赤い影法師 | 遥かなるのしんの呼び声

赤い影法師

東映の豪華な重厚感と木暮実千代の女優魂

 
赤い影法師('61 日本・東映)

監督 小沢茂広(「若君と次男坊」)
脚本 比佐芳武(「八荒流騎隊」)
原作 柴田錬三郎(「眠狂四郎)


出演 大川橋蔵、小暮実千代、近衛十四郎、大友柳太郎、里見浩太郎、平幹二朗 他


(あらすじ)
関ケ原の合戦に石田三成が敗れて15年、豊臣秀頼との決戦避けがたしと知った徳川家康は伏見城に入った。その夜、警護の伊賀三十六人衆の筆頭服部半蔵(近衛十四郎)は、木曽谷の女忍者(小暮実千代)を捕え、これを犯した。時は流れて家光の世、江戸の盛り場に母子の手品師が現れた。母はまぎれもなくあの時の女忍者である。母子は三成の娘母影と孫の若影(大川橋蔵)で、仇討の機をうかがっているのだ。旗本水野十郎左衛門(平幹二朗)の屋敷で、若影は家光が御前試合を開くことを知る。その勝者には太閤倉から奪った無銘剣十振が与えられるという。しかし御前試合の勝者が同じ賊に襲われ、切尖をもぎとられるという事態が続き、指南柳生宗矩(大河内傳次郎)は非常体制を敷く。(Movie Walker)


原作は柴田錬三郎の最高傑作と名高い小説。
脚本は、比佐芳武。
絢爛豪華な俳優陣。
居並ぶ重厚な顔、顔、顔!


面白かったです。


まず、近衛十四郎演じる服部半蔵が、城に潜入しようとした女の忍を捕えます。
抱き捕え、相手が美女と知るやいなや「俺の中の火がついた!」とか勝手な事を言い放ち、そのまま押し倒すところから物語は始まります。


 

さすが、松方弘樹の父親です。
チャッカマン並みに仕事が早いです。





時は流れ、冒頭の女忍者(小暮実千代)とその息子若影(大川橋蔵)は表向きはストリートマジシャンとして生活しています。その流れでチャラい旗本、平幹二朗と知り合います。


その幹二郎から、近々家光が開催する「御前試合」の勝者たちに、豊臣家から奪った無銘剣十振が褒美として与えられることを知った影母子。


その十振の中に、石田三成が隠した莫大な軍用金の在りかを記した剣があると睨んだ母影は、若影に御前試合の勝者を襲い、その刀の切尖だけを奪うように命じます。

「なぜじゃ」「委細は後に教えよう」


皆さんはもうお解りだと思いますが、チャッカマン半蔵と母影の間に生まれたのが若影です。そして、実は母影は石田三成の娘。父亡き後、幼いうちから身分を隠しながら忍としての修行を積み、三代に渡り徳川を狙うと心に誓った豊臣家臣の生き残り。



若影は、そう云った自分の出生の秘密、そして何故刀を強奪するのか、その理由も全くわからぬまま、御前試合に勝利した剣豪たちと剣を交わすことになります。素直な息子です。




たて続けに勝者が襲われ、刀の切っ先だけが奪われる事件が発生し、さすがに「なんかおかしくね?」となる訳でして、途中から半蔵が勝者の周辺に網を張ります。


そもそも、その「御前試合」ですが、剣豪の腕を競わせるというのは実は表向きで
「寝所にオトコばかり引き入れて、女を寄せ付けない家光」に、試合観戦という自然な流れの中で、さりげなく好みのタイプの女性を見せるのが本来の目的です。気に入る→側室に迎える→世継ぎを産ませる→徳川の世、安泰。という春日局の思惑が裏にあります。




オトコも良いけど、世継ぎもね!という「おせちもいいけど、カレーもね」的発想で、
なんとか将軍の血を絶やさぬように苦心する春日局なのです。



さて、命がけで奪った切尖を見せるも、ことごとく母親に「これと違うしぃ~」とか言われ、
さすがに「刀を奪う理由をきかせてくれや!」とキレる若影。


そしてとうとう「お前は名も知らぬ男に犯されて出来た子&石田三成の孫」という、衝撃の事実をサラッ明かされます。長年隠してきた割に、身も蓋もない表現で秘密を明かす母影。


それどころか
探している刀の刃紋と、私の二の腕に彫られた刺青を合わせれば、軍用金の隠し場所がわかるのじゃ!ホレ!見よ!

と、勢いよく片肌を脱ぐのですが、
そこにあったのは



Σ(゚д゚;)Σ(゚д゚;)




 
風にそよぐワ○毛!

(実際はモザイクはありません)



この時代では、女優であっても処理はしないのでしょうか。
それとも、こんなキャラ設定でしょうか。
何れにしても、熟女好きには堪らない要素がこの映画にあることは確かのようです。






 

わ○毛を放り出したまま、真面目な話を続ける母影。
そして、わ○毛なぞ目に入らぬ様子でその話を聞く息子!
イヤイヤイヤ、待て待て!




一方、家光の側室に・・と春日局が目をつけた女性。
巴流長刀の名手、由利がその人であり、その由利の対戦相手は、ヨボヨボの爺さん(たしか東野英治郎)。そうです、完全に出来レースです。




春日局の手回しもあり、筋書き通りに勝利した由利。
無事に家光に見初められたものの、八百長で勝利したことへの悔しさに涙する由利。
そこへ、拝刀を奪いに来る若影。



以前、往来でチャラい平幹二郎にナンパされた経験がある由利。
その傍にいた若影と視線を交わした時から互いに特別な感情を持っていたものの、思わぬ形での再会です。



そこから美男美女による、くんずほぐれずのシーンが少々ありますが、基本娯楽活劇モノですから、皆さんが期待するような場面はございません。

この映画におけるエロポイントは、何はともあれ小暮実千代氏の二の腕とワ◯毛であると言えます。


その後なんだかんだありまして
とうとう件の刃紋を持つ刀を入手した影母子。





「この波紋…間違いなくあの川、そしてあの山…!!」
(-∀-`; )ウ、ウン…


素人目にはさっぱり分かりませんが、
波型の刃乱れと二の腕の刺青が揃った!と、母影の興奮は収まりません。


そして

二度目!


これは一体、どの層に向けてのサービスですか?


ケナッシー くるすべ除毛パフ/バイソン
¥504
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今更隠しても遅いわ!



ようやくお金の隠し場所が判明したものの、なんと若影は「金、要らない」と言い出します。
金の力を借りては徳川家を倒すことはできない。出生の秘密も知った、心底好きな人も出来た。もう思い残すことはない。近々行われる鷹狩に自分の命を賭けると。


お金不要なら今までの苦労とワ○毛を豪快に放り出した小暮実千代の立場は!
2度も出したのに!(涙)
まさに出し損!

私なら、ギャラ2倍を要求するね←



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そして、クライマックス。
鷹狩に遠出した家光を待ちうけ、枯れ野に火を放ち一行に襲いかかる母子影。






それを阻止しようとする、服部半蔵たち。


互いに父と子と知った上での、若影と半蔵の死闘。
その間で苦しむ母
実は行きずりの仲とはいえ、互いにずっと惚れ合っていた半蔵と母影
しかし、二人は宿敵同士・・・


どんな結末になるか、もし機会がありましたら是非ご覧下さい。
私は、DVDを借りて観たのですが、その翌週BSプレミアムで放送されてました(スッテン)



影として生きる苦しみ哀しみも描きつつ、とてもスピーディかつ痛快な娯楽作品に仕上がっていて、長編小説を90分に卒なく収めた脚本の筋立てはさすがだと思います。


 
 

脚本は比佐芳武氏
マキノ正博監督(津川雅彦の叔父)の盟友であり、片岡千恵蔵の「多羅尾伴内」の生みの親である氏は、多くの名作の脚本を手掛け、日本映画界全盛期を支えた功労者です。


氏の脚本映画は、近頃続々とDVD化されていますので
少しずつ観賞していきたいと思うのです。