改憲派の中に「九条大事という平和ボケ」とか「ロシアが攻め込んできたときに九条で守れるのか」という人がいます。改憲派の人々は軍事力を強調して「敵基地攻撃能力」こそが日本を守ると信じているようです。確かに、憲法九条は他国からの侵略を防ぐことはできません。しかし、今まで戦後77年間、日本はどこの国からも攻められることなく、自衛隊が他国の人を殺すことはありませんでした。この事実は、憲法九条の価値を表しています。戦前のほぼ十年ごとに戦争していた時代と比べたらこんな幸せなことはありません。
そもそも、憲法九条は日本政府が他国を侵略することを禁じているものです。だから、他国を侵略しようと思っている政治家や企業の人たちにとってはその縛りが邪魔なのです。昨年は、ロシアのウクライナ侵攻によって「日本が攻められたら」という不安につけ込んで軍事費を大幅に増やすことを閣議決定しました。また、軍備の強化もしかたないと考える人も増えているようです。しかし、今まで歴史上のことを考えると、日本国内に外国が攻め込んできたのは鎌倉時代の蒙古襲来(撃退しました)と太平洋戦争で沖縄に米軍が上陸しただけです。この歴史的事実を考えると日本が攻められることは考えにくいのではないでしょうか。
さて、こんな時期にNHK「Eテレ / 100分de 名著」(月曜日午後10時25分放送)がジーン・シャープの『独裁体制から民主主義へ』を取り上げています。《非暴力運動が世の中を変える》との宣伝文句で「誰もが展開できる具体的な小さな戦略を粘り強く続ける実践的な方法論を説き明かす」ということです。
著者のジーン・シャープを初めて知ったのですが「新しい戦前」が注目される現在にこそ読むべき本だと思いました。ジーン・シャープは、《民主主義的な防衛政策》として、次にように書いています。
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自由化された国家は国外からの脅威に直面することもあり、それに備えて防衛能力を整備することが必要となる。また、経済、政治、軍事的占領を企てようとする国外からの脅威にさらされることもあろう。国内での民主主義を維持するためには、国家防衛にも政治的抵抗の原則を適用することを真剣に考慮すべきだ。新たな自由国家は、抵抗の力を市民の手に委ねることによって、軍事力を構築する必要性を回避することができる。軍事力はそれ自体が、民主主義を脅かしたり、本来ならば他の目的に向けられるべき多大な経済的資源を奪ったりするものだ。自らを新たな独裁者として打ち立てる目的のために、どんな憲法の準備をも無視するグループがいることも覚えておかなければならない。つまり民衆には、将来の独裁者に対して政治的抵抗と非協力を行使し、民主主義的な構造、権利、手続きを守る永遠の役割があるのだ。
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ジーン・シャープは、「非暴力的行動198の方法」を提案しています。ここで語られる方法論は、東欧諸国やアメリカにおける抵抗運動の教科書になったということです。