子供と一緒に観てると引き込まれました

やはりヒロムのナンバー1はトトロであることに変わりはないのですが・・・・。 もののけ姫や、ナウシカ、ラピュタはどうにも怖いらしく、余り不気味であったり怖いシーンの無いものを一緒に観ています。


本当は外で思いっきり遊びたいのですが、外気温が30度を超える毎日が続いていたので、どうしてもお家で遊ぶ事に・・・・・・。 ごめんよヒロム。

さて、借りぐらしのアリエッティですが・・・・・・。 実は初めて観た時は、大して感動しませんでした。
リッツ「えーーーーっと、これで終わり??」

物凄く物足りなさを感じたのを覚えています。 なので、DVDは購入していたものの、棚の奥で眠っていたのです。 子供が生まれて一緒に観るまで、観返される事はありませんでした。

リッツ「そうだ・・・・。 確か、怖くない小人の話があったよね・・・・。」
そんな風に思い出して、久しぶり数年ぶりに、アリエッティを観る事になりました。

すると・・・・・・・・。
リッツ「何これ・・・・・・、メッチャ面白いやん・・・・・・・!」
何でもっとちゃんと観ておかなかったんだろう!! って1回目を観終わった後に後悔したほどです。

ヒロムも小人さんが出てくるので、楽しんで観ておりました。
まずは美しい背景。 ジブリ作品はどれを通しても、本当に背景が美しいのですが、この作品は群を抜いているように思います。

ため息が出ます。 実在する洋館をモデルにしたようです。


小人であるアリエッティの部屋です。 一見散らかっているように見えますが、こんな部屋で生活したいって乙女なら思ってしまいますね。


翔(ショウ)の部屋にあるドールハウス。 実は翔のひぃお爺さんが、小人の為に本物の家具職人に頼んで造ってもらったお家なのです。
もーーー、スッゴイ素敵!!



活発なアリエッティより、お母さんの方が気にいりそうですね。

物語は、そんなに複雑な話ではありません。 12歳で心臓に重い病を抱える、薄幸の少年、翔。 彼は心臓の手術を行う前、1週間ほどの間、この静かな屋敷で過ごす事になりました。

父親と母親は離婚し、おそらく最期の手術になるであろうと薄々分かっているけれども、母親は海外に仕事に行ってしまい、自分のお婆さんの妹さんに預けられる事になります。
  
ここに、彼が余り家族と一緒に居れない事や、子供の最期を見たくない翔の母に対し、彼自身も遠慮をしている様子がうかがえます。 一日中の殆どをベッドの上で過ごす翔にとって、本が彼の友人だったようです。

しかしそんな人生ももうすぐ終わってしまう。 どこか諦めたような孤独感が彼に影を落としています。

しかも美少年!! ここは外せませんよね!


しかし、そんな彼に見つかってしまった小人のアリエッティ。 小人達は、人間達にみつからないように、水、ガス、電気や、砂糖やチーズ、生活に必要なものを、狩り(借り)ぐらしをしているのです。

小人達は力を合わせ、工夫をしながら日々を生きています。 アリエッティのお家は本当に素敵です。 植木鉢のかまどに、アルコールランプのようなガス栓。 風鈴の室内灯。 そして家じゅうに飾られている花々。

このお話を観ると、ハーブティーが飲みたくなります(笑)。


元気で活発で好奇心旺盛なアリエッティは、自分にコンタクトをしてくる孤独な翔が気になってしまいます。 そして翔も、アリエッティの事が気になってしまいます。 しかし小人と人間。 お互いに合い入れる事は出来ないし、特に小人は人に見つかったら引っ越しをしなければならないのです。 


アリエッティが借りに失敗して落っことしてしまった角砂糖を、通気口に置いたり、アリエッティの家を発見して、ドールハウスのキッチンを強行手段で入れ替えてしまったり。 ちょっと強引なやり方ですが、残りわずかな時間で、翔はアリエッティの心に触れようとします。

かなり違うで。 って思いますが12歳の少年のアプローチだから許してあげましょう(笑)。 花を渡して(軒下の通う気口において)彼女を待つ翔。 本当に幻想的ですね。


翔に見つかった事で、アリエッティの家族は引っ越しを決意します。 外に家を探しに出たお父さんを助けたスピラーとの出会い。


彼は実際に狩りをしながら生きている小人のようですね。 コオロギは美味しいそうです(汗)。


引っ越しが決まって、家を捨てていくアリエッティ一家。 翔に最後の挨拶をする為にアリエッティは翔の前に姿を現します。



初めてお互いの姿を見て話をします。 小さいけど生きるエネルギーに満ちたアリエッティ。 人ではあるけども、孤独な影を落とす少年翔。 翔はアリエッティに言います。

翔「君達は滅び行く種族なんだ。」
翔は決して儚げでひ弱な少年という形では描かれてはいません。 アリエッティを前にとげのある言葉を言って彼女を傷つけようとします。

12歳とは思えない、結構ブラックな一面を持つ翔。 おそらく彼の心の中では絶えず葛藤があったのでしょうね。



しかしそんな翔の言葉をモノともせず、アリエッティはひるまず言い返します。
アリエッティ「滅ぶですって? あなた達人間が知らないだけよ! 私達は絶対に生き延びなければならない。 たとえ住み慣れた家を捨てても。 どんな恐ろしい事が待っていようと、新しい場所を見つけて、工夫して生きていっているのよ!」


小さい身体からをものともせず、人間に立ち向かって毅然とした態度を取るアリエッティ。 翔はそんな彼女の姿が眩しく映った事でしょう。

翔「ごめんね。 滅ぶのは僕の方だ。 ココ(心臓)が生まれつき悪くて。 近いうちに手術するけど、きっとだめだ。」
誰にも言えない胸の内を、アリエッティにうちあげる翔。

ほんの一瞬の邂逅ですが、アリエッティも翔の抱えてる孤独を知ります。 そう、生きるって楽な事じゃないんですよね。

二人がそんな話をしている間に事件が起こります。 洋館の家政婦ハルさんに、アリエッティのお母さんが見つかってしまい、捕まってしまいます。


翔に助けを求めるアリエッティ。 お母さんが居なくなった事でポロポロと涙を流します。 気丈に振舞っていても、14歳の女の子であることには変わらないのです。


ほんの束の間の二人の大冒険が始まります。


無事にお母さんを助け出したアリエッティ。 翔とアリエッティは、言葉を交わさず一瞬だけ目を合わせて別れます。 その日の夜明け。 朝早くに目が覚めた翔は、旅立って行ったであろうアリエッティ達の事を考えて、庭先に降りていきます。

そこに猫のニーヤが自分をどこかに連れていくようなしぐさをします。 アリエッティがまだ居るんだ! アリエッティに最後のお別れを言いたい翔。 苦しそうにしながらも、走ってニーヤについてきます。


何とか間に合って、別れのあいさつを済ませる二人。
アリエッティ「守ってくれてありがとう。 嬉しかった。 いつまでも元気でね。」
翔「アリエッティ、君のおかげで生きる勇気がわいてきた。 手術、頑張るよ。」


恋というにはまだ幼くて、友情と言うにはもどかしい。 なんだか初恋のような甘酸っぱい関係が二人の間には生まれています。 でも、それを言葉にできるのは、二人がもう少し大人になってからなんでしょうね。

二人の別れを見ていたスピラーは、寂しそうにしているアリエッティに、木イチゴを差し出します。 武骨な彼の優しさが見える一面です。 これからこの二人の恋が始まるような、そんな予感がしますね。


生きる希望をアリエッティからもらった翔。 もう、彼の瞳に暗い憂えの影はありません。 どこか清々しい顔をしています。



翔の手術は成功しているのですがね。 なぜならこのお話は、翔が思い出を語る形で始まるので(笑)。

話の流れ全体としては、何かこれと言って大きな事がある訳でもありません。 日常のほんの数日間の話です。 しかし、この作品のよさは、あとからじわじわと来る感じです。 あの曲も本当に素晴らしい。

今までのジブリ作品にはちょっと見られない、しっとりとした大人の雰囲気が全体的にありますね。 上質なファンタジーです! 日常なのに、非日常。 スタジオジブリの素晴らしい進化だと思いました。