ジャイアン「おい、スネ夫のび太は大丈夫かよ」
スネ夫「・・・・話しかけても返事しないんだ・・・」
ジャイアン「!?」
ジャイアンとスネ夫は焦りだした
ジャイアン「き、気絶してるだけだろ、きっとその内目ぇ覚めるよ・・・」
スネ夫「・・・・・・・」
スネ夫は黙り込んでいた
返事をしないスネ夫に痺れを切らしジャイアンが怒鳴った
ジャイアン「おい、何とか言えよな!」
スネ夫はその言葉でそっと口を開いた
スネ夫「ははは・・・・コイツ息して無いや・・・・・」
ジャイアン「なんだと!?」
ジャイアンものび太に駆け寄り呼吸を確認した
ジャイアン「・・・・・・」
ジャイアンものび太が息をしてないのを確認して事の重大さを悟った
スネ夫「どうする・・・?僕達この歳で人殺しに・・・」
ジャイアン「だだだ、だってよ・・・のび太が悪いんじゃねぇかよ・・・・」
スネ夫「野球でエラーしたから殺しましたなんて通用するわけ無いだろ・・・」
その発言でしばらく沈黙したがスネ夫決心したかのように口を開いた
スネ夫「逃げよう」
ジャイアン「でも・・・・」
いつもは強気なジャイアンもこの時ばかりは弱気でいた
スネ夫「こんな事知られて人殺しのレッテルを貼られて生きていくのなんて僕はごめんだ」
ジャイアン「・・・・・・分かったよ」
ジャイアンは反対しなかった
二人をのび太を担いで近くのゴミ箱にのび太を捨てて走り出した
どれだけ時が流れただろう、二人は時間の流れも気にせず黙り込んでいた
そしてやっとジャイアンが口を開いた
ジャイアン「俺達皆でここに集まって遊んでたんだよな・・・・」
スネ夫「うん・・・・、つい昨日までね・・・・」
二人は野球のちょっとしたミス如きで友人を殺してしまった事を深く悔やんだ
スネ夫「もう戻れないよ、いつも見たいにはなれないんだ」
その時いきなり雨が降り出した
二人の顔は雨でずぶ濡れになって行った
ジャイアン「やっちまった・・・・・」
スネ夫「・・・こんな事になるなんて・・・助けてママ・・・」
しばしの沈黙、先に口を開いたのはジャイアンだった
ジャイアン「・・・スネ夫、行くぞ」
スネ夫「どこに?」
ジャイアン「裏の用水路だ、のび太は泳げない、溺死に見せかけるんだよ」
スネ夫「はぁ?こんだけ打撲の後があるんだぜ?どう見ても水死にはみせかけれねーよ!」
ジャイアン「そうか・・・」
スネ夫「・・・思い切ってママに話してみる」
そう言い、立ち上ろうとしたスネ夫をジャイアンが制止する
ジャイアン「馬鹿野郎!そんなことしたら即警察呼ばれるだろうが!!」
スネ夫「うちのパパ、ママなら隠蔽工作できるかもしれない…… 知識のない俺らよりずっとうまくやれる……」
ジャイアン「……もし、お前の母ちゃんがそれを拒んだら?保障あんのか?」
スネ夫は言葉を詰まらせる、確かにいくら可愛がられてる一人息子といえど自分の子供が殺人を犯したとなれば話の次元が違う
カミナリさん家の盆栽をぶっ壊したレベルの話ではないのだ
人を、友人を、殺してしまった
スネ夫「とりあえず……あのゴミ箱は定期的に清掃業者回収に来る どちらにしてもあのままはまずい」
ジャイアン「……だな、ゴミ箱へ戻るぞ」
時は薄暮時
人通りの少ない路地を選んだのが幸いした、人目につかずゴミ箱へと戻ることができた
ジャイアン「……ゴミ箱に誰かいんぞ」
スネ夫「あれは……まずいぞ、清掃業者だ……」
ジャイアン「週に一度の掃除屋め……何も今日こなくてもよいものを……」
あのゴミ箱の中にはのび太の遺体がある
きっとゴミ箱の重さを不思議に思い、中を見るに違いない、そうなったらアウトだ
清掃業のおじさんは今にものび太の入ったゴミ箱に手をかけようとしている
スネ夫「あー!おじさん待って!」
清掃「ん?なんだい坊や」
スネ夫「そのゴミ箱の中に僕の財布が入ってるかもしれないんだ! ちょっと改めさせてもらおうか!」
清掃「ああ、それは大変だね、探していいよ」
スネ夫「ありがとう!」
清掃業のおじさんがゴミ箱から離れ、車に戻っていくのを見届けるとスネ夫は再びゴミ箱を開けた
実は、いままでのは夢で、ドラえもんかなんかの道具で、俺の勘違いで
この中にはのび太はいなくて、家に帰っていて、また明日、のび太が遅刻してきて
ジャイと笑って、また一緒に野球して……
そうだったら、どんなに良いだろうか
スネ夫はゴミ箱をあけた
そこにはやはり、息絶えたのび太、友人の変わり果てた姿が変わらずあった。
スネ夫「く……」
ささやかな願いは打ち砕かれ、揺ぎ無い現実が2人の前に容赦なく立ちはだかる
ジャイアン「……で、どうするんだ」
スネ夫「ご、ごめん……か、考えてない……あのおじさんを引き離すことだけ考えてたから…」
ジャイアン「what?おい引き止めたっつってもそう長くはもたねーぞ!じきおっさんが戻ってきちまう!」
スネ夫「ちょっと待って今考えてる!」
清掃「おーい!財布は見つかったかな?」
ジャイアン「おいやべぇ!戻ってきたぞ!」
スネ夫「仕方ない」
意を決したスネ夫はポケットに手を突っ込み、ある物を取り出した
清掃「おじさんもそろそろ次の回収へいかn」
バチチッ!
清掃「グギッ!か……は……!」
ドサッ
清掃員はしばらく痙攣した後、人形のように動かなくなった
スネ夫の手には黒い物体、それは一見電気ヒゲソリにも見えた
スネ夫「KING COBRA SEDAN 90万V、俺なりに改造したがな」
ジャイアン「お前……」
スネ夫「護身用だよ(ほんとはジャイアン用だったんだがな」
ジャイアン「ひっ人増やしてどうすんだよ!このおっさん!どうすんだよ!おい!」
スネ夫「いいから2人を清掃車に乗せるんだよ」
ジャイアン「はぁ?」
スネ夫「いいから早く!」
スネ夫の迫力に気圧され、ジャイアンは仕方なく指示に従った
ジャイアン「よいせっと」
清掃車の助手席におっさんを乗せ、足元にのび太を、その上にジャイアンが乗り込んだ
元々2人用の清掃車、4人乗りは少々きついものであった
3人が乗り込んだことを確認するとスネ夫は運転席に乗り込んだ
ジャイアン「お前!免許持ってるのかよ!」
スネ夫「もってるわけねえだろ!チッMT車か……」
スネ夫は覚悟を決めた
キーを回す、軽快な音と共にエンジンがかかりだした
もう戻れない