「涙」
目につかないような
密(ひそ)かな泉だったのに
誰にも知られる事もなく
ひっそり涸れゆくつもりだったのに
最も知られたくなかった人の前で
もう隠しようがないくらい
私は
悲しくて 嬉しくて
苦しくて 幸せで
いつも いつも
泣きたくて
思いがけず
泣いてもいいんですよ
と言われ
手に負えず 心のなか
こんこんと湧き出して池になり
こんな恥ずかしい自分は
嫌いだ
今まで生きてきて
こんな一回も見たことない自分は
大嫌いだと
根絶やしにしようとしたのに
もっと
恥知らずな姿を晒して
笑いかけられながら
泣いちゃえばいいんですよ
と言われ
どうしようもなく 心のなか
しとしととと溢れ出して流れになり
川のように
まっすぐに
君と言う名の
海へと向かってしまったら
どうしよう
高笑いされながら
そこで堰止められるのに
乾いてるように振る舞っても
側にいるだけで
横顔が目に入るだけで
あっと言う間に
底が割れたあの瞬間を思うだけで
不安でまた
泣きたくなる
濡れ鼠より
あられもなく濡れそぼっている
はしたない私を
これ以上 見られたら
きっと私は
自分で自分に
見捨てられて
きりもなく 果てもない
噴水のように
自分自身をしとどに濡らしながら
きっと もう
涙の止め方が
わからなくなる
-'16,09,26-