※少し原作やドラマに被る部分がありますが、あくまでもこの話は“蝶が舞う~の中のウンス”ですので、そのつもりで読んで頂けるとありがたいです。
「・・・私も年かしら、同じに見えてしまって・・・」
「言う程のお年でも無いと思いますが・・・」
「むぅ」
二人の会話は坤成殿を出てからも続いていた。
最近は二人で動く事が多くなったと周囲は見ているが、敢えてそこを揶揄う者もいず二人共にそれは気付いているのかわからない。
「大学入学の頃は授業に付いて行く事でいっぱいいっぱいだったし、レポ上げるだけで1日潰れるなんてざらで・・・あー、でもそこは意地でも期限内に上げたけど」
「そうですか」
ウンスの話す内容がわかっているのかどうか、だがチャン侍医は小さく頷き話を聞いている。
「・・・それでも、小さな後悔があって二度とそんな悔しい思いはしたくなかった訳なんだけど」
「・・・そうですねぇ。ただ後悔があっても自分を成長させる糧になる・・・と私は思いますよ」
「チャン先生は真面目なのね・・・まぁ、それでも相手が言う事聞いてくれれば・・・」
そこまで言ってウンスはふと顔を上に上げた。
「・・・あー、うん、まぁでも色々知った時でもあったから、そこは・・・」
「どうしました?」
「え?いいえ、何でも・・・!」
若い頃の思い出としてはあまりにもおかしな話だったと、ウンスはふとあの時の事を思い出した。
あの青年との出会いはふとした時に何気に頭の片隅から出て来る事もあり、一度きりの行為だったが初めてながらに甘かったのかそうでも無かったのか、よくわからない時間だった。
あの青年ははたしてあの後無事に山を下りたのだろうか?
3年後に里帰りした時には、あの山は所有者が売りに出したらしく山自体無くなっていた。今は家が建ち並ぶ場所になってしまったが、人間の骨が見つかったニュースを聞かないのだから無事に下山出来たと思っている。
何に追われ何と戦っていたのか?謎な青年だったが、うっすらと目を開けた時の顔は随分と整っていた。
・・・だからか、自分の初体験があの青年でも後悔はしていない自分もいる。
あるとしたら、彼の治療を中途半端にして先に上京した自分にだ。
他にも別な対処方法があったのではないか?目に後遺症が残ったらそれは自分のせいだと今でも思っている。
「・・・?」
ウンスは何かが引っかかって再び足を止めた。
・・・あの青年の顔、何処かで見た事があるのよねぇ。
・・・いや、そうではなくて・・・別な何か。
うーん、と佇み考え込んでしまったウンスを不思議そうに眺めていたチャン侍医だったが、
「医仙、寒くなりましたし戻りましょう」
「え?ええ」
「何か入れましょうか」
入ったばかりの茶葉があるという。
・・・あぁ、あの時も何時もお茶を持って行って。
「・・・ん?」
「医仙?」
「・・・そういえば・・・ここの水って苦いわよね?」
「はい?」
「時々茶葉とは違う味が。・・・私がおかしいのかしら?・・・未来はちゃんと浄水されているから無味で、いいえ、あの時は市販の物で・・・」
「どうしました、医仙?」
ウンスは何かを思い出しそうだと、昔の記憶を必死に掘り起こした。
最初水を渡したら彼は甘いと言い、意味がわからないと思った。
それに食べ方も、毛布を被る姿も、話し方も何か違和感を覚えたのだ。最初服装で何処か寺の修行僧かとも思ったが態度も良くなく、怪我と話で抗争に巻き込まれたその道の人だと思った。
・・・が、それにしては全てにおいて無知過ぎていた。
覚えれば一気に吸収する様に何でも出来る様になっていたが、知らなかったらひたすら動かなかったに違いない。
――物にも警戒していたのかもしれないが、自ら手を出す事はしていなかったわね。
あんな山小屋に何を警戒していたのか、未だにわからないのだけど。
「・・・水、ねぇ」
・・・他にも何か言っていた様な気がするのだけど、何だったかしら?
強烈に覚えているのは、大きな体躯を常に毛布に包ませる姿と素っ気ない態度、でも懐いて来た時の距離感と私を欲しいと言った緊張感。・・・まぁ、その後は頭の中が混乱状態のまま時間だけが過ぎその中でも彼の熱い身体を感じたのだが。
「行きましょうか」
「え?あ、ええそうね」
動かなくなってしまったウンスにチャン侍医が静かに声を掛け、二人は漸く典医寺へと帰ったのだった――。
私がいると、あの隊長もこの宮殿の人達も狙われてしまうのだわ。
どうにかして帰らなくては――。
自分を助ける為に負傷し、診療所の寝台に寝ている隊士達を見つめウンスは息を吐いた。
「天門に行きましょう」
ヨンの言葉に再び心の中が軋んだ気がした。
何を思って彼はそう言ったのだろうか?
「王様を守るのは貴方の役目よね?」
「はい」
彼の第一優先はそれなのだ。
今までの姿を見てそうわかった。
彼が歴史に残る様な人物だとしたら、結局は自分がいては再びあの状態が続いてしまうだけ。
それに、彼と二人で共に動く気は私には無くなっていた。
「・・・もう笑いませんか?」
――何のつもりで聞いて来るの?
「・・・」
ちらりと後ろを振り返り、ウンスは直ぐに前を向き足を進めて行った。
自分を信じてくれれば何時かはと彼は言った。
何をどうしてそう言う事が言えるのか?
いや、チャン先生から話は聞いて少しは納得している自分もいる。
それがこの時代で、それはわかっている。
でも――。
「もう、貴方の為に泣きたくない」
「・・・」
一瞬彼の瞳の中に揺らめく何かが見えたが、今の自分には気付きたくは無いと直ぐに目を反らせ、
落とした笠を取り彼から離れて行った。
――大丈夫、ドラマを幾つも見て来たのだから、山の一つや二つ・・・。
「医仙、大丈夫ですか?」
「・・・大丈夫よ!」
それでも結局はトクマンが付いて来てくれた事に、
ウンスは小さく安堵の息を吐いたのだった。
チェ尚宮は急いで馬を走らせ荒い道を掛けていた。
――誰も止められない。
そう思っていたが、
あの方ならもしかしたら・・・!
㉓に続く
△△△△△△△
少しヨンにも戻りますかね〜´-`)
漸くここまで進んだわ・・・✨
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