歩いてきたのかな | 都市伝説Navi

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最近は、ホラー・ミステリ系のゲーム制作、スマホゲーム、ペットの話等々。

キャンプ場に行ったカップルが、山の方へ星を見に行くことになった。
しかし、途中で懐中電灯の電池が切れてしまったたため、男が買いに戻ることになった。
「危ないから待ってろ」と言う彼に、女は驚くほどすんなりと頷いた。
彼は少しばかり怖がってくれることを期待したていたのだが、彼女は
「こっちから行った方がいいわよ。さっき明るいときに見たら、小さな店に続いてたから」
とアドバイスまでしてくれた。

暗くてほとんど道など見えなかったが、何とか男は店までたどり着いた。
すると、山の方からやってきた彼を見て、店の主人が妙な顔をした。
「あんた、あっちからやってきなさったのかね」
彼が頷くと、主人は首を振りながら言った。
「いや~、よく無事だったものだね。一応、道のようなものはあるが、崩れてるところが多いから
昼間でも事故が起こるんだよ。注意書きの看板見えなかったかね?」

改めて、電池を入れ替えた懐中電灯で照らしてみて、男はぞっとした。
道と言うより、崖だった。
彼は自分の幸運を噛みしめながら、今度はきちんとした道を通り、女の所へ戻った。

「買ってきたよ」
何故か男が現れたことに驚いたように、女は目を見開き何か呟いた。
彼にはほとんど聞き取れなかったが、最後の一言だけ耳に飛び込んできた。

「本当にあの道歩いてきたのかな」