続き…

日曜日、父のお見舞いへ‥

病室に、なかなか入れない。父には癌って言わない。笑顔!笑顔!

でも、今まで会話もしてなかったのに、いきなり笑顔?
怪しまれる↓↓
頭の中がパニック!!

よし!!

ガラガラ~

大部屋の一番奥のベッドに父は居た…

ふいを突かれる程、元気そうだった。

父「おぉ~来たかぁ♪」
嬉しそうに笑っている。

涙をこらえるのに必死!!

母は、担当医に呼ばれて出て行った。

それを怪しまれないように、私と妹は明るく話しかけた。

父「検査ばっかり♪」

検査のスケジュール表を自慢気に見せながら、笑っている。

私は、溢れそうになる涙をこらえきれなくなった。

ジュース買ってくる!
急いで病室から出た…
廊下に出たとたん、涙が止まらない…

落ち着きを取り戻し、病室へ笑顔で入る!!

私達の学校の事を聞いては、嬉しそうに笑顔。

しばらくして、母も戻り…久しぶりに家族団らん。

皮肉な事に、久しぶりの家族団らんが…
父の病室なんて…

私は本当にバカだ!!

運ばれて来た、病院食を見て

父「味が薄いから、あんまり好きじゃないな♪お母さんのご飯が食べたいな♪」
ヤバい!!
お母さん、涙を必死でこらえてる。

私&妹「じゃあ、ちょっと食べていい?」

父の食事に参加した。

面会時間ギリギリまで、父と過ごした。

本当は禁止されていたけれど、父に携帯電話を持たせた母。

その日から、毎日毎日…お見舞いに行くのが日課になった。

担当医に呼ばれた母から聞いた話しでは…
普通、ここまで進行している癌なら‥かなりの激痛があったはずだと。
痛みを抑える治療しか、方法は無い事。
肺癌から、色んな臓器に転移している事。
ヘビースモーカーの父…
本人が吸いたいと言うならば、尊重してあげてもいいとの事。

あんなに元気に見えるのに…
全然、信じられずにいた。必ず、奇跡が起こる!!
大丈夫!!

私は学校の休み時間に、公衆電話から、父の携帯へかけた。

父「もしもし?」

私「お父さん?今日もお見舞い行くからね♪」

お父さんと呼んでいた。

父「今日は来なくていいから!!」

私「何で?」

父「毎日毎日、来んでも大丈夫。今日は痛みが少しキツイから‥みんなと楽しく過ごせんかもしれんから」
父は、激痛と戦っていたんだと…実感。
そんな姿を見せたく無かったんだね。

担当医の後日談…

私達が帰ると、父はのたうちまわる様にして痛みと戦っていたらしい。

その日から、ちょくちょく父がお見舞いに来なくて大丈夫と言う日が増えていた。

そんな事、どうでもいい!!痛みに耐える父を励ます為にも、私達はお見舞いに行き続けた。

強い薬の副作用で‥
嘔吐を繰り返し、髪も抜けて来た。

喉にも転移したらしく、声を出すのも大変そうだった。

でも決してあきらめない!!
調子がいい日が続いた♪
タバコを吸いに、車イスだったけど‥みんなで散歩へ出たりもした。

私「退院したら、何が食べたい?」

父「ステーキ♪」

病院食は、ほとんど手をつけなくなった。

母が煮物を持って行くと‥すごく喜んで、美味い♪美味い♪と食べていた。

夫婦の絆を見た瞬間だった。

検査へ行く時も、必ず母を呼び…ついて来い!!と言ってた

母が側に居ない時に、車イスを押し始めた、看護士さんに怒鳴っていた。
父「お母さんがまだ来てないから!!」

そんな二人を冷やかしたりしてた。

父は‥いつ退院出来るのか気にし始めた。

仕事人間だったし、心配だったんだろう。

入院する前日まで、普通に働いていた。
耐え難い痛みがあったはずなのに…


強い薬が‥だんだん効かなくなってきていた。

急に変な事を口走る事もあった。

父「あれ?セミがうるさいなぁ~♪」

私達は驚いた。
5月、セミなんか鳴いてない。
父には聞こえていた。

妹の顔をじぃ~っと見て、「婆さんか?」

父の母…
私達のおばあちゃんに見えたらしい…

おばあちゃんは、一年前に亡くなっていた。

私達は恐くなったけど、平静を保つ。

薬のせいで、幻覚を見たり聞いたりしていた。

父「あぁ~海見たいな♪」
私達「退院したら行こうね!!」

父「お父さん、退院出来ないんかな…」

ボソッとつぶやいた父。

私達「出来るに決まっとるやん!早く検査終わらせよう!」

みんな、涙をこらえていた。

いつもの様に、面会時間ギリギリまで家族団らん淼

ある日、

私達「じゃあ、また明日ね♪」

そう言い、病室を出た。

ふと、私は‥
病室へ引き返した。

すると、父がまるで、私が引き返して来る事を分かっていたかの様に‥

ベッドに座っていた。
満面の笑顔で‥

父「忘れ物か?」

私「違うよ♪ちょっとビックリさせただけ」

すると、父が‥
また明日♪と言って、投げキッスをした。

私「気持ちわるぅ~(笑)」
父の、投げキッスなんて初めて見た瀨

廊下を歩く、母と妹に追い付き家へ帰った。

家へ帰ると、みんな無口だった。


続く…