暗い意識の中、ただただ優祐はさっき聞いた怪物らしく声について考えていた。

第11話 優祐の意識の回復

そして、目が覚めた。
頭が非常に痛く、光がまぶしい。
久しぶりな感覚が訪れる。
手が動くし、足も動く。
意識がないときにはなかった感覚だ。
だが、片方の手はなにかに包まれていた。
悪いものではなく、何か、温かい感触だ。
目を開けるが疲れて、優祐は眠りについた。
それは、深い眠りではなく、普通の眠りをしていた。

数時間後、優祐はすっきりとした表情で目覚めた。
隣では、てをしっかりとにぎってくれていた兄、庵の姿があった。
庵は寝ていなかったのか、目の下にうっすらとくまが見える。
優祐はあることにふと気付いた。

「とおさんは?また別の部屋で看病してもらってるのか?それとも、警察に事情聴取でも受けてるのか?とおさんのことだから、長ったらしく説明してるだろうしな。」
「・・・優祐、あなたにいわなければならないことがあります。」
「え?なんだ?もしかして、船が壊れたとかそんなことか?それなら俺にいわないでとおさんに言えよな。」
「・・・とおさんは、もういません。この世には、もう存在しません。」
「・・・じょ、冗談いうなよなぁもう、兄さんそーゆーこといわない人だったのに、どうしたんだ?頭でも打ったのか?」
「・・・冗談ではありませんよ。優祐。あと、あなたを助けてくれた人物を紹介しますね。」
「は・・・?な、なにいってんだよ。とおさんが死ぬわけねぇだろぉと、とおさんが、あのとおさんが死ぬわけねぇよ。とおさんは強いから、誰よりも強い男だからそんな簡単に死ぬようなやつじゃねぇじゃんか。兄さんもしってるだろ?とおさんのすごさ。なのに、なんでそんなこと言うんだよ。」
「優祐。俺だ。具合はどうだ?」
「あ、瑠衣!お前どうしてここにるんだ?それより、兄さんが変なこといってんだよ。頭うったらしくてさ」

瑠衣は、いいずらそうな顔で、優祐から顔をそむけていた。
目を合わせないように、悟られないように、そんな気持ちがこもっていた。
そんな様子の瑠衣を見て、優祐はますます怖くなっていった。
怖くてたまらなかった。生きていたはずの人間がこんなにもあっけなく死んだ、と知って、怖くてたまらなかった。
人は、こんなにもあっけなく死んでも良いものなのか。
そんなことを考えてしまった。

「すみません・・・私がもっと未来を注意してみていればこんなことには・・・」

瑠衣の後ろでどこかで見たことのある少女がいた。
そう。優祐が学校の前であった少女だ。
だが、今の優祐にはそんなことどうでもよかった。
今の優祐の頭の中は混乱しているとともに、恐怖で染まっていた。
考えても意味はないはずだが、それでも考えていた。
自分の父のことを。
それほど大事な存在だということだ。

「優祐。現実を受け止めてくれ。それを言うために俺たちはきたんだ。俺も、ヒカリも、庵さんも」「・・・・・・・あぁ・・・いやだ・・・とおさんが・・・そんな・・・とおさんが・・・死んだ・・・そんな・・・そんな・・・嫌だ・・・嫌だ・・・こんな現実嫌だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「・・・優祐。とおさんは・・・最後まで、僕達を守るために生きてくれました。僕達をかばって、自分を犠牲にして、正義のヒーローみたいに、死にました。あなたの大好きな父は、僕達を守り、正義のヒーローとして、死にました。尊敬していた父は、あなたの小さいころから好きだった正義のヒーローのまま、死にました。・・・現実を受け止めろまでは言いません。だけど、父が僕達を守ってくれて、死んだ。そのことを大切にしまっておいてほしいだけです。・・・優祐。あなたには、それができますか?」

庵は神のお告げのように、優しく問いかけた。
優祐の目をまっすぐと見つめて。
その時だった。優祐の目が、赤く染まり始めた。

「そんな・・・」「・・・!」「やっぱり・・・」

優祐は、能力を手に入れていた。
『目を現す』という能力を。