの思い出の場所



吹き抜けのホールには

見上げるほど大きな恐竜の骨

たくさんの動物や昆虫の標本


少し薄暗くてなんだかどきどきする


娘にとって

ワクワクが詰まった大切な場所



そんな博物館に

ここ数日行きたがっていた



土曜日の朝

「パパー

こっちゃん博物館に行きたいなー」



…うーんと言って

なかなか返事をしないしんさん



そんなパパを数秒間見つめ


「ママ3人で行こう!

博物館♪博物館♪」と言って

行進する長女


そんなお姉ちゃんの真似をして

次女も腕を振ってついて行く






…ねぇしんさん


しんさんは気付いてる?



川遊びや、遊園地、ソリ滑りなど

思いつく楽しい遊びの中から


5歳なりにたくさん考えて

パパも一緒に行けるところを提案してるんだよ



少し緊張しながら

パパを誘ったこと気付いてる?



ちゃんとあの子はわかるから

もしも行けないなら言葉で伝えてあげて


「体調が良くなったら

その時はパパも一緒に行くね」って

それだけでいいんだよ



言いたいことは色々あった

でも何も言わなかった



しんさんが昨夜から

あまり寝てないことを知っていたから

なんだか珍しく苛立った様子だった



前日の夕食から詰まりが治らず

夜中も逆流してきては

何度も何度にトイレに起きて


(結局詰まりがとれたのは

翌日の10時ごろ

約16時間水分すらほぼ通らなかった)


(しんさんの表現でいうと

胃がくるっとひっくりかえる感じらしい)



そんなんきついよ

嫌にもなるよね


まーゆっくり休んで

娘のことは任せてという気持ちになる






娘たちを連れてお祭りに行った



その帰り


もしも今

ここにしんさんがいたら

このまま蛍を探しに川に寄っただろうなーと


ふと思い

なんだか切なくなる



結局しんさんと過ごしたいのは

私なのかもしれない



博物館で娘と話しながら何かを指差す後ろ姿


川辺で娘や従兄弟たちに蛍の説明をする姿

隣には少し得意げな長女の顔


そんな光景が目に浮かぶ



しんさんが生きててくれたら

それだけでいいのに


本当にそう思ったのに



贅沢な「たられば」を考えてしまう自分が

少し嫌になる



今日は疲れてるんだ

洗濯物は明日にして

もう寝よう




「ママ

帰ったらパパがいるんだよ?

こっちゃんそれでいいよ」


今日車の中で突然言われた言葉



子供は私に

たくさんのことを気付かせてくれる