そうだ、あの時、パパの友達が持ってたサーキットで車を運転したんだ
その時乗ったのはAT車であった為、スネ夫にとってMT車は未知の存在であった
しかし、スネ夫は知識が無いわけではなかった
パパが乗っていたマスタングブリット、あれは確かMT車だったはず
あれに乗りたくて……、僕はMT車の勉強をしたんだった
スネ夫「まずは……ドアロック」
スネ夫「そしてシートベルト確認、ジャイアン、シートベルトした!?」
ジャイアン「シイートベルトなんざどうでもいいだろ!!早く出ろよ!」
スネ夫「無シートベルトは道路交通違反なんだよ!警察に見つかるだろ!」
ジャイアン「人一人殺してるのにドーツーもサツもねーだろ!!」
スネ夫「確かに」
スネ夫「じゃ行くよ……!」
まずはクラッチとブレーキを同時に踏み込む……
スネ夫「次は……」
ブレーキを離し、アクセルを少し踏み込む
ヴヴヴヴヴヴ
スネ夫「そんで……」
クラッチを徐々に戻す、半分まで止めた時、アクセルを踏みつつクラッチを静かに離す!
ブオーッ!
スネ夫「よし!」
車は静かに走り出した
ジャイアン「動き出したぞ!スネ夫すげぇ!!」
スネ夫「へへ、ダテにボンボンじゃないよ!」
スネ夫はすばやく2速へ入れる、そして3速
スネ夫「車を動かせたのはいいとして、このままじゃ危険すぎる…… 傍から見ても僕は18歳にはとても見えない……!」
ジャイアン「そうだな、とりあえず裏山へ行こう!」
スネ夫「わかった!」山すそへ車を止めるとジャイスネはのび太と清掃員を担いで車から降りた
ジャイアン「はぁっはぁっ、このおっさん重い……!」
スネ夫「それが人一人の重さ、命の重さってやつだよ……!」
人目のつかない森まで担いで行き、2人を地面に寝かせた
ジャイアン「で、どうするんだこいつら!埋めるか!?」
スネ夫「いや埋めるのはまずい、穴が浅すぎると腐臭を嗅ぎつけた野犬が掘り返してバレるってケースもあるからね」
スネ夫は考えた、よく考えりゃおっさんは気絶してるだけだ、いつ目を覚ますかわからない
大人1人、子供1人をこの世から跡形もなく消す方法
即ち、完全犯罪
スネ夫「!……なんだ、あるじゃん」
そういえばいた、僕らの主人公でもあり、不可能を可能にするアレが!
スネ夫「ドラえもんがいるじゃん!」
ジャイアン「そ、そうか!ドラえもんならこの2人を消し飛ばすなんてワケないよな!」
スネ夫「消し去る系統の道具……道具……」
ジャイアン「独裁スイッチで消すとか!」
スネ夫「あれは正確には消す道具じゃない…」
ジャイアン「どこでもドアでヨハネスブルグかソマリアあたりに放置するとか!」
スネ夫「ドラえもん相手だ、地球上にいればきっと道具で見つかっちゃうよ!」
ジャイアン「スモールライトでミクロ単位まで小さくするとか!」
スネ夫「それも見つかるって!」
ジャイアン「あああああああああもう!!なんか無いのかよ!!」
スネ夫「僕の知る限り山ほどある」
ジャイアン「あるのかよ!どんなだよ!」
スネ夫「悪魔のパスポート、デビルカード、もしもボックス……極論、タイムマシン」
ジャイアン「そんなにあるなら」
スネ夫「これは全部危険度Sランクの道具だよ!あのドラえもんがそう簡単に貸すと思う!?」
ジャイアン「タ、タイムマシンで過去にいって…!」
スネ夫「時間犯罪だよ、日本の警察よりもっと恐ろしいのが来るよ!」
ジャイアン「じゃあどうすんだよ!!!あ!!ドラえもんに相談するってのは!??」
スネ夫はそれも考えていた
スネ夫「確かに、ドラえもんなら持ってるかもしれない、のび太を生き返らせるその奇術」
だがしかし、あのドラえもんが……唯一無二の親友親友であるのび太を殺したと知ったらどうなるだろうか……
目の前に殺した張本人がいるんだ、ロボットとはいえ、感情がある
感情がある、即ち「怒り」がある
その逆鱗に触れるのと警察に捕まること、天秤にかければ一目瞭然
スネ夫はもう少し考えることにした
気づけばもう夜
まずい、のび太ママとドラえもんが心配しだす頃合だ
時間が経つほど分が悪くなっていく
あれだけ普段道具を悪巧みに使っていた2人だが
突然襲ってきた非日常にうまく頭がまわらない
その時
清掃員「う……ん……」
ジャイアン「ま、まずいぞ!」
スネ夫「仕方ない」
スネ夫はポケットから妖艶な黒光りの棒状の物を取り出した
シャゴッ!ガンッ!
清掃員「ぐっ……」
清掃員は再び眠りについた、スネ夫が持っていたのは伸縮する警棒だった
スネ夫「ブラックマジックST-3000、後期型」
ジャイアン「おk」
スネ夫「ジャイアン」
ジャイアン「なんだよ」
スネ夫「この清掃員の首を絞めるんだ」
ジャイアン「な!」
スネ夫「この清掃員は僕達の顔を知っている、生きている以上僕らに安息は無い」
ジャイアン「おっ俺は嫌だよ!スネ夫がやれよ!!」
スネ夫「いいかい、ジャイアンはもうのび太を殺してるじゃないか、子供なら1人も2人も変わらないさ」
ジャイアン「あれはお前も……」
スネ夫はポケットに手を突っ込み、ポケットからスタンガンを覗かせる
ジャイアン「お前……」
スネ夫「大丈夫、つかまる時は一緒さ」
ジャイアンは観念したのか、清掃員の上にまたがり首に手をかけた
ジャイアンは自分の体重をかけ、清掃員の首を絞める
ジャイアンは密かに涙をこぼした
俺は何をしているんだろう……
ジャイアンの頬に涙が伝わり、清掃員の顔元に雫が零れ落ちた
スネ夫「うっ……く……」
スネ夫も泣いていた
スネ夫「大丈夫、死んでる」
ジャイアン「うっ……ううっ……」
スネ夫「さ、山を降りよう、ドラえもんに会うんだ」
ジャイアン「じゃ、じゃあ相談するんd」
スネ夫「違う、ドラえもんの四次元ポケットを奪うんだ」
ジャイアン「え?」
スネ夫「僕らの寿命を80歳と過程する、あと約70年、隠し通すのは無理だ」
ジャイアン「そ、それじゃあ」
スネ夫「残り70年、逃げるんだよ、四次元ポケットを駆使して」
ジャイアン「ば、馬鹿かよ!!相手は未来だぞ!!逃げ切れるわけねえよ!!」
スネ夫「もう時間的に無理だ、空を見てよ、おそらく8時近くを回ってる。ドラえもんがいつ出てきてもおかしくない」
ジャイアン「お前正気かよ!!70年!?逃げる!?あのな!!俺ら未成年だぞ!人一人殺しても逮捕はされない!!ましてや小学生だ、少年院に数年いれば戻ってこれるさ!」
スネ夫「……少年院を出た後は?」
ジャイアン「そりゃ、今までのことを悔い改め生きていくしか」
スネ夫「受験、就職、結婚……少年院にいた、という肩書きがこれから一生ついて回るんだよ ジャイアンの家は自営業だろ?少年院出なんて知れたらとてもやっていけないよ」
ジャイアン「う……」
スネ夫「僕は名門中学、名門高校を出て東大へ行って国Ⅰとってエリート街道を進むはずだった しかしもうそれは叶わない、ここから少年院にいって転落人生をするくらいなら……!」
スネ夫「僕は道具を選ぶ」
ジャイアン「お前……イカれてるよ……」
スネ夫「俺らは殺人者だよ、イカれてなきゃ殺人なんかしない
スネ夫は半ば放心状態のジャイを尻目に死体を動かし始めた
死体を草むらの影に隠すと、魂の抜けかかったジャイに声をかけた
スネ夫「ジャイアン、よく聞くんだ」
ジャイアン「あ、ああ……」
スネ夫「真っ向から力ずくでポケットを奪い取るってのもアリだけど正直いって危険度も高い」
ジャイアン「腕っ節なら自信がある……、お前が一番よく知ってるだろ…」
スネ夫「ポケットはマグネットでくっついてるから取り外しは簡単なはず しかし、その場で奪ってのはとどのつまりその場でドラえもんにバレる、単純に分かるだろ?」
ジャイアン「あ、ああ……例えば目の前で財布とられて気づかない奴はいない……ってことだろ?」
スネ夫「そう、ポケットを奪ってから多少の時間が欲しい……となると」
ジャイアン「こっそり奪う……気づかれずに?」
スネ夫「……そうなる」
スネ夫「とりあえずドラえもんの出動を抑えるのが先だ、のび太がまだ生きていることを証明するのが大前提になる」
ジャイアン「よし、今日は3人でスネ夫ん家に泊まるってことにしよう!」
スネ夫「おk、急ごう、もう真っ暗だ」
二人は山を降り、スネ夫宅へ向かった