カナリヤを売る男 | ■■ 無職牛乳 ■■

カナリヤを売る男

今を遡ること10年。当時の10代の若者の間でそれまでと違ったイントネーションの

言葉が跋扈し始めた頃のこととでございます。まだハタチそこそこであった志無巻は

ティーンネイジャーと接する機会も多く、噂に聞いていた語尾上がりの疑問系イント

ネーションの言葉を使う若者に遭遇いたしました。

志無巻の耳に入ってきたのは「それってぇーかなりヤバイってかんじぃ?」でございます。
マスコミやテレビの作り出した虚像ではなく、自分の目で耳で確認した若者文化。驚愕し

興奮に駆られた志無巻は当時のカレシであるキラキラ・ゴリラ君に即・報告!


「最近の若い子ってほんとに『かなりヤバイってかんじぃ?』って言うのよ!」 しかし彼の

反応はイマイチ。何故だ?驚かないのか?もしやこやつは陰で普通に使ってるのか?

同い年なのに?「チョー○○」とかあんなに拒絶してたのに?志無巻が怪訝そうにして
いると彼が一言


「カナリヤ売るんか?」


え???誰が黄色い小鳥のハナシをしてますか?日本語ダイジョウブデスカ?ポカンと
している志無巻に追い討ちをかけるように 「カナリヤやろ?カナリヤが何やねん?売ったら

あかんのか?」 カナリヤ?カナリヤ??カナリヤ???カナリヤ????カナリヤ???
そこで志無巻は気がつきました。

かなりヤバイ

カナリヤバイ

カナリヤ売


どうやら彼の脳内では驚異の変換ソフトが作動していた模様でございます。そこで文節カット

しますか。昔のワープロじゃないんだから、それは無いでしょう?とは思ったものの、カナリヤ

を売るゴリラはいただけません。やはり正しく意味を伝えるために正しい文法と正しい発音の

必要性を感じたのでありました。