お母さんって凄いかも!

プロローグ
【母親とは】
母親(ははおや)とは、女親のことである。
お母さんと一般には言い、親しみをこめて「かあさん」「お袋」(おふくろ)などと呼ばれる場合もある。「母」という漢字の成り立ちは「女」に2つの乳房を加えた象形文字であり、子への哺乳者、授乳者であることを意味する。 お母さんという呼称は、
子が母親に呼びかけるとき
母親が子に対して自分のことを指して言うとき
夫が妻を言うときに子の母親として言うとき
会話で他人の母親に言及する場合。「~のお母さん」
にも用いられる。2, 3の場合は、話者が子の立場に自らを擬して言うという特徴がある。4の場合はおば(いとこのお母さん)やいとこおば(はとこのお母さん)など傍系尊属にあたる女性を指す場合もある。
幼児語で母親のことを「ママ」ということがあり、「ママ」の語は別項目で述べるように母親のイメージから発展して意味が多様化していくことになる。(ウィキペディア参照)


リッツには以前から解らない事がありました。
例えばニュースなどを母と見ていて虐待の話題などになると、
リッツ母は決まってこう言いました。


リッツ母「どうして自分のお腹を痛めて産んだこともを、虐待することが出来るのかしら?」
といって嘆きます。
リッツは一応母に合わせて

「そうだね・・・・。」と言いますが、

心の中では、

リッツ「(そんなこともあるかも知れない。 だって親だって人間なんだから・・・・。)」と思っていました。

しかし、今自分が母親になって、母がニュースを見て嘆いていた意味が、やっと解ったのです。 人間の母親には、他の動物が絶対に持っていない、特殊な能力を持っています。 人間が高知能生命体と言っても、動物である事には間違いはありません。 生命を産み育てる。 「繁殖」は動物としての本能です。

しかし、人間以外の他の動物は、完全なプログラムの中で、本能のまま繁殖をし続けています。 ただし人間だけは、そこに自分の意思を投影することが出来るのです。 特に胎内に子を宿している母親は、その子の運命そのものを左右できると言っても過言ではありません。

実際、金銭的に貧窮している夫婦や、妊娠初期の段階で重度のハンディー・キャップが認められた場合、最終は母親の判断によって、その子の命が断たれてしまう事が決して少なくは無いのです。

こんなことは絶対に人間以外の動物は行いません。 逆に「間引き」という淘汰のプログラムによって、生きていく力の無い子を放置する事はありますが、それが人間には無い場合があります。


リッツ「そっか。 お母さんには数ヶ月も、この子をどうしようかって考える期間があるんだ。 お腹を痛めて産んだって事は、「この子の命を守り育てていこう」っていうお母さんの意思の表れなんだ。 だから私のお母さんは虐待のニュースを見て嘆いていたんだ。」

リッツ「私だって、声も知らない、名前もない、単に宇宙から私のおなかに宿ってきたこの子を、無条件に愛しているもの。」

人間はインスピレーションで人を心から愛すると言う事は、余り無いようにリッツは考えています。 しかし動物は繁殖期になると、急にオスとメスに変わります。

人間の場合は、外見だけではなく、やはりその人の内面を知り、そこから惹かれあい、愛情育むという行為に至ります。

しかし、会ったことも、見たことも、声を聞いたこともない、このお腹の中の子を、無条件に愛している自分に、ビックリしているのです。


リッツ「なんだろう? この感覚。 単に愛しいって感情があるなんて。 なんだか信じられない。 でも、これが事実なんだ。」

繁殖の為に、母親に予め組み込まれているプログラムなのは間違いないのですが、リッツはそんなものはどうでもいいように思えました。

リッツ「凄く幸せで、そして、この経験が出来たことが嬉しい。 私がこの何とも言えない感覚を体感する為に、この子は来てくれたように思えてならないな。 ジョーイの事が大好きで、本当にジョーイとの子が産めるのが嬉しいんだけど、それ以外にもお腹に子供がいる事が嬉しい。」

リッツ「早く出てきてほしいな。 どのような状態であれ、絶対にちゃんと生むから、どうか元気で出てきてほしい。 早く会いたいな。」

リッツ自身が、自分の母親を恨んでいた時期がありました。 しかし、この気持ちを体感できて、リッツは自分が何て愚かな事をしたのだろと、肉体で体感できたのです。 

リッツ「私のお母さんが、私を愛していないわけ何てあり得ないんだ。 お母さんの愛情をうたがったなんて、私はバカだ。 お母さん産んでくれてありがとう。」

そしてリッツは優しくお腹をさすりながら、名前の無い命に囁きます。

リッツ「無事に生まれてきてね。 パパもママも心待ちにしてるよ。 でも、ちょっと厳しいかもしれないけど、愛してるから。 だから安心して出ておいで。 そして一緒にいろんなところに行っていろんな経験をしようね。 楽しみに待ってるよ。」

世の中の全ての母親に、リッツは心からの感謝をしたい気持ちになりました。


現在 60.30キロ