▼「週末の警報」
なんだか仕事に行きたくなかった
バイトの子と笑って働いてたけど
脳みその2/3くらいが
機能してない感じだった
急に人手が足りなくなって
変則的なシフトになったのと
君の事ばっか考えてて
馬鹿に磨きがかかったせいで
曜日の感覚がすっ飛んでたけど
そういえば
土曜日だった
そういえば
昨日から僕は
いつもに増して
ヘンだった
君に会えなくて淋しいとか
悲しいとか つらいとか
も だけど
なんか
そんだけじゃなくて
異様な焦燥感で
タバスコみたいにピリピリしてて
イボイボの生のニガウリを
喉奥まで突っ込まれたみたいに
渋い顔してた
気がする
曜日に気づいて
冷静に考えて
軽く気が遠くなった
僕はこの10ヶ月くらいの週末は
ずっと
ずっと
当たり前みたいに
君と一緒に過ごせてたんだ
君のいない週末
君と一緒じゃない週末
君とお話できない週末
君の笑顔がない週末
君にバカ扱いしてもらえない週末
あったかくない週末
幸せじゃない週末
悲しくない週末
せつなくも 息苦しくも
泣きたくもない、
ただの
何の意味もない
曜日としての週末
休憩中に煙草を吸ってて
我慢できずに
しゃがみ込んで
両腕に顔を埋めた
これから先
耐えられるんだろうか
ピリピリしてたのは
ニコチン切れみたいな
禁断症状かも知れない
シフト表のこの先の週末には
週変わりで
色んな人達との組み合わせが
ずっしりと記入されてある
こんな機能不全な脳みそで
禁断症状な状態で
君がいないのに
君がいないのに
大丈夫だったりしちゃう奇跡が
起こるんだろうか
君は今頃、
ふわふわに優しくて
にこにこにぬくぬくで
しゅぱっーと颯爽としてやがって
ずどーんって頼もしくって
誰にだって大好きになられちゃったりしやがったりしやがる
君は今頃、
きっと
僕より手応えのあるバカタレを見つけて
突っついたり 落としたり
からかったり なぶったりして
面白がってるに違いない
そうに決まってる
決まってるんだもん
そのバカタレのとこに飛んでいって
違うもん!
この人は僕の飼い主だもん!
この人の犬は僕だもん!
僕なんか
僕なんか
いっぱい いっぱい ダメダメくんなんだから!!
いっぱい いっぱい
いっぱい いっぱい この人の犬なんだから!!
って
ぱしん ぱしん ぱしん ぱしん
ぱしんぱしんぱしんぱしんぱしんぱしん
って平手打ちかましてやりたい
いい加減にして
仕事に戻らないと
休憩が終わってしまう
んで
普通にしてたら
仕事が終わってしまった
多分、
君がいなくなった後の方が
僕は普通に見えると思う
タバスコも ニガウリも
周りは気づかない
君に出会う前の
仏頂面の
お客さんの前でだけ
しおらしくて
柔らかい口調の
以前の僕
お疲れさまって言って
外に出たら雨が降ってた
やっぱり あの信号待ちで
あの方角を見てしまって
レディッシュ・ブラウンの
君のパーカーが
網膜に再生されて
僕はホントに
大丈夫かな
も一回だけ
会えると思ってるから
まだ
宙ぶらりんだけど
あの雨の日のパーカーが
今日も
同じ雨の道を
遠去かっていく
今日もひとり
佇んで
ぼんやりと見送っている
ずいぶん たってから
とろとろと歩き始めながら
なんだか
明日も仕事に行きたくない
と
力なく
感じた
もう、
本当は、
行きたくないのかも知れない
と
からっぽの心で
感じた
本当は
行きたくない
君が、いない
君が、
もう、いない
-',,-