問:《今一つ、分詞構文が分かりません》
答:分詞構文を理解するコツは、分詞構文のルーツを理解することです。例えば、次の~ing形は、前置詞byの次にあるので、動名詞と考えられます。
(by) judging from ~「~から判断する(ことによる)と」
(by being) seen from a distance「遠くから見られる(ことによる)と」
※beingは動名詞。
(by) according to ~「~による(ことによる)と」
(by) using ~「~を使って」
(by) including ~「~を含めて」
(by) supposing ~「~と仮定する(ことによる)と➡もし~なら」
(by) providing ~「~を取り決める(ことによる)と➡もし~なら」
(by) considering ~「~を考慮する(ことによる)と」
いかがでしょう。上記の~ingは、英文法では分詞構文と呼ばれていますが、フランス語の文法では"動名詞"=ジェロンディフ(=英文法のgerund『動名詞』)と呼ばれています。ジェロンディフとは、おおまかに〚「前置詞+動名詞」のうちの前置詞を、会話では残しますが、文語(文書)では省略する〛という表現方法のことです。意味は、英語の分詞構文とピッタリと重なります。分詞構文のルーツはフランス語にあるのです。
ジェロンディフを英語の場合で説明しますと、
⦿会話では、➡On arriving at Narita, I called my mom.➡前置詞onを残す。
⇅〚arrivingは動名詞に由来〛
⦿文語では、前置詞を省略する➡△ Arriving at Narita, I called my mom.
さらに、英語の昔の進行形は、I am in walking.(➡動名詞)「僕、散歩中」であり、このinが省略されて、I am walking.という現在の進行形ができました。おそらく、フランス語のジェロンディフの影響を受けて、inが省略されたのではないか、と私は推測しています。進行形の~ingさえ動名詞に由来するのですから、分詞構文の~ingも動名詞に由来する、と考えてもさしつかえないと思うのです。
さて、英語の分詞構文、そしてフランス語のジェロンディフ(動名詞)のルーツは、ラテン語の時代にさかのぼります。当時の知識人たちは、羊皮紙が高価だったため、接続詞を用いた文を、少しでも短くする必要に迫られます。そこで工夫したのが、前置詞+動名詞です。その前置詞を会話では残し、文書では省略して、さらに文を短くしたのです。
例えば日常、よく使う7種類の前置詞+動名詞を選びました。そして:
↓接続詞を用いた節を「前置詞+動名詞という句」にした
⦿文書では、前置詞さえ省略➡いわば❝動名詞❞構文の誕生(節を句で表すことに成功):'Although I live' in a city⇒('In spite of') living in a city⇒'Living' in a city「都市に住んでいるが(田舎も好きだ)」('Although I live'がわずか1語の'Living'に)。
この表現方法がノルマン征服以降、フランス語を経由して英語にもたらされました。❝動名詞❞構文の本質は、前置詞が付いたり取れたりすることです。よって、❝動名詞❞構文を元々の前置詞+動名詞に戻すと、とても分かりやすくなるのです。例文で確認してみましょう。
①「~しながら、~して」【付帯状況】
・(In) walking in the woods, I saw a beautiful blue bird.
「森を歩行中に→森を歩いていて、美しい青い鳥を見た」
※(While I was) Walking in the woods と考えてもOKです。昔の英語には、現在分詞で「~しながら」を表す用法もありました。よって、「(In) doing」に由来する「~しながら」と現在分詞に由来する「~しながら」とが一つに統合されて、現在に至っています。
・A soldier lay on the ground, (in the condition of being) wounded in the leg.
「1人の兵士が脚を負傷して地面に横たわっていた」
※「負傷している状態で→負傷して」。
②「~して(すぐ)」【時】
・(After) seeing a policeman, the man ran away.「その男は警察を見て走り去った」
・(After being) seen by a policeman, the man ran away.
「その男は警察に見られて走り去った」※beingは動名詞。
・(After) having spent all his money, he gave up gambling.
「彼はお金をすべて使ってしまって、ギャンブルをやめた」
③「~なので」【理由】
・(Because of) not knowing what (I ought) to do, I asked for help.
「何をしていいか分からなくて、助けを求めた」
※not knowingは、動名詞の否定形に由来。
・(Because of) there being no taxi, I had to walk home.
「タクシーがなくて家まで歩かなければならなかった」
※thereは動名詞の意味上の主語。beingも動名詞に由来。
・(Because of) (being) unable to find his mother, the boy cried.
※形容詞の場合には、beingが省略されることもあります。
④「~すれば、~すると、~されると」【条件】
・(By) all thingsガ(being) considered, he did very well.
「すべてが考慮されると(直訳)、彼はとてもよくやった」
・(By) the weatherガpermitting, we will go on a picnic.
「(直訳)天候が許す(ことによる)と、私たちはピクニックに出かける予定だ」
⑤「~することによって、~して」【手段】
・He solved the problem (by) using the computer.
「彼はコンピュータを使ってその問題を解決した」
⑥「~にもかかわらず」【譲歩】
・(In spite of) admitting what he says, I still can't agree with him.
「彼の言うことは認めるが、なお彼には賛成できない」
⑦「(その結果)~する」【結果】
・Ann stood in the rain, (and resulted in) catching a cold next day.
「アンは雨の中に立っていて、翌日風邪を引いた」
※catching も動名詞に由来。分詞ではないので、進行形とは関係なし。
以上のように、私は分詞構文のdoingやbeingやhavingは、その前に前置詞(句)が省略された動名詞に由来する〛という考え方を提唱しております。ある大学教授に「革命的ですね」とおっしゃっていただきました。参考になれば幸いです(なお、分詞構文につきましては、1月投稿分の2ページ以降にprovided/providing that ~などについての詳しい解説がございます)。