<覚醒>

「・・・あれ、怪しい。」

彩が指さした扉は、真っ黒でぬられ、分厚かった。

「おお~・・・」

海良の目が輝いた。

梓は一歩後ずさった。

彩がその扉をにらんだ。

「あのさあのさ!」

「断る」

「・・・同感」

「まだ何もいってないじゃん!」

「大体わかるよ!海良の考えてることなんて。単純すぎるよ頭!」

「むっ、ひどいぃ!」

「・・・でも、ここは、ダメ。海良でも、ダメ。」

「ええ~なんで~」

「・・・ダメだから、ダメ。」

「む~・・・分かったよぉ」

海良のキラキラしいていた目が、一気に暗くなった。

「よかった。んじゃ、かえろっ・・・え」

ピカアアアアアアアアァァァァ

扉が開いた。

扉から放たれた光が一気に廃工場を覆い尽くす。

古びた窓からもその光は抜け出し、夕暮れの街を照らす。

「まぶしっ・・・」「やっ・・・」「・・・誰」

海良と梓はまぶしいため目を閉じていたが、彩だけはその扉を見つめていた。

「ふふふ・・・やっと、着いた・・・時は来た・・・魔界王様に告げねば・・・ふふふ」

扉の方から、そんな声がした。

その時、彩の様子がおかしくなった。

「・・・ヴヴヴヴヴ・・・グルルㇽㇽㇽ・・・」

彩は、狼と化した。