-ラウンド2-

ここは、もう1つの世界。

俺はあいつが死んでから、引き籠もりを続けている。

ある日、どこかで知り合ったような、そうでないような奴が俺のパソコンに現れた。

そいつは俺に何度も話しかけて、元気づけようとしてくる。

だが、その声は俺には届かない。

俺は完全に引き籠もりと化しているから。

「心配です」

そいつはいつも通り、不器用な顔で話しかけてくる。

隣人なんかには、俺の気持ちが分かるわけがない

悲しそうな振りをしないでくれ

そして俺は、いつも通りそいつの話を無視してベッドにもぐりこんだ。

あいつのことを忘れないように、俺は毎日同じことを繰り返している。


その後、俺は寝ていたのか、夢を見た。

一生かけても叶わない夢を

その夢は、俺があの時の教室で、あいつと一緒にいる夢だった。

叶わない夢だが、夢の中だったら…

「シンタロー、どうしたの?」

俺は自然と夢の中で笑みをこぼしていたらしい。

あいつはクスクスと笑いながら俺の方を見た。

「いや、何も…あ、あのさ・・・っ」

俺は不器用に話を切り出した。

夢の中でなら、できなかったことを

「なぁに?」

あいつはいつも通りの笑顔で返事をする。

ああ、この笑顔。久しぶりだ

「あ、あのさ。昨日新しいCDが発売してさ…え、えと…」

もともと話をすることに慣れていない俺は、少々焦りながら話を進めた。

あいつはいつも通りの笑顔でそれに応えてくれる。


「それじゃあ、明日も見えないままですよ?」

楽しかった夢から、起こされた。

それなら、それでいいさ

俺はベッドから起き上がり、奴のいるパソコンの前に立った。

つまらない日々を殺すように、俺はパソコンにいる奴の首をつかんだ。

手に、それらしき感触もあった。

奴に俺は触れることができた。

その後、奴のいたパソコン画面が奴の色に染まり、その色で砂嵐が起こった。

わずか18歳で俺は引き籠もりとなり、腐って行った。

また今日もあいつが帰ってくれることを祈ってた。

色めいたあいつの笑顔をふと思い出した。

だが、あいつは帰ってこない。

その真実を、なぜか今改めて思い出した。

あいつの笑顔がもう見れない

そう考えるだけで、あのころに戻りたくなった。

夏のあの日に…

「どうかいっそ、連れてってくれよ」

俺は、そうつぶやいた。

そして、奴のいたパソコン画面の砂嵐が息を静かに止めた。