
契約恋人④
次の日にはソウル市に戻り、急いで取った休暇は何だったのか?と疲れたまま出勤したウンスはその日の午後届いた配達物を確認し、更に机に顔を付けてしまった。
あれから2日しか経っていない筈なのに、自分のクリニックにチェ製薬会社から今年最新の美容液やコラーゲンパックの試供品がごっそりと届いた。
「何これ、何これ?!チェ製薬会社?え?あの会社ですか?」
クリニックのスタッフ達もまさかの大企業からの納品に中身を見て驚愕し、更にウンスが地元で親が決めたお見合いをするという話はスタッフ一同聞いていたが、相手があの会社のチェヨン氏と初めて知りクリニック内は騒然となっていた。
「あの会社のお子さんと同級生だったなんてどうして教えてくれなかったんですか?」
「・・・別に仲良くは無いし、言う必要無かったからよ」
「え?製薬会社からのお届けとは・・・お見合い、上手くいったんですか?」
あの大会社の次期社長がウンスの未来の旦那になるかもしれないというシンデレラストーリーに目を輝かせているスタッフ達を横目で見てウンスは、はっ、と鼻で笑う。
「あの男と?有り得ないわ!」
「えー?どうしてですか?」
「聞いた事あります、チェヨン氏の名前。・・・もったいない」
「これだって機嫌取りに決まっているもの」
「ん?何の機嫌です?」
「そ、それは・・・」
昔の話などスタッフに話す訳にはいかず、もごもごと口篭るウンスを見ていたスタッフ達だったが何も話さないウンスを不思議がるも、再び箱内の商品に目を向けわいわいと騒ぎ出している。
――・・・物を渡して少しでも罪が軽くなるとでも?
そういう考えが何処から目線なの?てなるのよ。
昔もそうだった。
これは『運命』なのだから諦めろと押さえ付け、有無を言わさず肌をまさぐりだしていた。
これ以上は危険だ!という思いで一瞬彼の手が離れた隙に突き飛ばしそのまま一目散に逃げたが、下半身に当たった彼の腰の膨らみは暫く忘れられずにいたのだ。あの状態だったら確実最後までするつもりだったのだろう。
シャツもスカートも捲られ、下着でさえズレ始めていて、常にあの男の手が身体を這っていた。はだけた背中に何度か彼の唇が当たっていた様な気がするが、その度に悪寒しか感じていなかったしどう脱出するかと思考を巡らしていた記憶の方が強く残っている。
裁判を起こしても良い。
彼が何度もそう話す事にウンスはそれだけはずっと頭から離れないでいた。
――・・・ええ?あの時、彼と私は何かそんな会話したかしら?
しかし、そんな空気になる様な事は絶対無かった。
しかもお互い恋愛感情など語ってもいなかったのだから、あやしい展開になる訳が無い。
だが、彼の発言は全面的に自分が悪いと言っている。
やっぱり、私は悪くない。
「ユ先生ー、これどうするんですかぁ?」
「っ、保留よ、いいから仕事に戻って!」
騒ぐスタッフ達を一喝したウンスもまた自分のデスクへと戻って行った。
――・・・これか。
パソコン画面を凝視していたヨンは、検索した江南区内のクリニックの1つである美容整形クリニックのウェブページに目を通していた。
クリニックの院長の欄にウンスの名前と写真、今までの経歴などが書かれてあり江南総合病院の元医師の事も掲載されている。
「やっぱり凄い医者になったのか・・・」
医大生なのは彼女から聞いていていたが、ソウル市の江南区という都市で医者としていられるのはレベルの高い医師だという証拠でもある。
そして昔から思っていたのは、彼女の性格は納得するまで医者は辞めないでいるだろうという事だった。
――・・・だからといって、希望は薄いんだが。
自分のやった行いの選択は間違っていた。
わかっている。
だが、僅かな望みが無かった訳でも無かった。
普通に彼女に頼んでも結局はチェ家に切り離される事はわかっていたし、それに対して彼女も反抗するかもあやしい。
「・・・普通に恋人になるのが最高なんだが」
好きな女性と恋愛し、結婚して子供を育てる。
それが『普通』だ。
だから、
彼女に助けを求めたとも―――。
「・・・あ、もう、届いたか?」
午後には彼女のクリニックに届く筈だ。
どうせ箱を開けた途端嫌な顔になるのだろう。
仕方ない事なのだが、やはりあの目は辛かった。
・・・無理かもしれない。
やり方を間違えたのだから、助けてくれる訳が無い。
10年の間に自分に擦り寄って来た女性はいたが、チェ家の家柄と地位に目がくらんでいたのは知っていたし、何よりそんな女性を相手にしたくなかった。
「・・・ユウンスはどうせ覚えて無いんだろうけど・・・」
それでも、実はあの時から持っていた恋心を素直に出せば別な方法があったのだろうと何度考えた事か。
「今更遅いか・・・」
だから、このまま突き進む。
最後は玉砕か修羅場だが、
自分はウンスに縋り付くだけだと思いスマホの画面をタップした――。
「・・・会社に電話を掛けて来ないで欲しいのですが?」
『すまない。ユウンスの携帯電話を知らないので届いた・・・届きましたか?』
「はあ、まあ」
『その中から気に入った物がありましたら、それをお届けしますので』
「・・・」
『・・・・・無かったか?』
「・・・いえ、まだ試していないし」
『あ、あぁ、そうか。だったらまた暫くしてから電話を・・・』
今掛けて来るなと言われたばかりだったと言葉を止めたヨンに、ウンスはメールをすると返した。
「・・・メールアドレスは会社ので大丈夫ですので」
『・・・わかりました。使い心地や疑問などありましたら私のメールアドレスが入っているので、それに送って下さい。・・・会社のでも構いません』
「わかりました」
『・・・』
「・・・何か?」
『いえ、失礼します』
通話が切れた後もウンスはスマホに耳を近付け本当に切れているか確認した。
「・・・あの人、普通に話していなかった?営業用?」
随分と流暢に話をしていて、一瞬あの男か?と考えてしまった程だ。
それに――。
はぁとため息を吐き顔を手で覆ってしまうが、ウンスはチラリと指の隙間から箱から出した美容商品を見る。
――・・・ヤバいわ。全部の商品が良いんだけど。
流石大企業で海外にも輸出しているだけあり、成分や使っているシート素材のレベルが高く、厳しい海外でも通用するだけの商品なのだと納得するしかない。
「ま、まあ、試さないとまだわからないけど!」
こんな物で誤魔化されない!と意気込みウンスは商品のパッケージを開けていったのだった。
数時間後――。
「え?」
ヨンはウンスから届いたメールを確認して、驚き固まっていた。
てっきりいらないとのメールだと落ち込んでいたのだが、実際は送った商品は全て使うとの返事にまだ切り替えが出来ていない。
「・・・いいのか?」
焦りながらも明日には早急に商品を送るとメールで返信し、その後も暫く呆けていた。
「・・・大丈夫、だよな?」
思わず首を傾げて考え込んでしまうが、メールの文面では納品の許可はちゃんと下りている。
「・・・急げ!」
ヨンはこうしてはいられないと販売部に内線を掛け、商品発注の依頼をするのだった。
「あ、組合長!一昨日はありがとうございました!」
「ユさん!その前に話が・・・!」
「はい?」
野菜や果物を卸す為に市場に着いたウンスの両親は組合長の姿を見つけ深々と頭を下げた。
しかし、組合長は2人を見つけるや否や慌てて近付いて来た。
「ちょっと此方へ」
組合長に促されて来た場所は市場の端にある事務所の中で入ると直ぐに顔を2人に向け、
「あの後、思い出したんだよ!」
「何がです?」
「チェ家について」
「はぁ・・・?」
何か悪い噂でもあるのだろうか?
2人は心配したが、組合長の話を聞き2人は呆然と佇んだ。
「チェ家は由緒ある家柄で、それは本人達でさえ自覚している筈だ。彼らはその代々継がれる名家と会社を存続していく為に、結婚する相手さえ定めているとの話らしい。相手の家もチェ家縁(ゆかり)のある所から選んでいるとの事で・・・チェヨン氏も30歳だ、婚約者だって既に決まっているのかもしれない」
「え?だったら何故ウンスとお見合いなんて・・・」
しかも、彼は『結婚』を前提にウンスとお付き合いしたいと言って来た。
――どういう事なのか?
「・・・わからん。婚約者か、もしくはチェ家にでも何かあったのだろうか?」
首を傾げながら組合長は顔を戻し2人を見つめるが、
そんな事わかる訳がないと更に2人は困惑の表情を浮かべるしかなかった――。
⑤に続く
△△△△△△
どうやらヨン氏には婚約者がいる様です・・・。
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ここからは前記事のコメントのお返事です😽
ありがとうございました😊
前記事のコメントのお返事〜
>yonyon様
ありがとうございます💕
七夕🎋のスタンプ?さえも
間に合わなかったので・・・😅💦
七夕話までに違う空が描けたら良いのですが🤭
>june24ws様
何やかんやしていたら、七夕だったのだなぁと
過ぎてしまいました💦
わぁ💦ワンちゃん🐶大丈夫でしたか?(´・ ・`)
普段の生活プラス体調悪かったり
用事が増えたりすると1日が
あっという間ですよねぇ・・・😭
旧暦だと8月22日が七夕なので、
その時までには何か考えたいと思います!💪
>norikochan56様
ありがとうございます🙇♀️✨
七夕のスタンプもイベントも
間に合わなかったので、
自分で描くという手段に出ましたꉂ🤣𐤔
今、ヨン氏の為に夜の空勉強中なので
少しは慣れているのかも・・・😄✨
>matsurikav様
ありがとうございます😊
いやぁ、ずっと空が曇っていましたからね〜。
韓国では雨が降った方がいいみたいですので
シンイからしたら良いのかもですが🙆♀️、
リアルだと何か寂しいな・・・と😌
今背景黒に、炎や水の練習をしていたので
少し慣れて来た様です✨
>nonkama3054様
ありがとうございます🙇♀️✨
最近夜空🌌の練習をしているので、
少し早くなっている様です🤭✨
いつかはヨン氏の為に何かを・・・♥
( *・ω・)ノホントカ?
>ぴ~ちゃん様
ありがとうございます😊✨
そうなんですよねぇー、
週末はどうやら良くないのか・・・。
最近練習しているので
少しは早く描ける様になったみたいです🤭🌌
>すずぷぅ様
ありがとうございます😊✨
七夕に関してのイベントが全て終わっていたので、
自分で描くという手段に出ました(笑)!
週末天気もよくないので
少し寂しい感じもしますが・・・☂
Twitterの件ありがとうございました☺️
今Twitterも面倒くさくなっていますので、
Instagramか別なのを考えております。
出来ましたらお知らせいたしますね💁♂️🌺
>もも百々様
ありがとうございます😊✨
最近夜空🌌の練習をしているので、
いつかヨン氏の為に使ってみたいです🤭💞
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