
君に降る華【特別話】⑴
「あぁ、このブーツは失敗したわね」
突然降り出した雪にウンスはうんざりとした表情になる。
田舎から上京し大学、インターン、レジタントを経て漸く希望した江南総合病院への就職も叶い、自分としては理想通りの人生を進んでいると思っていた。
だが、その間素敵な恋人を見つける事は出来なかった。
どうして?服だって化粧だって流行りを必ずチェックし、取り入れていたというのに。
いや、まだ諦めるなウンス。
今日会う彼も聞いたら随分と立派な会社に務めているではないか。上手くいけば、最終目標の独立もそう遠くはない未来になるかもしれない。
「・・・そうよ、男の一人や二人何て事ないじゃない」
呟いたのは自分に言い聞かせる為か、誰かに対しての言い訳だったのか。
――一瞬、真っ白な雪原に立つ、寂しそうに此方を見つめるあの青年が頭を掠めたが、
約束の時間に間に合わないと雪道を避ける様に端を歩き、
ウンスは待ち合わせ場所へと急いだのだった。
「迂達赤隊がどれ程のものなのか、期待しているぞ。なぁ?隊長とやら」
膝まついたヨンに向かい、明らかに歳が下の若造が偉そうにふんぞり返って言い放つ。
それでもヨンは、
「は」
一言だけ返事をし、ただひたすらに冷えた床を見つめていた。
だが、ヨンと同じ姿勢で下を向いている迂達赤隊士達だけは半ば冷や汗をかいていた。
部屋中に張り詰めた空気が漂い、それはヨンから放たれて確実に彼が不機嫌だとわかる。
この数日間自分達ははたして休まる事は出来るのだろうか?
答えは、否だろう。
事の始まりは新王がまだ幼い為、国々への領地の偵察に重臣等が行く話になっており日数を掛けて遠隔地に赴く為には護衛が必要だという事で、迂達赤隊の名が上がった。新しい王の世話を押し付けられていたヨンは更に護衛だと?と断った。
「某が王宮を出てしまったら、王は誰が見るのですか?」
だが。
そんなヨンの言葉を無視し、重臣等は王に詰め寄る。
「・・・わかった。ヨンよ、無事任務を果たしてくるよう」
「・・・王の命令とあらば」
弱々しく言う王の言葉にただ項垂れるしかなかった。
ところが、出立当日何と重臣だけでなくその子息までもが同行する事になっていた。
唖然とし話が違うと抗議するチュンソクに対し、その若造は鼻で笑う。
「俺はキム家を継ぐ者であり、後に王宮へも入る。
今から同行する事に異論は無い」
チュンソクは咄嗟に視線を隣りのヨンに向けると、彼は何時の如く静かな表情でその様子を眺めているが、内側から放つ気が微かに漏れているのを感じ焦ったチュンソクは自分が子息の世話をすると申し出た。
しかし。
「いや、俺はその者にしてもらう。お前が隊長なのだろう?」
若造の指は真っ直ぐとヨンを指し、それを受けたヨンは一瞬だけこめかみを引くつかせたが直ぐに膝を付き頭を下げた。
「迂達赤隊がどれ程のものなのか、期待しているぞ。なぁ?隊長とやら」
「―は」
ヨンの後ろでは真っ青になったチュンソクも同じ姿勢で返事をしたのだった―。
⑵に続く
△△△△△△△△
皆様は君降る~はまだ覚えているでしょうか?
二人も会えていなかった数年があった訳で(ヨンが閉じたともいう)その間にあった二人の出来事です。
本当はクリスマスにでもと思っていたのですが、あまりあっていない様に感じましたので止めたのでした🙂
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