1つの大きな病院を消した。

そのことは、大きなニュースとなり、とりあげられた。


『どうしたあんなことになったんですか!?』
『病院はどこへいったんですか!?』
『あなたはいったい何者なんですか!?』

『黙ってないで質問に答えてください!』

『お願いします!質問に答えてください!』


僕は当然のように、いろいろな記者たちに囲まれていた。

カメラのフラッシュ、大きな質問の叫び声、僕を見る目

そのすべてが嫌だった。

「こんなもの、消えちゃえ」

ボソッとつぶやいた。

その瞬間、また、目のあたりが熱くなった。

「あ・・・やだ・・・」

そして、目の前には誰もいなくなっていた。

母「大丈夫・・・大丈夫よ」

父「・・・心配するな」

母と父が、僕のサイドにいき、肩を掴む。

僕の方は、ガタガタと震えていた。

『消えてしまえ』

そう思うだけで本当に消えてしまう。

いままでに味わったことのない恐怖で、精神は不安定になっている。


その後、両親の車に乗り、家へ帰る・・・と思ったが、違うところへ向かっていた。

見たことのない風景が窓の外にあった。

ここは・・・東京

なんでこんな都会に・・・

「おとうさん・・・?」

父「・・・すまない・・・神音、すまない・・・」

ハンドルを強く握りしめ、アクセルあたりを見つめじっとしている。

母「・・・」

母は、ただただうつむいてるだけだった。

「・・・え、お父さん?お母さん?」

父「お前の・・・お前の、その能力を欲しがってる奴がいるんだ・・・っ」

母「・・・や、やっぱりやめましょう!こんな・・・あんなところに神音を置くなんて・・・!そんなのダメ!」

父「だがこの能力をほおっておくわけにはいかないだろ!」

母「そ、そうだけど・・・他に何か方法があるかもしれないでしょ!?」

父「そんな方法すぐに思いつくわけないだろ!」

母「っ・・・でも・・・でも、神音にあんなことさせられないよ!」

父「俺だってお前と気持ちは同じだ!だけど・・・だけど・・・!」

「・・・僕はどこに行くの?何をするの?・・・僕、お母さんたちの為なら何でもやるよ」

拳をにぎりしめ、ガッツポーズをし、にっこり笑う。

だが、その笑いはぎこちなく、ガッツポーズの手も震えていた。

父・母「・・・」

母「殺し屋・・・神音の能力を欲しがってるの・・・」

父「・・・俺たちでは、お前の能力をどうすることもできないから・・・すまない・・・」

「!殺し屋!龍ちゃん・・・」

父「龍くん?・・・あ・・・そういえば、お前龍くんと一緒にデートいったんじゃ・・・」

「・・・違う・・・僕は悪くない・・・大丈夫。お父さんもお母さんもいる。大丈夫。」

母「?どうしたの?」

「・・・龍ちゃんは・・・龍ちゃんは、その殺し屋に殺されちゃったの・・・」

父・母「!!」

父「龍くんがか!?」

母「何で・・・」

「龍ちゃんは、殺し屋に前までいたんだって。それで、抜け出してきちゃったから・・・」

父「龍くんが殺し屋だったのか・・・なんで・・・」

「お父さんがそこの偉い人なんだって。だから」

父「なるほど・・・そういえば、龍くんのお父さんとはあったことないな・・・」

「・・・龍ちゃんのお父さんが、龍ちゃんを殺すように言ったって・・・」

この時、僕の心には何かが生み出されたような気がした。


「・・・龍ちゃん・・・今、助けてあげるよ」


クスッと、微笑み、車から出た。

目の前には、大体15階くらいはありそうな高層ビルが建っていた。

見た目はぽつぽつと窓があり、他のビルと比べると明らかに窓の数が少ないのが分かる。

形は縦に長く、まっすぐと伸びている。

母「・・・また、絶対戻ってくるのよ!1週間に1回は顔見せてよ!分かった!」

「う、うん。分かった」

父「元気でな、何か龍くんに関わることがあったら教えろよ」

「うんっ」

母・父「いってらっしゃい!」

「いってきます!」


数分後


神音が父と母のもとへ戻ってきた。

「2人も来てだって」

父「?ああ、分かった」

母「なんでしょうね・・・」

「あと、お兄ちゃんとお姉ちゃんも連れてきてって」

母「わ、分かった」

母はスマホを取り出し、ササッと指でスライドさせながら兄のスマホに電話を掛けた。

父「・・・神音、何があるんだ?」

「・・・。」

「ごめん」

「今から、・・・後で言うね」

父「?」


姉「んで、なんであたしたち呼んだの?」

兄「ケンカ腰だなぁ」

姉「そんなことはどうでもいいでしょ、ほら、神音。いいなさい」

母「そのケンカ腰直しなさいよ?」

姉「はいはい。んで?」

「それは・・・行けばわかるよ」

兄「ほら、行こう。ね?」

姉「・・・神音、なんか隠してるの?」

「!・・・ごめん。今は、言えない・・・」

姉「そっ、なら別にいいよ。神音にはいっつもお世話になってるしね~」

兄「お世話になりすぎだよ」

姉「いいのっ」

家族はワイワイ楽しそうにしながら、ビルの中へと入っていく中、神音は、独りポツンとビルの扉前に立っていた。


「ごめん。さよなら、僕の大切な―――」


そして、家族のもとへと走って行った。




___


さて、神音は誰とさよならするのでしょうか?