君に降る華【特別話】⑹ | ー常永久ーシンイ二次創作

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※この話は“君降る~”の中で通路が消えて、
二人が会えていなかった
数年間の間にあった出来事です。

君に降る華【特別話】⑹




「よくわからないけど、チェヨン氏が凄い技を放って女性達が目をハートにしたのはわかったわ」

「何の形だって?わからない。それよりも、何故ウンスはそういう集まりに直ぐ行こうとするのだ?

目的は勉学ではなかったのか?変わっているではないか」

「そ、それは」

「それは?」


もごもごと言葉を発するウンスを腕を組んで睨み付けるヨンの姿は、まるで不貞をしてしまった妻を怒る夫のそれだと二人は思った。


――いや、まだ夫婦にもなってもいないのに?


この地にあの女人が来て初めてヨンは婚姻を申し込んだ筈だ。

なのに、既に自分の物の様に女人を諌めるのは如何なものか?


チャン侍医はそう思い扉に手を掛けたが、


「チェヨンさんも部屋に妓生招き入れてなかった?私は他の男性とは食事だけだもの!」

「それがいかんと言っているんです、あれは勝手に入って来ただけだ。ウンスは食事を―」

「チェヨンさんは触ったでしょう?」

「また・・・だからそれは・・・」


ウンスを完全に諦めた訳では無い。

が、二度と会えないかもと片隅にあったのも確か。

それでも何気にその女に触れ反応どころか、嫌悪感が出てしまい、もう自分は一生独り身になるのだろうとさえ思ったのだ。


そう声に出そうとして、後ろから気配を感じヨンが振り向くと入口にチャン侍医とトクマンが呆然とした顔をし二人を見ていた。


「ッ!」


ガタンと立ち上がり、憤怒の顔で近付いて来たヨンに二人は慌てて外に出たが、彼はそのまま扉を閉めようとし、チャン侍医は待ったとその手を止めた。

苛立っているのかギロリと睨んで来たヨンに小さくため息を吐いた。


「あの方は、他の女人を触った隊長に怒っているのですよ?

隊長もですが・・・ウンス殿は、妓生に悋気しているのです」

「・・・」


その言葉に口を開けヨンが呆けていたが、あ、と小さい声が漏れた。



「その方を隊長が怒るのは如何と思いますが・・・」


ヨンを思って高麗に来たのではないのか?その方を怒らせてどうするのか?


「ハッ」


途端に怒りが消え、狼狽し出したヨンは目をさ迷わせた後扉を閉めた。



「侍医・・・」

「少しは静かになるのではないでしょうか?」


そう言うと、チャン侍医はトクマンを連れ薬草園を離れて行った。



トクマンの話では、あの子息は此方に戻って来てからは町で隊長や隊に見つからない様に動く様になったという。おそらくヨンに見つかり次は脅しを掛けられるだけでは済まないと思ったのではないか、とチャン侍医は考えている。元々評判の良くないヨンが町中で狙うとでも恐れたのだろうか?そのうち、妻達を連れ開京を離れたとの話が出た。

ヨン達が王宮からいなくなった時にでも戻って来るつもりなのだろうが、はたして今のヨン達はそんな事になるだろうか?

彼が位を上げて行く様ならチェ家には誰も敵わないと思うのだが。


以前の様に偶に見せた虚無感は今は無く、目に光が漲っているヨンに彼をここに留めたのはあの女人なのだろうとチャン侍医は思ったのだ。



「しかし、あれでは、自分のものを誰かに取られまいと怒る子供の様だ」

「ぶふっ」


チャン侍医の呟きにトクマンは吹き出し、慌てて口を抑えた。


「知らない時をお互い過ごしたが、気持ちの強さは人それぞれなのですから」

「隊長、執念深かったからなぁ」


毎年ウンスから教えて貰った雪だるまを作り、髪飾りを手入れし長年待っていた。

だが、あの想いを向けられたら女人だって戸惑うのではないか?


「・・・うーん、そこまで言うなら別にいいけど」


微かにウンスの声が聞こえる。

先程と違って機嫌が良くなった様だ。


この間から部屋だ寝具だ食材だと女人に尽くしている有り得ない隊長の姿がある。

あの着るものでさえ無頓着な男がだ。

執着が強く、独占欲が激しい面を隠す事なく周囲に見せているのが本来の彼の姿だと誰も何も言わなくなった。


ただ、その想いがあまりにも強過ぎる。



「・・・それが心配だ」


チャン侍医は静かになった部屋を一瞥し、

今度は本当に薬草園を後にしたのだった――。










君に降る華【特別話】終わり

△△△△△△△△△△△△


ここまで読んで下さりありがとうございました😊

本編も途中でしたからね、この話も何か繋がるかと思います🐥


わかります?

彼はずっと最初から自分のものだと言っていましたよね。

・・・それが、どう出るのかしら。



※部屋内の2人の内容は、

君降る本編の中に出てきます。😌



🌟🌟


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