<彩の正体>


「グルルㇽㇽㇽㇽ・・・」

光がだんだんと収まっていき、海良たちも目を開けられた。

その場の光景に、息をのんだ。

彩がいなくなって、その代りに狼がいた。

扉の前に、口が耳まで裂けた髪の長い女の人がいる。

2人は怖くなり、足も口も、何も動かなくなってしまった。

「ふふふ・・・狼さん、なぜこのような場所にいるのかしら?獣族が私に刃向うんじゃないわよ。」

「グルルㇽㇽㇽㇽ・・・」

たぶん、口裂け女と思われる女性が狼に話しかけている。

「「・・・。」」

2人はその様子を見て、ただただ立っていることしかできなかった。

「あら、人間。いたの?気付かなかったわ。ここに来たこと、後悔させてア・ゲ・ルふふっ」

その瞬間、口裂け女(仮)は海良と梓に一瞬で鎌をたたきつけた。

だが、ぎりぎりで狼が2人を背大きな背に乗せ、避けた。

「ざ~んねん、・・・次は、当てるわよ?ふふふ・・・」

その言葉を発した直後、再び口裂け女(仮)獲物(海良と梓)のもとへ一瞬で行き、鎌を振りかざした。

再び狼は避けた。だが、右前足に深く鎌が刺さってしまった。

「グルルルㇽㇽㇽ・・・」

「獣族ごときがあたしに逆らうんじゃないわよ!」

今度は連続で鎌を振りかざしてきた。

一度目は何とか避けた。

二度目は左前足に鎌が深く刺さった。

「キャウンッ」

三度目は・・・立つことすらままならなくなっていたため、腹部に深く刺さった。

そこらじゅうに青紫色の血と思われしきものが広がった。

「獣ごときがあたしに逆らったからこうなるのよ」

口裂け女(確定)は倒れている狼に冷たく言い放った。

キュイィィィィン

狼の傷口が、温かそうな青色の光で包まれてきれいに治った。

そして、その狼の毛や耳、しっぽなどが縮まっていき、彩に戻った。

「・・・逃げて」

「さ・・・い・・・?」「・・・何・・・これ・・・」

「・・・逃げて」

それでも、彩はいつものように冷静に言葉を紡ぐ。

「・・・僕は、狼と、人間の、ハーフ。だから、これは、僕が、倒す。」

「ふふふ・・・そーゆーことだったのね。狼さん。だけど・・・私も倒されるわけにはいかないわ」

「・・・僕は、守るものを、守る。それだけ。だから、・・・化物族には、負けない・・・絶対に」