「・・・大丈夫か?」
「・・・聞かないでよ」
「あ、ああ」
お互い服を整え荷物を纏め始め、先にウンスが小屋から出ようとすると青年は手を伸ばし尋ねて来た。
おそらく身体の心配なのだろうとわかったが、山を下りなければ家には帰れないのだから仕方がない。
ウンスが言うと、青年も少し口篭る。
「・・・道に印、はわからないわね」
「それは大丈夫だ。風や匂いでわかるから・・・」
「やっぱり犬みたいね・・・」
苦笑するウンスに青年は手を伸ばし抱き締めて来た。
「・・・何時か」
「・・・・・」
結局は何度ヨンがそう言っても、女人は最後まで望む言葉は言わなかった。
今の自分では駄目だったという事なのだろう。
しかし、自分の中で女人が占める場所はじわじわと広がりこの者が離れると考えると、心臓が何故か痛くなる。
あぁ、これは離れる痛みなのか、悔しいのか。
「・・・じゃあ、貴方はゆっくり下りるのよ?」
「・・・ああ」
離れ難く、ヨンは女人の肩に埋めていた顔を上げ傍にある頬に鼻を擦りそのまま唇を合わせる。
行為中に取ってしまった目に巻いていた布も今は既に無く、顔全体で女人の頬や額の肌を再び感じたかった。
――ただ触れただけだったが、
それでも柔らかいそれを覚えていたかった。
あ、とヨンは顔を上げ周りを見渡した。
女人の匂いが微かにする。
木に手を付きながら、ゆっくりと道を進んでいるヨンは風の流れを感じ、葉を触りながら山を下り始めていた。
女人が去って暫くしてヨンも小屋を出た。
一人だけのあの場所にいる意味がもう無いからだ。
手探りで歩いていたが、向かう先から女人の香りが微かにする。
おそらく女人はこの先に進んで行ったのだ。
「・・・追いかければ」
だが、行ったどころで女人を引き止める事は出来ない。
ふと小さい頃に追い掛けた、虫や蝶を思い出した。
いいな綺麗だと思って手を伸ばしても、その分ひらひらと離れて行く。
小さい自分にはそれを追い掛け捕まえる速さも技も無く、小さくなっていく姿を残念そうに眺めていたのだ。
「・・・あー、くそ、勿体ねぇ・・・」
まさにそれがこれではないか。
あの女人に再び会えれば良い。
だが、その時には他の男のものになっている可能性があり、女人には二度と触れられないかもしれない。
あの優しい声で笑い、滑らかな手で自分では無い誰かの髪を撫でるのか・・・。
――チッ。
無意識に舌打ちが出てしまった。
・・・待てよ?
「目が治ったら直ぐに来てみるか?」
先にあの女人の家を見つけ出し、申し込めば良いのだ。あの女人が帰って来た時には驚くかもしれないが、最中も嫌だとは思っていなかった筈だ。
承諾を得られるかもしれない。
「・・・なるほど」
――その為には、早く師匠達の元に戻らなくては。
女人が残した香りを追いながら、
ヨンは急いで山を下りたのだった――。
⑱に続く
△△△△△△
山を下りた為、2人は再び会う事は無く・・・。
二人の過去話はここで終了。
今の二人に戻ります。
(覚えているかしら?笑)
🦅ポチリとお願いします!🐤
にほんブログ村
🦌🦅🦮🐧🦊🐈🐥~💐
今年のMAMAは大阪よ
そして30日はデビュー㊗️2年!
おめでとう(*´ω`*ノノ☆パチパチ💕
