蝶が舞う頃に⑲ | ー夢星石ーシンイ二次創作

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※少し原作やドラマに被る部分がありますが、あくまでもこの話は“蝶が舞う~の中のウンス”ですので、そのつもりで読んで頂けるとありがたいです。


蝶が舞う頃に⑲




何故かあの男を講演会場で見た時に過ぎったものがあった。

それは何だったのか?

だがそれよりも、折角何日も構想を練り何時間も練習した私の晴れ舞台を邪魔された怒りのが勝っており、終わった後もその怒りは収まらなかった。

「腹立つ!何なの、あの男!」

更に友人に電話しても期待した返事は貰えず、最悪な1日だったとイベントホールを歩きながら思っていた。


・・・いや、まだそれだけなら平和だったのかもしれない。

まさか自分が剣を振り回すサイコ男に拐われ、
おかしな場所に連れて来られてしまうだなんてあの時想像出来ただろうか?

いいえ。
誰も出来る訳がない!
ふざけないでよ!


しかも、
必ず帰すと言った本人が私をこの地に留めたのだ。

“嘘つき!
最悪だわ!
何が武士よ!”

――確かにそう思っていた。
いや、多分心の奥底では今だに思っている。
刺してしまった彼の腹部を治療している間も、じくじくと静かな怒りは奥底にあったと思う。

それが薄まったのは、彼と江華島に向かった時だった。


寂しい過疎村にあった古びた藁葺き屋根に住んでいたあの子は、前の王様だったという。

たかが12~3歳の子供に何の政治が出来たのだろうか?結局は傀儡の様に誰かが後ろで操り、政をしていたに違いない。正にその通りで用無しになった子供はあんな場所に追いやられ、そして逃げた先で短い命を終えてしまったのだ。

何て酷い時代。
私は今そこにいるのだわ。
助ける為の別な方法はあったのだろうか?

それでも、自分がそんな事をじっくり考える時間を持てる様になったのは、おかしな男に拐われた屋敷に再び連れ戻されてしまった後だった。

あの奇妙な男は奇皇后の親族だという。

――あぁ、なるほど、高麗時代だったわね。

「・・・高麗?高麗ですって?」

学んだ懐かしい歴史を思い出しながらも、頭の中では彼の事を考えていた。


そしてあのサイコ男が“崔瑩”で間違いないのだ。

連れ去られもう駄目かと不安になっていたあの暗闇の部屋の扉を開け入って来た彼を見た時に、思わず生きていると確かめたくて手を伸ばしてしまった。医者の性と思うも、触れた頬は意識を失い痙攣を起こしていた時とは違いとても温かった。

「良かった、生きてる・・・」

私は崔瑩を助けた。

安堵しニコリと笑うと一瞬だが、彼も微笑んだ様に見えた。
見えた?違う。
無表情で瞬きもせずジッと此方を見下ろしていたのだがそんな空気を出したのだろうか?
彼は一瞬だけ放ち、
そしてゆっくりと口を開け何かを言おうとした。

――しかし。

廊下から聞こえた靴音に私が其方を見てしまうと、彼の柔らかい気も直ぐに消えてしまった。


――あの時彼は何を言おうとしたのかしら?





だが、王宮に行ったが彼と視線が合う事は無かった。

一瞬でも良いと思ったのだけど、そのまま背中を見せその後ろ姿を見つめていたウンスは再び何かを思い出しそうになっていた。



「・・・チェヨンが来た?」

彼が徳成府院君キチョルの屋敷に来たが、それは私に会いに来た訳では無かった。

それはそうか。
離れるなと彼は言ったのに、それを拒んだのは自分なのだから。
私に向ける瞳が変わった様に感じるのも仕方ない事だと思う。
それでも、良かった。
処罰を受けるかもしれないと聞いたが、どうやら大丈夫だった様だ。

彼は冷たい眼差しで、2人で参内したという事はこの屋敷にいるのか?と問うて来た。
そんな訳は無い。
逃げようと思ったが私一人では無理だったのだ。
しかし、これ以上彼に何かを言うのも出来ないともわかっている。
私はまた別な方法を考えなくてはならない。


「――・・・白い麻の装束を・―」
「・・・そうですか」

幼い少年が薄汚れ血に塗れた着物のままだなんてあんまりだと、せめてそれだけでも替えて欲しい。ウンスの言葉にあの男は眉を顰めていたが、何とか承諾を得て新しい服で弔った事を彼に伝えたかった。
この人があの子を大事に思っていた事は知っている、それだけは伝えなくては。


“ごめんなさいね。
私にはそんな事しか出来なくて・・・”



――あれ?

「・・・・・?」



何故だろう。
ふと、ウンスは屋敷の門前に立つチェヨンに視線を向けてしまい、
目が合った彼は一瞬目を逸らしたが直ぐウンスに戻して来る。


――この人と何処かで会った事があったかしら?


それは絶対有り得ない、ここは遥か昔なのだから。


“――あの、貴方、何処かで・・・”

それでも口を動かそうとしたウンスに、チェヨンは微かに眉を顰め見つめて来たが。


「・・・天界でも嘘はつきますか?」

――は?

「嘘は上手ですか?」
「・・・何の事?」

いきなり何を聞いて来たのか?


だが、それだけ聞き少し会話の後、
彼は去って行ってしまった。



――・・・どういう事?


頭の中に何かが浮かんだ筈なのに、
今の言葉で再びそれは消えてしまったのだった――。






⑳に続く
△△△△△△

ウンス側は短いですよ。(*´`)
コチラの過去話はヨンと会話をした後で。








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