ウンスははぁと肩を揉み、首を何度か振っている姿を
典医寺のチャン侍医は見つけ手に持っていた籠を置くと、ウンスの向かいに座った。
「どうしました?具合でも?」
「あぁ、いえ、肩がこったなぁと・・・私どちらかという肩こりで時々リンパマッサージに行っていたのよね」
「り、りん?」
「血液循環が悪くなると肩や足や関節部分に老廃物が溜まり、・・・まぁ、要はあちこち凝るし体調もおかしくなるという。
・・・リンパマッサージというのはね・・・――(ペラペラ)」
「・・・ふむ」
長々と話すウンスの説明を聞いていたチャン侍医が黙って椅子から立ち上がり近くの引き出しからガサゴソと何かを取り出した。
「でしたら、これをお使いになりますか?」
それは肌触りの良いヘラの様で渡されたウンスは触りながら頬にペチペチと当てた。
「あら、綺麗。何、これ?」
「刮痧用道具です」
翡翠で出来ている貴重な物だという。
チャン侍医はウンスの手からそのヘラを取ると、自分の着物の袖を少し捲り肌に当て擦っていく。
暫くしてチャン侍医の腕には赤くじわじわと内出血の痕が浮き上がった。
「え?大丈夫?」
「大丈夫です。
最初は少し痛みがありますが、これで内部の毒素を表面に浮き立たせ血流を正常にしていきます」
「はぁ、なるほどー!」
「瘀血(おけつ)が無い部分には痧(しゃ)は現れませんので、痛みが無い箇所も出てきます」
ふむふむとチャン侍医の話を聞きながら、ウンスは自分の袖を二の腕まで捲り上げ始め思わずチャン侍医はその手を止めた。
男の自分がいるのにまさかここで試すつもりですか?
と窘められ、おっとと急いで袖を下ろしたが、
「でもやり方知らないわ」
「・・・・はぁ」
チャン侍医は口をへの字にした後、
診療所の戸を閉めた。
「・・・どうしてチャン侍医の首や腕が赤くなっているんだ?」
「何でも医仙に“刮痧”を教えていたとか」
「へぇ、そうだったのか・・・ぶっ」
話を聞いていた薬員が徐に吹き出し、少し後に横にいた別の薬員達も吹き出し肩を震わせた。
「・・・・・」
黙々と仕事をするチャン侍医の横にウンスが来て、こそりと話し出す。
「・・・お疲れなら、少し休んだ方が良いわよ?」
「・・・大丈夫です」
――本当か?
瘀血が溜まっている部位には皮下出血が出るとチャン侍医本人が言った通りに、
あの後、腕や首、肩等が赤くなりだしウンスは微妙な気持ちになっていった。
数日間でその痕は消えるという事だが・・・。
「・・・肩でも揉みますか?」
「だから、結構です」
チャン侍医は自分の不調子が表に出た羞恥と、
周囲の気遣う眼差しに
痕が消える数日間は不機嫌だったという――。
【刮痧の治療法】
専用の器具を使い漢方油を塗り、
皮膚の経路や反射区に刺激を与え、
毛細血管に圧を加える事で
血液の毒素を肌表面に押し出します。
体内にある老廃物を排出させ
ツボを刺激し経路と経穴を
沿って擦っていく治療法。
「・・・でも、やっぱり私は
リンパマッサージの方が良いかな?」
「・・・我儘」
チャン侍医の不機嫌は更に増したとか。
【終わり】
△△△△△△△
肩までは晒したのでしょう。
次→“練気”
(CAST:ヨン、ウンス)
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