第22話 キドの過去。消えない影

朝、俺たちが目を覚ましたのはいつもより遅い時間。

おまけに起こしに来たのは友理奈ではなく、孤児院のおばさんだった。

「・・・ゆりなはぁ?」

「・・・友理奈ちゃんはね、お引き取りされたの。だから、ここにはもういないのよ」

「「「え・・・」」」

まだ眠たそうだったカノとセトもこの言葉に驚いていた。

「・・・あなたたちに言おうとはしたのよ。だけど友理奈ちゃんがそっとしといてって・・・」

「おばさんのばかぁあああ!!!」「ゆりなあぁぁぁぁああ!!!」「いっちゃいやあぁぁぁぁ!!!」

俺たち3人は再び大泣きを始めた。

大粒の涙を床にぼたぼたたれ落ちるほど、俺たちは泣き続けた。

おばさんはただただ黙って俺たちのことを見ていた。

一体何時間だったのだろうか。

俺たちは時間を忘れて、友理奈のことをただただ思って泣き続けた。

「さよなら」もいえなかった。

大切な、俺のもっとも尊敬すべき人。

セトとカノも俺と同じことを思っていただろう。

「・・・もう、泣かないの。友理奈ちゃんは、あなたたちが大好きだったから・・・だから、きっとまた会えるわよ」

おばさんはそういい、微笑んだ。

友理奈とはまた違う微笑み方だったけど、これも優しい顔だった。

「う・・・うんっ・・・ひっく・・・」「わ・・・わがったぁ」「・・・うぅ・・・うん・・・うっく・・・」

それから俺たちは少しでも友理奈に近づこうと努力をした。

友理奈みたいな優しい人になろうと


『つぼみ!』

耳を澄ませば、どこかで友理奈の声が聴こえてくるような気がする。