「メビウスの寝台」
エッシャーの騙し絵のような
次元が縺れた迷宮のなか
不思議に
冴え冴えと
日常が見渡せる瞬間がある
保険と銀行の事
酸素系粉末漂白剤と米酢の事
お彼岸の事と
友達たちにしてない返信の事
その人を思うだけで
幸せになってしまう
人がいる事
逃げようとしても
逃げ切れず
大好きな人がいる事
迷路のような過去にではなく
煙幕のような未来にではなく
騙し絵の螺旋を
叫びながら逃げ惑う時でさえ
時折
救いのように現れてしまう
笑顔がある事
その人の事だけ考えていれば
少し眠れる
人がいる事
日常を支えてくれる優しい笑顔で
ちゃんとそこに
いてくれる事
かっこいいのにふわふわ
たくましいのにぽわぽわ
考えてると
だんだん幼児語になってくる
絵本のような人がいる事
こんがらがった騙し絵の中でも
少し眠れる
人がいる事
-'16,09,17-