■2017/10/13 | Silver_Arrow_74

Silver_Arrow_74

ブログの説明を入力します。

■『十月の慈雨』

僕の起動力は
いつも
怒りだ

奥歯が摩耗する憤怒と
眦を焦がす憎悪
笑顔の裏にささくれ立つ悪意と
糸より細い針に含んだ害意

そんな自分は好きじゃない

冷や水を浴びせるように
常態を保とうとするけれど

些細な風に
舞い上がる火の粉

黒煙に炙られて
塵芥に汚されて
醜い自分が彫り上がる

悍ましさに
震えるとき

そんなときにも

僕は
君を
頼ってしまう

はた と
君を思い
我に 返る

面影の君の笑顔に
おずおずと瞳を合わせ
恥ずかしくなる

優しい響きの君の名前を
躊躇いながら呼んでみて
情けなくなる

広く厚く逞しい君の胸を
思い浮かべるだけで
優しくなる

僕の岐路には
いつも
怒りがあったけれど
それを 決して
悔いはしていないけれど

妹がいた頃は
彼女とだけは
目を逸らさず
話ができる僕でいたかった

ずっと ずっと
忘れたまま生きてきた
と 知らされる

愛する人が
この世に、いる
と いう
ただ それだけのことを

君は
僕の
十月の霧雨のよう

僕が錯乱する炎を鎮めて
僕の愛する涼気を誘う
しとやかな慈雨のよう

僕は
髪から雫をぽつぽつと
睫から雫をはらはらと
体中から雫をしとしとと
きりもなく
流しながら

うつむいて
ひざまずき
君の足許にくちづける
永遠に濡れ続ける
恥知らずな

しあわせな
しもべのよう



-',,-