「泉」
叶わない夢は見ない
14才の校庭に
鉄条網で囲われた場所がある
ここで遊べば泣きを見る、と
不愉快な字で黒々と
大書した札が立っている
もげた腕を泣きながら
肩につなごうとする僕が見える
ちぎれた首を血まみれで
胴にぬいつけたがる僕が見える
壊れるから美しいなら
砕けたものを拾っていればいい
失うから愛しいなら
用途のないものを抱いていればいい
未来を捨てた空ほど
安上がりに安らげるものはない
と、のっぺらぼうのように気取りたがる腹を
呑んだ覚えのない一寸法師が
粘液をあふれさせ突つきまくる
ホントのコトを云ってみろ
ホントのコトを云ってみろ
お前の吐いた言葉が
お前を靴下のように引っくり返し
その臓物を舐めまわすだろう
14才の校庭に
獲物が来るのを知っている
ギロチンのある場所がある
近寄りたがる目を逸らし
叶わない夢は見ない
叶わない夢は見ない と
呪いの形で呟きながら
心の吐瀉物をだらだらと
ヘドロのように湧きたたせる泉を抱え
日に日に僕は腐乱してゆく
-'96,07,11-