6時に神戸を出て、小雨降る山形寒河江に着いたのは18時半前。
いくつもの晴れた雲を通り過ぎながら
なぜ、今この人と別れるのかを考えていた。
19時からの通夜。
ぱらぱらと小雨の降る会場に入り、彼の遺影を見る。
風邪薬で遠くにあった意識が、即座に叩き起こされる。
遺影は衣影
記憶とは、こういうもので
死とはこういうものだと
まざまざと見せつけられて
そして、
わたしは彼の記憶と対面した。
雨は音楽にならず
足音も救いに鳴らず
わたしは無音の中で
彼と対面した
おぼろげで
曖昧な
彼にとってあんまり意味のない記憶かもしれないが
わたしは
その深く繊細な表情を
もう一度、記憶に刷り込むことができた。
意思は残る。
こんな、わたしのなかにも。
そして、
意思しか残らない。
22時に外にでると、雨はやんでいた。
車に鍵を入れると
母がいった。
来れてよかった。
その通りだと
わたしは思った。
11月20日
23時
雨の寒河江。
