あの場所でもう一度(12) | ー常永久ーシンイ二次創作

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あの場所でもう一度(12)




ヨンは仕事が終わり、コーヒーショップの店内を見て――、

「早っ、キム先生もういる」

ガラス張りの窓の向こうにいるヨンを見つけ手を振って来た彼に、手を振り返しヨンも店内へと入って行く。



ヨンは誰かが先に来ているとそのまま店に入り、全員が集まるまで待ち会話をしたり時々違う店に移り夕飯を食べる様になっていた。
やはり皆独身で面倒なのか、家では作らないと言う。

「ねぇ、結局皆同じ生活になってしまうんですよ」

キム医師が酒を飲みながら、隣りに座るヨンに言い確かにと頷いた。
殆ど自宅のキッチン等コーヒーかお湯を沸かす位になってしまっている。料理をしない訳では無いが、後片付けが面倒と考える段階で家事はむいていないのだろう。

「・・・・・」

ちらりと正面でお酒を飲んでいるウンスを見ると、その視線を感じたのか目が合ってしまった。


「・・・何が言いたいの?」
「何でも無いですよ」

じとりとした目が返って来て、ヨンはさっと視線を逸らした。
まぁ、同じ医者だしな、仕方ない。


「そうそう今週末またセミナーに行ってくるわ」

酒を置いたウンスは、バッグに手を入れイベント企業から届いた手紙を取り出し三人に広げて見せ話し出した。
時々色々なイベントやセミナーに参加していたウンスは、そこでクリニックに薬品や美容液を卸してくれる製薬会社を見つけたのだった。

「少し前にD&BフェアinKoreaに行った時に、契約会社を見つけたのよね。
その会社が今回出展するからと招待券をくれたの。A○WCKoreaよ、世界トップクラスの美容医療専門医や他の専門医が集まる医学会よ!」
「あぁ、大きなイベントですよねぇ」
「最新美容機器も見れるし、最先端のスキルも学べるし、楽しみだわ!」

そう言い楽しそうに笑うウンスを見ていたイ医師だったが、手紙を覗きふぅんと声を出した。

「1枚につき3名行けるんだって。行ってくれば?キム先生?」
君も美容整形外科だろう?と言われ、キム医師は即座に首を振った。

「結構です。場所がデカすぎてそれだけで疲れる」
「何だよ、販促物沢山貰って来れば良いだろうに」
「貰ってどうするんですか?・・・あ、チェ先生は?行った事ないですか?」
「無いですね、アメリカでも偶にありましたけど一人で行くのは少し・・・」

外科の医学会は時々行っていたが、小さいセミナーだった。


「だったら、チェ先生も行く?」

「・・・え?」

ウンスの言葉にヨンは一瞬話すのを止めてしまった。


「・・・いいんですか?」
「いいわよ」
ウンスが手紙から視線をヨンに向け、にこりと笑った。


最近見る様になったウンスの笑顔を自分に向けられて、擽ったい気持ちになるのはどうしてなのか。


「・・・よろしく、お願いします」

・・・何故か焦る自分がわからない。

落ち着けと口に酒を運んだヨンに、キム医師がそっと顔を寄せた。

「チェ先生、気を付けてね」
「は?」
「多分荷物運び係になるだろうから」

「・・・・え?」


――・・・そういう意味で誘ったのか?

キム医師をちらりと見てその眼差しをイ医師にも向けると、彼は素知らぬ方を見て視線を合わせ様とはしなかった。

・・・だから、イ医師は他に振ったのか。


先程まで少し浮かれていたヨンだったが、
複雑な気持ちに変わり拗ねた自分を誤魔化す様に残った酒を一気に飲み干した――。







約束した日は快晴で、これが普通のデートならばとても良い日だっただろう。

等と目を薄めヨンは青い空を見上げていた。


イベント会場は漢江の近くの公園に新しく出来た場所で、イベントやコンサート等にも利用されている。
既に開場30分前だからか長い列が出来ていた。

「帽子被ってきて良かったな」

午前中からこの暑さだとしたら、昼はもっと暑くなるかもな・・・。
そんな事をつらつらと考えているとふと近付く気配を感じ顔を前に向けた。

「遅くなっちゃった、ごめんなさい・・・」
「・・・いえ、まだ開場してないし大丈夫。並びますか」
「ええ」

そう言うとウンスは大きめなトートバッグからチケットを取り出した。

「一般参加とはまた違うので、すんなり入れると思うのよね」
久しぶりで楽しみだわ!ウンスはチケットを見せながらヨンを見上げ、微笑んだ。


・・・何だろう?これとデートの違いは?
あぁ、目的が違うからか。
――納得。

ウンスのスーツ姿ばかり見ていたヨンだったが、休日の女性らしい柔らかい服装に変な錯覚を起こすなと諭している自分がいた。

結局は彼女がヨンを誘ったのだって、荷物持ちが欲しかっただけだろうに。

・・・いいんだけどさ、別に。


招待券を持つ人達の列に並び、それでもそれなりに列はあり少し時間は掛かりそうだった。

「・・・随分と大きなバッグを持って来ましたね」
「パンフレットも沢山ある筈よ、大丈夫、もう一つバッグ持ってきたから」
「わぁ・・・」
ヨンは肩を竦めて帽子を取るとウンスの頭に乗せた。

「日が暑いですからね、被っていて下さい。あとバッグも下さい」
「え?いいの?ありがとう!」


素直にバッグをヨンに渡す段階でこうなる事を予想していたのだろう。


だが、もう、と思いながらもヨンも笑顔でウンスを見下ろしていた――。








(13)に続く
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とはいえ、初デートになるのかな?
少しほのぼの?デートが続きます、頑張れヨン氏👍

(向こうの彼は行っていた事さえも教えて貰えてなかったですから....良かったね✨🌸)



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